12月11日、米国映画科芸術アカデミーは、2009年の第82回米国アカデミー賞の視覚映像(VFX)部門の一次選考結果(semifinalists)を発表した。 一次選考を通過したのは全部で15作品、VFX賞に相応しく、最先端の撮影・映像技術を用いた大型映画が並んだ。そのほとんどがブロックバスター級の大ヒット映画だ。アカデミー賞の中でも、ひと際華やかなラインナップである。 SF映画からは、興行で大記録を打ち立てる一方で作品としての評価の高かったJ.J.エイブラムス監督の『スタートレック』、『トランスフォーマー/リベンジ』、さらに『ターミネーター4』が並ぶ。地球崩壊を現在の映像技術で存分に描いた『2012』も、日本で話題を呼んだ作品だ。 しかし、このジャンルの注目は、今回候補とされた15作の中で唯一劇場公開が始まっていない『アバター』だろう。映画界で大きな潮流となっている3Dをさらに独自に進化させた映像が、大きな関心を呼んでいる。劇場公開はまだだが、既に一部公開されているフッテージからその驚愕の映像が明らかになっている。VFX賞の有力候補で間違いないだろう。 一方で、低予算映画の中から見事に候補に挙がったのは、『District 9』である。この秋の米国での予想を超えた大ヒットは記憶に新しいところだ。 ファンタジー作品からは『ハリー・ポッターと謎のプリンス』と、日本では来年1月に公開する『かいじゅうたちのいるところ』の2作品。『かいじゅうたちのいるところ』は、1963年に発表された世界的なベストセラーの絵本をスパイク・ジョーンズ監督が実写映画とした。 往年の人気作品をビッグバジットの大作映画に仕立てるのは、最近のハリウッドのトレンドである。『GIジョー』は玩具フィギュアから、『ウォッチメン』はコミックスのヒーローから映画化された。ロバート・ダウニー・Jrの『シャーロック・ホームズ』もそうした作品かもしれない。 候補作のうちSFでも、ファンタジーでもアニメーションでもない作品は、『シャーロック・ホームズ』以外には、ダン・ブラウンのベストセラーを映画化した『天使と悪魔』だけだった。 一方で、アニメーション映画からは3作品が挙がった。『コララインとボタンの魔女 3D』、『クリスマス・キャロル』、『G-Force』である。『コララインとボタンの魔女 3D』、『クリスマス・キャロル』は、長編アニメーション部門でも選考対象作品に挙がっている。 ディズニーの制作する『G-Force』は、アニメーション部門の対象となっていない。実写とCGアニメーションを合成する本作は、米国アカデミーでは実写映画と位置づけられる。CGアニメーションの発達で、アニメーション映画にも、高度な視覚効果が取り入られているが、実写映画とアニメーション映画の境界は益々曖昧になっている現状を反映している。 技術の進歩と曖昧さという点では、『コララインとボタンの魔女 3D』も同様だ。作品は人形をコマドリで動かすストップモーションアニメーションの技術で制作されている。しかし、CGが大胆に取り入られ、昔ながらのアニメーションと最新技術が融合する。英国のアードマンの作品にも見られるストプモーションの新しい流れだ。 米国映画科芸術アカデミーの視覚効果部門は今後さらに審査を進め、2月2日にノミネート作品を発表する。さらに3月7日にハリウッドのコダックシアターで行われる授賞式で、受賞作品が決定する。米国映画科芸術アカデミー アカデミー賞 /http://www.oscars.org/[視覚効果(VFX)賞 一次選考通過作品]『天使と悪魔』 /http://bd-dvd.sonypictures.jp/angelsanddemons/『アバター』 /http://movies.foxjapan.com/avatar/『コララインとボタンの魔女 3D』 /http://coraline.gaga.ne.jp/『クリスマス・キャロル』 /http://www.disney.co.jp/movies/christmas-carol/『District 9』 /http://www.district9movie.com/『G-Force』 /http://disneydvd.disney.go.com/g-force.html『GIジョー』 /http://www.gi-j.jp/『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 /http://harrypotter.warnerbros.co.jp/『Sherlock Holmes』 /http://sherlock-holmes-movie.warnerbros.com/『スタートレック』 /http://www.startrekmovie.com/intl/jp/『ターミネーター4』 /http://bd-dvd.sonypictures.jp/terminatorsalvation/『トランスフォーマー/リベンジ』 /http://www.tf-revenge.jp/『2012』 /http://www.sonypictures.jp/movies/2012/『ウォッチメン』 /http://www.watchmenmovie.co.uk/intl/jp/『かいじゅうたちのいるところ』 /http://wwws.warnerbros.co.jp/wherethewildthingsare/
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