「PLUTO」原作者・浦沢直樹「手塚先生から受け取ったバトンを皆さんに…」 新情報だらけの「Netflix」ステージレポ【AJ2023】 | アニメ!アニメ!

「PLUTO」原作者・浦沢直樹「手塚先生から受け取ったバトンを皆さんに…」 新情報だらけの「Netflix」ステージレポ【AJ2023】

「Netflix」が、今年で開催10周年を迎えた「AnimeJapan」に通算5度目の参加を果たした。「ネトフリアニメ スペシャルステージ」では、『PLUTO』をはじめ『大奥』、『ヤキトリ』、『陰陽師』などのバラエティ豊かな作品の新情報を伝えた。

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「ネトフリアニメ スペシャルステージ」
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世界最大級の動画配信サービス「Netflix」が、今年で開催10周年を迎えた「AnimeJapan」に通算5度目の参加を果たした。会場内に設営されたNetflixブースにおいては、「Netflix Anime Cross Junction」をテーマに現在/過去/未来、あらゆるジャンルのタイトルを様々なアクティビティや人気声優たちによるトークイベントを通して紹介した。

加えて、「ネトフリアニメ スペシャルステージ」においても、『PLUTO』をはじめ『大奥』、『ヤキトリ』、『陰陽師』などのバラエティ豊かな作品の新情報を伝えた。

「ネトフリアニメ スペシャルステージ」では冒頭、「Anime Japan 2023 ネトフリアニメ スペシャルムービー」が上映されイベントがキックオフを迎えた。その前半パートでは、2023年に配信となる新作タイトルが発表された。

「Netflix」ステージ

『大奥』はよしながふみ原作で、実写ドラマ化・映画化もされた“国民的作品”の初のアニメ化となる。監督を担当するのは、『アルスラーン戦記』、『幽☆遊☆白書』、Netflix映画『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ』などの人気アニメを手掛けてきた阿部記之だ。

配信発表を受けて阿部監督は、「長く時間をかけて制作してきた作品がいよいよ世界中にお届けする日がやってきて、とても嬉しいです。今回、私も含め、多くのスタッフは原作が大好きで、それを最大限に尊重したつくりを目指しました。よしなが先生とも細かい表現や、映像の色合いなど、たくさんの意見交換させていただきました。大奥の美しさを、美術、そして着物の柄や質感などできるだけ丁寧に表現しておりますので、配信をぜひ楽しみにお待ちください」とコメント。
原作へのリスペクトとともに、配信への期待を寄せた。

『大奥』

さらに、宮野真守、松井恵理子、梶裕貴、関智一など、『大奥』の華麗なる世界を彩る超豪華声優陣も発表となった。物語の舞台となるのは、謎の疫病で男子の人口が急速に減少し、社会運営の根幹や権力が女性に完全に移った江戸。

『大奥』

公開された場面写真は、原作マンガの繊細なタッチが再現された美しさを感じさせる。はたして、誰もが知るおなじみの作品は、Netflixシリーズとしてどのような世界観・ストーリーに生まれ変わるのだろうか。

『ヤキトリ』は、『幼女戦記』で鮮烈デビューを飾った“気鋭のSF作家”カルロ・ゼンによるミリタリーSFノベルのアニメ化となる。物語の舞台となるのは、巨大星間国家「商連」が支配する未来の地球。
そこで暮らす主人公の青年・伊保津明はある日、商連の「調理師」パプキンにスカウトされ、惑星軌道歩兵部隊「ヤキトリ」に志願する。

『ヤキトリ』

『ブライト:サムライソウル』のアレクトがアニメーション制作を手掛け、安保英樹監督のもと脚本を堺三保、キャラクターデザインを山形厚史、自身初のアニメ音楽作品となるケンイシイが音楽を担当する。

さらに、坂泰斗、瀬戸麻沙美、武内駿輔、河西健吾、鬼頭明里、津田健次郎、高木渉、稲田徹といった豪華キャストが参加。
また、劇中で明たちをサポートする管制AI として、バーチャルシンガー「初音ミク」とのコラボレーションにより生まれた派生キャラクター“初音ミミ”が登場するなど、かつてないキャスティングにも注目だ。

『ヤキトリ』オープニングクレジット映像

公開されたオープニングクレジット映像でも、精細に作り込まれた独創的でユニークな世界と、そこで繰り広げられる物語が待っていることがわかる。惑星中の“はみ出し者”とともに明が挑む、謎に満ちた冒険の行方はいかに。

