梅津泰臣監督の名作アニメ『A KITE』から10年、その新作続編OVA『カイト リベレイターKITE LIBERATOR』が、10月25日東京国際映画祭animecsTIFFで公開された。10年前に、制作されて世界中のクリエイターを虜にした『カイト インターナショナル ヴァージョン』との同時上映である。 『カイト リベレイターKITE LIBERATOR』のほうは、物語の最後まで観せないショートバージョンではあったが、その映像からは前作とはまた異なる大きな魅力が感じとられた。 上映終了後に舞台挨拶にたった梅津監督は、「10年間に描きたいテーマがいろいろ出てきたが、こういうテーマなら『A KITE』続編をやりたいと思った」と今回の続編を手がけた動機を語った。そして今回心掛けたのは、前作と全く違う作品、印象も違う作品することだったそうだ。 それは前回の作品のテーマが「復讐」だったのに対して、今回の作品のテーマが「さまざまな愛のかたち」ということからも判るだろう。『A KITE』が、全編張り詰めるような緊張感にあふれるフィルムであったのに対して、今回は穏やかな日常と激しいバトルシーンが対称的だ。 それはドジな眼鏡っ子と死の天使といったヒロインの二面性にもある。緊張と緩みそのバンランスが、『カイト リベレイターKITE LIBERATOR』の魅力である。 また10年間の時代の流れは、作画にも表れている。冒頭の宇宙のシーンでは、驚くような3DCGが展開し、観る者を驚かせる。 一方では変わらない部分もある。2Dの作画である。10年前に高く賞賛された作画は、まるで力を落とすことなく、今回も描き出された。逆に10年前のレベルが変えようもないぐらいの高みにあったともいえる。 こうした作画についてはファンからの関心も高く、舞台挨拶の観客からの質問では高度な作画に関する質問もあり、監督が驚くほどであった。 (c)2007 TIFF 舞台挨拶に立った声優の小山力也さんは、監督が制作当初から念頭に考えていたキャストだったという。そうした監督の気持ちに応えて、ヒロインの幸せを考えながら声をあてた。 作品は一見は前作とつながらない。しかし、監督によれば微妙なところで前作と繋がってくるという。それは作品を全部観てからお楽しみということだ。(c)2007 TIFFカイト リベレイターKITE LIBERATOR公式サイト /http://kite-liberator.com/東京国際映画祭公式サイト /http://www.tiff-jp.net/ja/
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