違法P2PはCD売上げと無関係? | アニメ!アニメ!

違法P2PはCD売上げと無関係?

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 音楽や映画、テレビ作品に携る業界では、インターネット上でのファイル交換がCDやDVDの需要を奪っていると考えられている。しかし、財団法人デジタルコンテンツ協会がまとめた調査研究『P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題』は、このほどインターネット上の楽曲のファイル交換は実際のCDの売上げの増減とは無関係であるという驚くべき調査結果をリポートしている。
 この調査は、『P2Pファイル交換がビジネスに与える経済的影響』のなかでまとめられており、オリコンの上位ランクキング曲と実際行なわれたファイル交換の量を分析したものである。細かな手法は省かせてもらうが、結論から言えばファイル交換とCDの売上げの増減には因果関係が認められなかったという。

 今回の調査は一回のみの調査であるし、楽曲のオリコン30にランクインした半年間の調査という限定的なものである。実際、先行研究としてあげられた調査のひとつでは、ファイル交換はメジャーなアーティストのCDの売上げを減らし、中堅以下のアーティストのCDの売上げを増やすという結果もある。音楽のジャンル別などセグメントごとの分析も十分でないようにも感じる。
 しかし、仮に今回の調査が全面的に正しかったとすると、CDやおそらくDVDも含めて違法なコンテンツのP2P配信がそのビジネスに損害を与えていないとした場合、ファイル交換による違法な配信は認められるのだろうか。かなり難しい問題である。自らのビジネスに損害がないのであれば、金と時間をかけてまでそれを取り締まる動機は相当小さくなる。
 それでも一方で、作品のブランドの維持と消費者に対するイメージを傷つける可能性は残る。つまり、ファイル交換を放置することで、その作品に権利を持つ会社は著作権管理が甘いというメッセージを市場に送り出すことになる。それは、ファイル交換以外の海賊商品、模倣品の呼び水となる可能性が高い。また、品質の低い画像が出回ることで作品のイメージを落とし、制作に携わったクリエーターに不満が残ることもあるだろう。
 何よりの問題は、レンタルも含めた正規で商品を購入している人の心理の問題である。ある程度のお金を出して作品を購入した人に取って同じ作品を無料で手に入れている人の存在は腹立たしいものとなり作品の販売会社への不満となる。これが企業の信頼を傷つけことは十分考えられる。実際、現在、アニメ作品についてインターネットで流通しているファンサブについては、そうした感情的な反発が強いと考えられる。

 それでは、作品の権利者はどうすればいいのだろか。物理的にファイル交換を全面的になくすことはほぼ不可能であると言っていい。そうであれば、むしろこうしたシステムをビジネスとして取り込んで行く方向性が必要でないだろうか。つまり、自らが廉価でインターネットによる配信事業を行えば、少なくとも作品の質の問題はクリアー出来る。アニメであれば、これまで海外での十分な需要が見込めないとされていた作品でも、インターネット配信であれば利益を回収出来るであろう。
 また、先の調査のようにインターネットでのコンテンツ流通が本当にCD(おそらくDVDも)の需要を損なわないのであれば、インターネット配信事業は企業に取って追加的な収益になり、新たなビジネスチャンスである。もし、権利保有者が今は様子見と何の手段も取らなければ、失うものは多くビジネスチャンスはどこか他に持って行かれことになるだろう。

/財団法人デジタルコンテンツ協会 
《animeanime》
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