『陰陽師』は、夢枕獏が1986年に発表して以降、“安倍晴明ブーム”を巻き起こした小説の“初のアニメ化”となる。
物語の舞台は栄華を誇る平安京。都を騒がす鬼の謎を解き明かすため、人らしからぬ空気を身にまとった男、稀代の陰陽師・安倍晴明がその力を発揮する。

『陰陽師』

デザインが公開された博雅というキャラクターは、ひょんなことから、鬼の謎を晴明と共に解き明かす存在になる。どこか浮世離れした晴明に振り回されつつ、情に熱くまっすぐな心は時に晴明すら驚かし、事件解決にひと役買うこともあるようだ。
タイプの異なる平安凸凹バディの掛け合いに注目したい。

3作品の紹介が終わり、会場も大きな盛り上がりを見せるなか、ついに後半では『PLUTO』パートがスタートした。
MCの呼び込みで、原作者の浦沢直樹と、本作の監修を務めた手塚眞、さらにアトム役の日笠陽子、ウラン役の鈴木みのりが登場。会場からは大きな拍手とともに歓声が上がった。

浦沢は「ついに今年配信となります。皆さんもワクワクしていると思いますが、僕のほうがワクワクしています。楽しみにしていてください」とコメントする。続く手塚は「今回は『PLUTO』の原作となりました『鉄腕アトム』の原作者:手塚治虫の遺族として来ました。本作には監修として関わっています。これからアニメ『PLUTO』の応援をしていきたいと思います」と挨拶した。

日笠は「伝説のアトム、そして浦沢さんの原作に携われる二重の喜びと重みを噛み締めています。皆さんの前でお話ができることを嬉しく思っています」と語り、鈴木は「偉大な作品の豪華なステージに豪華な出演者の皆さんと一緒に立てて緊張していますが、作品の魅力を伝えられたと思います」と述べた。

『PLUTO』制作決定PV

MCより、アニメ化発表を受けての感想と『PLUTO』の原作となった『地上最大のロボット』にはじめて触れた際の体験について聞かれた浦沢は、今でもその記憶が鮮明に残っているようで、「この企画は随分前から内緒でやってきました。言いたくて言いたくてしょうがなくて、やっと言って良いのかとホッとしました。5才の頃に初めて原作を読んで、その時に心の中で全漫画の中で中央に鎮座するイメージがありました。幼いながらも なんという切ない話なんだろうと5才の浦沢少年は思いました。その得体のしれない切なさみたいなものを一生かかって突き止めていくような感じがしております」と明かす。
改めて、手塚治虫の物語に隠された奥行きについて力説した。

「Netflix」ステージ

また、日本初のTVアニメとして1963年に『鉄腕アトム』が放送され、そこから60年の時を経て『PLUTO』が日本、さらには世界へ配信されることへの今の心境を聞かれた手塚は「アトムの最初のTVからきっかり60年で『PLUTO』が生まれて、先日発表できたことに運命的なことを感じます。もともと『PLUTO』の漫画は2003年に浦沢さんがやろうとスタートしたのですが、そこから丁度20年経っています。本当にこの20年もずっと人気があって、しかもアニメ化されるというのは、紛れもなく名作だと思っています。おそらく父親も大変感謝していると思います。“俺の作品を風化させなかった、ありがとう浦沢君”と言っていると思います」。
「最初浦沢さんから(漫画の)話があった時は、こちらも1年近く悩みました。ですが今日のことをその時に知っていれば、すぐにでもOKしていたと思います。そして、この20年何度もアニメ化の話があったのですが、今回1番良い形でできたのではないかと思います。楽しみにしております」とコメント。
『PLUTO』という作品が持つ力とその可能性について言及する。

「Netflix」ステージ

続いて、物語の中で世界最高の人工知能を持つロボットであるアトムを演じた日笠は、アトム役に決定したときの気持ちを聞かれると「オーディションに受かったと聞いた時は、嬉しさと驚き、意外と苦悩という感情が一緒にやってきました。というのもオーディション資料に浦沢先生のコメントが書いてあって、浦沢さんも『PLUTO』を書く時非常に苦悩したと、ただアニメーションを作る皆様にも一緒に苦悩してほしい、と書いてあって、その言葉がずっと心に残っていて、受かった瞬間に浦沢さんの言う苦悩の旅に出ていくのだと思いました。ものすごい覚悟で臨ませていただいております」とコメントした。

