10月12日から14日まで開催されているキャラクタービジネスショウのライセンシング・アジアでは様々なセミナーが行なわれる。今回は中でもアニメビジネスを大きく取り上げ、内容的にも興味を惹いたのが、中国のキャラクタービジネスの動向を取り上げた「中国のライセンシングビジネス市場の最新動向」であった。 このセミナーは3部に別れており、最初にコーディネーターの陸川和男氏が様々な数字を用いて、中国のキャラクタービジネスについての概要を示した。その後に、日本貿易振興機構の上海代表処の中澤義晴氏が様々な側面から中国におけるキャラクタービジネスの現状と問題点、アプローチの仕方を説明し、最後に登場した手塚プロダクション代表取締役の松谷孝往氏は、これまでの手塚プロの中国市場における歩みを例に中国におけるアニメ制作の実際を語った。 若干の延長を含めて1時間半程度のセミナーであったが、内容のバランスの良さもあり時間の全く気にならないものだった。 これまで中国市場というと何が起こっているのか判らない、行政の方向性が判らないと言われることが多かった。しかし、少なくともアニメ・マンガ分野においては近年のジェトロのレポートも含めて大まかではあるが概要が見えてきたのではないだろうか。 そうした調査の成果は、今回の中澤氏の講演でも充分に現れていたように感じる。つまり、中国政府がアニメ産業の育成に力を入れていること、その結果海外アニメに対して厳しい姿勢を取っていることである。また、一方で中国国民には日本のマンガ・アニメといったコンテンツは人気があり、そうした人気をどうのようにビジネスに変えていけるかが課題であるということである。 これらについて中澤氏は、新たな著作権ビジネスモデルの確立や、消費者のニーズやセグメントを掴むことが大切であるとしている。また、テレビ以外のメディア利用の可能性を指摘した。 また、中国市場の問題点である海賊版についても取り上げた。海賊版の現状は大きくは改善されていないが、中国人の一部には可能ならば正規品を買いたいとの意識が現れ始めているという。そうした意識の変化は、将来のビジネスにつながって行く可能性がある。 おそらく現段階で、中国市場で海賊版をなくすことは不可能である。そうでれば、海賊版が存在することを前提にビジネスを進めるのが現実的である。むしろ、大切なのは海賊版をなくすことではなく、問題が起きた時に中国の関係機関が日本企業に誠実に対応する体勢が築けることでないだろうか。 いずれにしても中澤氏が言うように、中国市場を理解にするにはまず中国の多民族性、所得間格差、地域特性などを知り複眼的な思考を持つことが大切であろう。そして、同様に指摘された利益が共有することの出来ることの重要性である。日本なり中国なりに一方的に利益が落ちることは、システムとして長続きしないことはキャラクタービジネスに限った話ではない。/ライセンジングアジア /日本貿易振興機構 /ジェトロ 上海センター /手塚プロダクション
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