日本漫画映画の全貌展 | アニメ!アニメ!

日本漫画映画の全貌展

 マスコミに華やかに取り上げられ、世界に羽ばたきく日本アニメ。一体、日本のアニメはいつの間にそんなに強くなったのか。誰がこの日本アニメを作り出し、支えてきたのか。この『日本漫画映画の全貌』の展覧会はその疑問に答えてくれるだけでなく、日本のアニメーショ

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 マスコミに華やかに取り上げられ、世界に羽ばたきく日本アニメ。一体、日本のアニメはいつの間にそんなに強くなったのか。誰がこの日本アニメを作り出し、支えてきたのか。この『日本漫画映画の全貌』の展覧会はその疑問に答えてくれるだけでなく、日本のアニメーションの始まりから現代にいたるまでの概要を知るのに最適である。

 展覧会を観れば日本アニメの優れたアニメは突然現われたのでなく、まだアニメが映画や小説といったカルチャーから一段も二段も下であると思われていた時代に、熱い情熱を持ってアニメを制作していた人々の努力に支えられていたことが判る。
 大量に展示された当時の制作のための資料である原画やイラストボードなどは、それがアニメの制作のための材料であることを忘れさせるほど素晴らしい。そして、制作に携わった人々の技量の高さを確認させてくれる。

 『白蛇伝』や『太陽の王子ホルスの冒険』といった名作に光をあて直すと同時に、『リトルニモ』や『セロ弾きのゴーシュ』といった良質だが世間ではあまり注目されることのなく終わった作品の紹介にも力を入れている。

 しかし一方で気になったのは、この展覧会が今や世界の共通語ともいえるアニメという言葉を避け、敢えて古臭い言葉である“漫画映画”という言葉を使っていることだ。そこには、現在量産されているTVアニメやOVAとは一線を引こうとする意識が強烈に見える。
 確かに、ここで言う“漫画映画”は素晴らしいものである。これだけの優れた映像や制作資料を見せられた後ではなおさらである。しかし、こういった展覧会を取り上げ、紹介の人の中には時に垣間見せるいわゆる商業主義に乗った作品を一段下と見る姿勢が気になる。

 日本アニメの歴史には、日本動画から東映動画(現東映アニメーション)そしてスタジオジブリを中心に流れてきた手間と時間をかけた良質の長編アニメーションがある。一方で、大衆志向と商業主義が結びついたTVアニメ(その劇場展開も含む)が発展し来た。そして両者は絡み合いながら成長して来た。
 どちらがより優れているものでもなければ、劣っているものでもない。それぞれに、意味のある存在である。
 しばしば現在の日本のアニメに厳しい見解を示す宮崎駿監督の代表作のひとつが、大衆アニメの最前線であるルパン3世の劇場展開であったことを思い出して欲しい。両者は、日本アニメの歴史の両車輪なのである。今回の展覧会は、大変楽しかった。しかし、いつの日か同じ現代美術館で『ガンダム』や『セーラームーン』、『ドラゴンボール』といった作品も含めた展覧会が実現することを願う。

日本漫画映画の全貌
会期 2004年7月15日(木)~8月31日(火) 
会場 東京都現代美術館
主催 財)東京都歴史文化財団/東京都現代美術館/日本テレビ
企画 アニドウ
制作協力 スタジオジブリ /監修 大塚康生/構成 なみきたかし/特別協賛 EPSON


/東京都現代美術館  http://www.mot-art-museum.jp/ex/plan_h16-04.htm
/東映アニメーション http://www.toei-anim.co.jp/
《animeanime》
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