また、アトムの妹・ウラン役を演じた鈴木も「同じくオーディション受ける時の資料に、皆様がこの作品にどれだけ時間と気持ちをかけているかということが10ページぐらいに渡って書かれていて、自分もこの作品に関われるのであれば、全身全霊を懸けて挑んでいくべきだと思いましたし、実際ウランを演じてから、元々人の痛みや感情がわかる子ですが、とはいえロボットなので人間しかわからないものもどこかにある、そのバランスを表現する際にかなり苦悩しました。悩んで悩んでキャラクターをつくっていったなという感覚があります。」と想いを話す。
2人とも、喜びとともに苦悩が非常に大きかった様子をあらわにした。

「Netflix」ステージ

そして、浦沢自身が本作のために描き下ろしたティザービジュアルが公開されると、その完成度の高さに会場からは驚嘆の声が上がった。
ビジュアルには、主人公の刑事ロボット・ゲジヒトはじめ、アトム、エプシロン、ノース二号、ブランド、ヘラクレス、モンブランの7人の世界最高水準のロボットに加え、その背後に浮かび上がる巨大な影が描かれ、本編への期待がより一層高まる仕上がりだ。

このビジュアルについて、浦沢は、「久しぶりに描いたのですが、案外スラスラと出てきました。キャラ立ちがしっかりある方たちなので、自分からしっかり演技をしてくれたなと思います」とコメント。

また、初めてビジュアルを見た日笠は「私、アフレコの時、本当にこういう目をしていたと思います。この目になるぞと思って演じていたので、見てびっくりしました!」と語り、手塚も「マンガの時のアトムより凛々しくなっていると思います。アニメ版のアトムの顔になっていますね」と嬉しそうに話した。

『PLUTO』

最後に、日笠は「オーディションを受ける時に、日笠家全員 浦沢先生のファンなので、『PLUTO』の初版を持っていて、兄からその原作本を預かって臨みました。『PLUTO』の話って、ロボットの中にある家族の物語でもあるんです。血が繋がっていなくても、家族としての感情だったり愛情だったり、そういうものに目を向けられるのではないかと思っています。兄からのパワーを受け取って、ウランのお兄ちゃんにさせてもらったなと思っています。そんな気持ちが作品に乗っていれば良いなと思います。全身全霊を込めて、感情を開放する気持ちで演じております。配信を楽しみに待っていてください」とあいさつする。

鈴木は「まさか自分が手塚さん、浦沢さんの作品に関われることが夢のようで、緊張しているのですが、伝えたい気持ちはたくさんありますが、ウラン役としてこの作品に懸けてきた皆さんの想いを大切に、ウランと向き合い続け、挑み続けたお芝居ができているのではないかと思います。作品の配信を楽しみしていただき、配信された際には、どっぷり作品につかっていただければと思います」と語った。

「Netflix」ステージ

手塚は「今こそ『PLUTO』を見る意義があるかと思います。世界では戦争が起きています。そして様々な分断や差別が起きております。その中で、『PLUTO』を見ることがどれだけ大切なことか、この時代のためにできた作品かと思います。それを20年前に予見していた浦沢さんもすごいと思いますし、もちろん昔から言い続けていた手塚治虫の想いを受け止めて味わっていただきたいと思います」と述べる。

浦沢は「手塚治虫さんは60年前に、この話を我々に提示してくれていました。そして60年たった今、世界はこのような状態になっていて、今も尚この作品が有効であるということだと思います。それが僕が原作から感じた巨大な切なさなのではないかと思います。手塚先生から僕が受け取ったバトンを今度は皆さんに受け取っていただきたいと思います。そういうことをしていかない限り、僕の抱える巨大な切なさは消えないと思います」と作品への想いと葛藤を吐露する。
この時代にアニメで表現される『PLUTO』を届けることの意義を語り、イベントは幕を閉じた。 

「Netflix」は3月25日・26日の2日間にわたり、「AnimeJapan 2023」会場内のNetflixブースで30を超えるタイトルを展示やトークイベントを通じて紹介する。そして今後は、このたびフォーカスされた『PLUTO』のような大型タイトルを、確かな実績を持つ国内有数の制作スタジオとともに、本格的な映像化にさらに着手していく構えだ。


<「ネトフリアニメ スペシャルステージ」開催概要>

【日時】3月25日 11時20分~11時50分

【場所】「AnimeJapan 2023」会場内 BLUE STAGE

【登壇者(敬称略)】浦沢直樹、手塚眞、日笠陽子、鈴木みのり

■Netflixシリーズ「PLUTO」

2023年独占配信

■Netflixシリーズ「大奥」

2023年夏独占配信

■Netflixシリーズ「ヤキトリ」

2023年5月独占配信

■Netflixシリーズ「陰陽師」

2023年独占配信


《仲瀬 コウタロウ》
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