2011年、2012年と国内の電子書籍サービスが、大きな展開を見せている。その利用者、市場の拡大も著しい。2013年もこうした流れは、さらに強まりそうだ。そうした電子書籍市場で大きな役割を果たしているのが、読者に作品を送り届ける電子書籍ストアである。そんな重要な役割を担っている電子書籍ストアは、どういった戦略でサービス提供をしているのだろうか。アニメ!アニメ!では、2012年末に、3041有効回答による電子書籍サービスの満足度調査によるイード・電子書籍アワード2012を実施した。このアワードでスマホ部門の最優秀賞となった「BOOK☆WALKER」に、電子書籍のサービスについて伺った。サービス企画部の栗本直彦氏に、「BOOK☆WALKER」の目指すサービスや戦略について語っていただいた。BOOK☆WALKER /http://bookwalker.jp/pc/■ライトノベルが充実、ラノベはスマホと親和性が高い―BOOK☆WALKERの電子書籍ストアとしての特徴を教えていただけますか?また、とりわけ力を入れておられることはありますか。栗本直彦氏・BOOK☆WALKER(以下BW)「まず、出版社グループの直営ストアというのが大きな特徴です。そのため、優先配信や購入特典、キャッシュバックや値引きなど、キャンペーン展開をやりやすい環境にあります。また、グループ出版社がライトノベル作品を多く出版している強みを活かし、ライトノベルの品ぞろえに力を入れています。」―今回、電子書籍アワード2012スマートフォン部門の最優秀賞となりました。スマートフォンに向けた戦略は特にとられているのでしょうか?BW「特別、戦略的な何かがあったわけではないのですが、ユーザーさんの支持があった理由としては、ライトノベルとスマートフォンの相性がよいというのはあるかもしれません。難しい文芸書やビジネス書を小さなスマートフォンで集中して読むのはなかなか大変ですが、ライトノベルはコミックのようにライトに読めるので、スマートフォンでも十分読める、むしろ読みやすいという声を複数聞きました。」―スマートフォンに加えて、PC+使用出来る端末の豊富さを高く評価する声が多いです。マルチデバイスについてはどうお考えですか?BW「PCで購入し、通勤などの移動時間にスマートフォンで読み、帰宅後や週末に自宅でタブレットで読むというシチュエーションがはっきりしていましたので、複数端末間での購入履歴同期は最初から設計していました。また、先日リリースした新しいビューアアプリでは、今までできなかった栞の端末間同期が可能になりましたし、今後もKindle Fireなど広げていく予定です。」■2012年ランキングトップは『ハイスクールD×D』、2013年は『図書館戦争』に注目―今回、ブランドイメージ、サイトの信頼性で高い評価を得ています。会社のロゴも斬新ですが、ブランドやユーザーの信頼に力を入れておられるのでしょうか?BW「「電子書籍はずっと手元に残るかどうかわからない」と、不信感を持つユーザーさんは大変多く、それが電子書籍普及の妨げになっていたりもします。僕らとしては「出版社直営だから安心してご利用ください」というメッセージを出すことで払拭できればと思っています。また、twitterなどを使って、ユーザーさんとコミュニケーションを密に取り、信頼関係を作ることに努力しています。2月にはお客様を集めた感謝イベントも実施する予定です。」―BOOK☆WALKERでは、どのような作品がよく読まれているのでしょうか?BW「やはりライトノベルが一番読まれます。2012年の年間ランキングでは富士見書房の『ハイスクールD×D』シリーズが1位になりました。『ハイスクールD×D』は2012年1月にTVアニメ化し、人気がでた作品です。今年はメディアミックス作品の販売促進に力を入れてきたので、その結果が現れました。」―注目されているタイトル、あるいは作家、ジャンルなどはありますか?BW「2013年4月に劇場公開される『図書館戦争』の原作、『図書館戦争』シリーズです。昨年も紙の書籍を中心に人気があった作品ですが、今年は映画化で電子も含めさらに多くの方々に読んでいただけるのではないかと思っています。」―今後のあらたな取り組み、戦略などを教えてください。BW「電子書籍のネガティブ要素として、電子ストアごとにビューアが異なり、それぞれで買った本をひとつにまとめられない、という点が大きいと思います。僕らとしては、そこを払拭するために、“本棚連携”というものを推進していこうと思っています。それによって、他の電子書店で購入した本(グループの作品に限る)をBOOK☆WALKERの購入履歴にまとめることができます。すでにBookLive!さんやLISMOブックストアさんなど数社の電子書籍ストアさんと合意が得られていて、システムの実装を進めています。」―本日はありがとうございました。
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