のび太の“自己肯定感の低さ”に共感してしまった「STAND BY ME ドラえもん 2」【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】 | アニメ!アニメ!

のび太の“自己肯定感の低さ”に共感してしまった「STAND BY ME ドラえもん 2」【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】

【アニメ!アニメ!編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】今回は、2020年11月20日に公開されたアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん 2』を紹介します。

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『STAND BY ME ドラえもん 2』(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
  • 『STAND BY ME ドラえもん 2』(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
  • 『STAND BY ME ドラえもん2』超ティザービジュアル(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会
2020年ももう間もなく終わります。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響により放送延期や、イベントの中止などアニメ業界にとっても波乱が起きた年でもありました。そんな中でも、かつて放送された名作の再放送なども行われ、新しい作品の魅力だけでなく、過去作品の魅力も再発見できたのでは…。

そこでアニメ!アニメ!では、2020年を振り返り「これがオレの1番○○なアニメだったな」と思う作品をピックアップ! 編集部が選ぶイチオシの作品を連載形式で紹介していきます。

『STAND BY ME ドラえもん』


『STAND BY ME ドラえもん 2』(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
『STAND BY ME ドラえもん 2』(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners

概要・ストーリー


『STAND BY ME ドラえもん2』は、2020年でドラえもんの漫画連載開始50周年となる記念の年に、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』に続いて公開される3DCGアニメーション。“監督・八木竜一×脚本・共同監督・山崎貴”が再びタッグを組み、山崎が前作で描きたくても実現できなかったという「おばあちゃんのおもいで」(原作4巻)をベースに、新たなオリジナル要素を加えてストーリーを再構築。
のび太としずかちゃんの結婚をめぐるラブストーリーが描かれた『STAND BY ME ドラえもん』の、その先に続く物語となっています。

オススメポイント


“ドラ泣き”という言葉が日本を席巻し、数多くの大人を涙させた『STAND BY ME ドラえもん』。続編である『2』で描かれるのは「男のマリッジブルー」です。テーマもより大人向きで、のび太の置かれた境遇や心理により共感してしまいました。
今回は「自己肯定感がぶち上がるアニメ映画」として本作をピックアップしました。

のび太としずかちゃんの結婚をめぐるラブストーリーが描かれた前作。ですが、『2』では結婚式当日、大人になったのび太は式場に現れません。

最初、予告編を見たとき「しずかちゃんをお嫁さんにもらえるのに逃げ出すなんて、のび太のくせに!」と思わずツッコんでしまいましたが、一方で共感するところもありました。


「僕はこんなだから、もしかかしたらしずかさんを幸せにしてあげられないかもしれない」
このセリフに顕著に表れているよう、自己肯定感の低いところです。

本作では、そんなのび太がタイムマシンで「過去・現在・未来」を行き来したり、ひみつ道具「入れかえロープ」で現在・未来の自分と入れ替わったりと『ドラえもん』らしいSF的ギミックを交えつつ、自己肯定感を獲得するまでの過程が描かれます。

筆者がグッときたのは、クライマックス。しずかちゃんがのび太に告げるセリフです。のび太のように自己肯定感低めな筆者にとって、「究極言われたいのはこの言葉なんだよなぁ」というセリフがズバリ放たれます。これまで読んできた「自己肯定感を高める方法」系のどんな本や記事よりも刺さりました。
しかも、それを小学生の女の子が言うなんて……国民的アニメヒロイン・しずかちゃんの圧倒的強さを感じさせます。

ひるがえって、現実世界を見てみると、「自己肯定感」がブーム。書店に行くと自己肯定感に関する本がズラリと並びますが、だいたい書かれていることは同じ。要は「自己を受容すること」「ありのままの自分を認めること」。
しかし、これはともすると、のび太のような怠け者にとっては、「現状維持」「今のままでいい」という自分の都合の良いように解釈してしまう危険性があります。

本作がうまいのは、最後におばあちゃんがのび太に伝えるメッセージで、決して現状維持を推奨しているわけではないことを示唆していること。
そうした秀逸さもふくめて、「自己肯定感を高めてくれる映画」として本作をオススメします。

(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners
《沖本茂義》
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