ASIA-EU CARTOON CONNECTION レポート 第1回 アニメーションの国際共同製作で韓国に17カ国170名 | アニメ!アニメ!

ASIA-EU CARTOON CONNECTION レポート 第1回 アニメーションの国際共同製作で韓国に17カ国170名

[取材・文:伊藤裕美(オフィスH)]ブリュッセルに本部を置くCARTOONと韓国のKOTRA大韓貿易投資振興公社の共同主催のCARTOON CONNECTIONが3月19日から3日間ソウルのグランド ハイアット ソウルで開催された。今回はその様子をレポートする。

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ASIA-EU CARTOON CONNECTION 2013
アニメーションの国際共同製作に取り組む、
国際派プロデューサーのフォーラム開催

-3月中旬、韓国ソウルに17カ国から170名が参集
日本から5名のプロデューサーが初参加、活発なビジネス交流に満足-

取材・文: 伊藤裕美(オフィスH)


ブリュッセルに本部を置くCARTOON(カートゥーン)と韓国のKOTRA大韓貿易投資振興公社の共同主催のCARTOON CONNECTION(カートゥーン・コネクション)が3月19日から3日間ソウルのグランド ハイアット ソウルで開催された。
欧州13カ国とアジア4カ国から170名を超すアニメーション制作のプロが集い、ネットワーキングのフォーラムをおこなった。韓国で4回目となる今回初めて日本からプロデューサー5名が参加、それぞれの目的を全うする、充実した時間を過ごした。

■  世界市場の国際共同製作振興の新しいプラットフォーム

カートゥーン・コネクションは、EU(欧州連合)と非EU圏との間でアニメーションの国際共同製作を活発化させるフォーラムで、EUの非営利団体カートゥーンが呼び掛ける新しいプラットフォームだ。これまで多国間で制作パートナー、資金や配給先を探すのは国際映画祭とマーケットで個別ルート頼りにおこなってきた。
テレビ番組や劇場公開長編等の国際共同製作のフォーラム運営で25年の経験を持つカートゥーンは、商業アニメーションの国際的な制作と市場・流通の開拓という明確なテーマの下、非EU圏との多国間交流の定期化に踏み出した。韓国のKOTRAがその呼び掛けにいち早く応じた。
2010年の済州島での共同開催を皮切りに、11年(済州島)、12年(釜山)と続けて、韓国のアニメーション制作者がEU圏へ制作と流通で進出するのを後押しする。またカートゥーンは、南米のアルゼンチンとカナダともカートゥーン・コネクションを成功させてきた。

カートゥーンは欧州のアニメーション・プロデューサー等が、EU圏内で国境を超えた制作を活発にし、資金調達の自由度を高めようと25年前に創立した。創立メンバーで、事務局長のマルク・ヴァンドヴェヤール氏は「カートゥーン・コネクションには最初テレビ局の参加も多かったが、国際共同製作には制作会社が重要で、今はプロデューサーが増えた」と語る。
EUではアニメーションの企画開発は制作会社のプロデューサーがおこない、テレビ局は独立系制作会社が持ち込む新企画をプリバイや出資する。日本の製作委員会方式と異なり、(エグゼクティブ)プロデューサーが資金調達から、主要な制作スタッフの人選、制作・流通の座組みに責任を持ち、著作権も保持する。

人口5億人を抱えるEUには世界のスクリーンの27%が集まり、EUでは過去10年で長編アニメーションの制作と興行収入が各80%増加、2012年の興行収入100億2000万米ドルは世界の1/3を占める(*)。12年から5年間のアニメーション産業の成長率は6%と予想される。アニメーションの拡大市場のEU圏では劇場公開長編の進展が著しい。それを示すのが、カートゥーンがおこなう劇場公開長編アニメーションの国際共同製作のピッチ「Cartoon Movie(カートゥーン・ムーヴィ)」の実績だ(右上図表)。

しかしEUのアニメーション市場には偏在がある。2010年の観客数を見ると、実に77%が米国製アニメーション映画だ。桁違いの予算を集める米国製に制作費も宣伝費も及ばない(*)。アニメーションへの追い風を作ってきたプロデューサー等は、限られた自国の観客や資金に拘泥せず、早くから国境を越えた連携を図ってきた。それを支えたのがカートゥーンの活動だ。
さらに、EU規模のオーディオビジュアル産業の振興を目的とするプログラム「MEDIA(メディア)」がカートゥーンとプロデューサー等の国際的な活動を支える。米国の成功はEUのプロデューサーの対外進出欲を掻き立て、EU圏外の同業者と関係を広げ、世界規模の製作と流通を共におこなうパートナーを見つけようさせる。カートゥーンが非EU圏へ門戸を開いたのもそのためで、アジアと南北アメリカ大陸の観客・視聴者や制作・流通に関する理解を深めようとする。
(*)出典:HIS Screen Digest Cinema Intelligence

第2回 ■欧州、アジアで市場を広げる、韓国のアニメーション に続く(近日公開)


CARTOON(カートゥーン) /http://www.cartoon-media.eu/
KOTRA大韓貿易投資振興公社 /http://www.kotra.or.kr
ネットワーキング・フォーラム(参加者リスト)
/http://www.cartoon-media.eu/CONNECT/con_listof.php?id=7

[伊藤裕美]
オフィスH(あっしゅ)代表。
外資系ソフトウェア会社等の広報宣伝コーディネータや、旧エイリアス・ウェーブフロントのアジアパシフィック・フィールド・オペレーションズ地区マーケティングコミュニケーションズ・マネージャを経て1999年独立。海外スタジオ等のビジネスコーディネーション、メディア事情の紹介をおこなう。EU圏のフィルムスクールや独立系スタジオ等と独自の人脈を持ち、ヨーロッパやカナダのショートフィルム/アニメーションの配給・権利管理をおこなう。
/http://blogs.yahoo.co.jp/hiromi_ito2002jp
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