ガンダムは何故生き残ったのか | アニメ!アニメ!

ガンダムは何故生き残ったのか

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 5月28日に『機動戦士Zガンダム‐星を継ぐ者‐』が公開される。実に、俗に言うファーストガンダムから26年が経っている。正直、よく飽きられることもなく続いたと思う。実際、70年代から80年代に人気のあったアニメは数多かったが、ファミリー向けのアニメを除けば本当に生き残ったのはこのガンダムだけなのだ。
 今となれば、当時からガンダムは人気があったのだから残って当然にも思える。しかし実際は、『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などガンダムに匹敵する人気作品は幾つかあった。では何故残ったのが『ヤマト』でも『999』でもなかったかだろうか。その答えは『Zガンダム』にある。

 『ヤマト』も『999』もそれぞれ続編作品を幾つも持っていたが、『Zガンダム』はそうした作品とは作り方も考え方も全く異なっていた。『Zガンダム』の特異性は『ガンダム・サガ』ともいう長大な物語を語り始めてしまったことにある。1985年の『Zガンダム』の登場によって本来43話で完結していたはずの『ガンダム』は壮大なシリーズの物語の一部に変った。つまり、1985年に『機動戦士ガンダム』はこれまでの『機動戦士ガンダム』とは違う別作品にすり替わたのだ。ここに大きなパラダイムチェンジがあった。
 それは、『Zガンダム』がファーストガンダムの続編であっただけでなく、最初の『ガンダム』から7年後であり(言うまでもなくこれは現実の時間の流れともほぼパラレルになっていた)、前作の主要キャラクターは7歳の年を取っていたという衝撃的なものだった。
 現在でこそ、続編が前作から数年後、何十年後、何百年後というのは珍しくないが、当時のアニメ作品の続編には時間軸という考え方はほとんど存在していなかった。例えば、『ゲッターロボG』は『ゲッターロボ』の直後から始まるし、せいぜい、『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』が前作のせいぜい1年後の話であったりしただけだ。そしてさらに重要なのは、そうした作品は続編ではあっても、前作との物語上の必然的なつながりは見られなかった点だ。物語的には続編である必要はなかった。勿論、そこには続編から初めて観る人をフォローしようという強い意図が働いていた。
 それゆえ、多くの続編はそれ自体が独立した物語であり、時には前作で起きたことがなかったことにされたりもした。つまり、『Zガンダム』以前の続編は、基本的にはすごろくのスタートに戻る、もう一度やり直しでしか過ぎなかった。それは、20年経っても、30年経っても小学校を卒業出来ない『サザエサン』のカツオみたいなものなのだ。
 
 ガンダムシリーズは『Zガンダム』が登場することで、これまでは裏設定に過ぎないと思われた物語上の歴史が表に現われ、さらに『Zガンダム』に続く作品がその後、あるいは間、その前と次々に広がっていった。そうして、そうした世界観こそがガンダムシリーズの魅力へと変っていった。

 宇宙世紀のガンダムシリーズは欧米ではあまり受けていないと言われている。それは、一般には、ロボットものは欧米ではあまり受けないためだと説明されることが多い。しかし、ガンダムが欧米で受けないのは、実はファンと一緒に育った宇宙世紀という設定にも大きな理由があると思っている。
 つまり、ガンダムからZガンダム、ZZ、逆襲のシャア、それらをつなぐ多くのOVA作品や小説、こうした物語が少しずつ与えられることでファンと伴に作品は育ってきた。また、そうした設定作りには、ファンの意向も実際強く影響を与えてきたし、多くのガンダムはそうしたファンだった人達が作ってさえいるのである。
 既に全て揃っている状況では欧米のファンは日本のファンのように本当の『ガンダム』を楽しむことが出来ないに違いない。
 つまり、ガンダムシリーズが生き残って来たのは、宇宙世紀という世界観が与えられたこと、それが制作者とファンとのインタラクティブな関係の中で成長してきたことにある。そして、その始まりこそが『Zガンダム』にある。ある意味では『Zガンダム』は、ガンダムシリーズの中ではファーストガンダムより重要な作品といえるだろう。

/機動戦士Zガンダム‐星を継ぐ者‐ 
《animeanime》
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