「欧米における日本製コンテンツビジネスの現状と今後の展望」ライセンシングアジア | アニメ!アニメ!

「欧米における日本製コンテンツビジネスの現状と今後の展望」ライセンシングアジア

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 10月31日から東京ビッグサイトで開催されたライセンシングアジア 2007は、国内外のキャラクターのライセンストレードショウである。このライセンシングアジア 2007のなかで、ビジネス向けの多くのセミナープログラムが開かれた。
 その中のひとつ「欧米における日本製コンテンツビジネスの現状と今後の展望」では、サンフランシスコにある日本アニメ・マンガの翻訳出版社VIZメディア の上席副社長成田兵衛さんが講師となった。コーディネーターは、キャラクター・データバンク社長の陸川和男さんが務めた。

MR NARITA.jpg まず成田さんはVIZメディアのビジネスを通じて、アメリカのコンテンツ事情を説明した。VIZは小学館の子会社として1986年に設立され、現在の形になったのは集英社の資本が入った2003年である。2007年の1月にはパリにVIZ Media Europe を設立し、ヨーロッパでの拠点も設立している。
 アメリカ西海岸には、マンガ翻訳出版会社が多くあるが、そのほとんどは日本からのライセンスを受けての業務である。しかしVIZは小学館、小学館プロダクション、集英社といった資本参加の下で、オールライツで統合的なメディア展開がをしているのが強みである。

 さらに成田さんは、アメリカにおけるアニメ・マンガ市場の概況を説明する。成田さんによると現在アメリカのライセンシングとアニメは若干の右肩下がりで、マンガだけが右肩上がりを堅持している。アメリカにはアメコミの単行本を含めたグラフィックノベルの市場規模が3.3億ドルあるが、マンガはそのうち2.1億ドルの規模である。これはアメリカの出版市場の2%にあたる。
 この20年間で、アメリカで発行されたマンガは約9000冊で、比較的古くから営業を行っているVIZはそのうちの2500冊を扱っている。

 ブックスキャンのデータによると2006年に最も売れた作品は『NARUTO』13巻で、10万部を売り上げた。また、同作の7巻は全米の最も優れた書籍を表彰するクウィル賞をグラフィックノベル部門で授賞している。
 同作は現在21巻まで刊行されており、累計250万部であるという。これはウォルマートのような大手が取り扱うためである。流通方法は、日本と大差なく、出版社から取次を通して小売店に運ばれているという。

 アニメ放送は26作品扱っているが、マスマーケット向きの作品は『NARUTO』と、新春の開始を予定している『ブルードラゴン』である。それ以外の人気作品の『犬夜叉』、『デスノート』、『ブリーチ』はカートゥーンネットワークのアダルトスイム(深夜枠)である。
 アメリカは日本以上に小売店の力が強いため、マスの人々に見られていないこうした時間帯の作品は、商品を扱う上で取引が難しくなる。ひいてはライセンスの際に不利になる。『デスノート』のライセンスは10社あまりに対して、『NARUTO』は100社以上あったという。ポケモンの時は250社以上のライセンスがあったそうである。

 今後の課題は、日本と同じく海賊盤対策である。『NARUTO』のアニメは250話が2500万回YouTubeなどで視聴されている。仮にこのうち10%がDVDを買ったと仮定するならば、1250万ドルの損害が発生したことになる。
 さらに海賊盤はデジタルだけの問題ではない。こちらでは、海賊雑誌があり堂々とアンオフィシャルと書いた雑誌がマンガのコーナーに並んでいるという。その内容は、許諾を得ずに使ったアニメやゲームの画面だったりする。これに対抗するために、権利を一元的に管理するシステムを作る必要があるという。
 もう一つの今後の課題は、ハリウッドでの映画化を目指すという。これは興行ビジネス的なものではなく、国民的な文化であるという計り知れないポジティブイメージを得ることができるためであるとしている。
【日詰明嘉】

ライセンシングアジア 2007 /http://www.licensing-asia.jp/

VIZメディア /http://www.viz.com/
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