「最後のジェダイ」が合わなかった人こそ見てほしい「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を見るべき理由【編集部が選ぶ2019年No.1アニメ】 | アニメ!アニメ!

「最後のジェダイ」が合わなかった人こそ見てほしい「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を見るべき理由【編集部が選ぶ2019年No.1アニメ】

アニメじゃなくてごめんなさい。でも30年来の『スター・ウォーズ』ファンとして、やはり2019年の1本を選ぶなら『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を選ばざるを得ないということで筆を執りました。

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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(C) 2019 and TM Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
  • 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(C) 2019 and TM Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
アニメじゃなくてごめんなさい。でも30年来の『スター・ウォーズ』ファンとして、やはり2019年の1本を選ぶなら『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を選ばざるを得ないということで筆を執りました。

※以下、本作のネタバレに触れる可能性のある記載があります。ご注意ください。


◆僕とスター・ウォーズ


さすがに『スター・ウォーズ』の説明をするのも野暮なので、さらに野暮かもしれない筆者の話から始めましょう。現在32歳で、『スター・ウォーズ』との出会いははるか昔の話。さすがに30年来のファンは年齢がおかしくないか?とツッコミもありそうですが、10年近く前に他界した父方の祖父がハイカラな人で『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』なんかが大好きな人物でした。
長崎にあった祖父母が住むボロボロの団地の狭いのリビングには、今は無きレーザーディスクの映画がずらり。そして両親の初デートは1978年公開の『エピソード4/新たなる希望』というわけで、物心つく前から何度も何度も繰り返しオリジナルトリロジーを見せられ、興味も無い初デートの話もすり込まれ、自分の中のミディ=クロリアンが活発に動き始めたわけです。まだそんな設定はなかったんですけど。

そんな筆者にとって“初めて”の「スター・ウォーズ」は『エピソード1/ファントム・メナス』でした。ジャー・ジャー・ビンクスとかジャー・ジャー・ビンクスとか、色々と評判の悪いプリクエル・トリロジーですが、個人的にはずっと見てきたサーガをリアルタイムで体感できた「僕のスター・ウォーズ」という思いが強く、どのエピソードにも大変思い入れがあります。
また、その経験は両親にとっても変わらないものだろうし、自分の子どもたちと初デートで見に行った映画の続編を一緒に見るという経験は何事にも代えがたい喜びだったのだろうと親になった今、興奮していた両親の姿にも納得できるようになってきました。

『エピソード3/シスの復讐』をもって、当初は全9部作と伝えられていたジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』は終わりを告げ、永久に語られることのないエピソード7以降のストーリーに思いを馳せて幾年……。そこまで続編が観たいとも思わなかったのですが、2012年10月にディズニーがルーカスフィルムを買収し、実現することのないシークエル・トリロジーが公開されることになったわけです。
もちろん小躍りして喜び、新たなるサーガの夜明けに胸を高鳴らせた一方、ジョージが直接的に関わらないことも報じられるなど一抹の不安も拭いきれずにいました。プリクエル・トリロジーが批判の対象となった一方、やはりジョージの『スター・ウォーズ』が観たいという思いも多くの人が抱いていたはずです。

2015年に『フォースの覚醒』、2017年に『最後のジェダイ』とエピソード7と8が当初のアナウンス通り公開され、その幕間に『ローグ・ワン』や『ハン・ソロ』といったスピンオフも公開されました。各作品の詳述は避けますが、やはり『スカイウォーカーの夜明け』に至るまでのシークエル・トリロジーについては少し振り返っておきたいと思います。

◆シークエル・トリロジーをどう見るか


全世界が待望していた『フォースの覚醒』は、概ね批評家にも観客にも高評価で受け入れられ、筆者としてもリブート1作目としては十分に評価できると思っています。一方でジョージが批判批判したように、とにかく“真新しさ”には欠ける作品でした。過去作のオマージュだったり、レジェンドがこれでもかと活躍する様だったり、良くも悪くもJ・J・エイブラムスによる「ぼくのかんがえたさいきょうのすたー・うぉーず」ともいえる内容に少し胃もたれすら覚えました。それでもジョージの後に『スター・ウォーズ』を再覚醒させたJ・Jには賛辞を送りたいし、偉業をやってのけたと思います。

リブートに成功した『スター・ウォーズ』はどこへ向かうのか……。多くの謎が明かされ、物語が動くと多くの人が信じてやまなかった『最後のジェダイ』からシークエル・トリロジーの雲行きに暗雲が立ちこめます。監督はJ・J・エイブラムスからライアン・ジョンソンにスイッチし、シリーズ最長の尺を使い、批評家から非常に高い評価を受けたものの、観客からは酷評される結果となりました。
ちなみに筆者も『エピソード3/シスの復讐』以降、最速に近いタイミングで劇場に足を運ぶことをライフワークにしていますが、『最後のジェダイ』は観賞後に深夜の有楽町を「なぜこんなことになってしまったのか」と泣きながら徘徊したことをよく覚えています。
正直なところ、ライアンのやりたかったことは理解もできるし、むしろシークエル・トリロジーを過去の遺産を浪費するだけのものではなく、全く新しい『スター・ウォーズ』にしたかったのだろうという思いは伝わってきました。随所にちりばめられたアンチ『スター・ウォーズ』の方向性は決して全てがダメではなかったものの、無為に死んでいくレジェンドたち、悪名高い「ハイパースペース特攻」など目も当てられない稚拙な描写や、『フォースの覚醒』であそこまで懐古趣味に徹したにもかかわらず、続編で180度急旋回した意欲的すぎる作りをしすぎた結果、ハッキリ言ってシリーズ史上最低の作品になってしまったというのが筆者の感想です。

◆『スカイウォーカーの夜明け』は『最後のジェダイ』が嫌いでも見に行くべき


続くスピンオフの『ハン・ソロ』の興収も奮わず、今後の展開が危ぶまれる中でシークエル・トリロジーの最後のエピソードとして公開された『スカイウォーカーの夜明け』。前2作に比べると批評家の評価も高くはないですが、「『最後のジェダイ』が嫌いでも、ちゃんとその終末をみとどける価値のある作品」といえるでしょう。『フォースの覚醒』で賞賛されたJ・Jが再びメガホンを取り、またしても懐古趣味全開で「ぼくのかんがえたさいきょうのすたー・うぉーずかんけつへん」が展開されるので、『最後のジェダイ』を観てからというもの全く期待をしていなかったこともあって、ぶっちゃけ満足度は高いです。冒頭ご紹介した筆者の両親も涙ながらに観たと嬉しそうに報告してきました。

……が、シークエル・トリロジーとして全体を俯瞰した時に、果たしてこの3部作はなんだったのだろうかという言い得ぬ虚無感も襲ってきます。結局のところ、『スカイウォーカーの夜明け』は『最後のジェダイ』の急旋回をほぼ全てを否定するのに終始し、ドタバタと物語を畳みにかかり、最後に頼ったのはパルパティーンとなると、そりゃアナキン・スカイウォーカーじゃなくても「ノー」と言いたくなりもします。そのドタバタを1本の映画としてなんとか着地させ、スカイウォーカー・サーガを終わらせるだけでなく、スカイウォーカーの夜明けを見せてくれたJ・Jの技量には再び脱帽する一方で、やはり全体的にちぐはぐな印象はどうしても拭いきれません。

現時点でディズニーは、新たな作品についても言及していますし、40億5000万ドル(当時のレートで3,200億円)という巨額を投じてルーカスフィルムを買収したわけで、今後も『スター・ウォーズ』は続いていくでしょう。面白いことに公開当初あれだけ酷評されたプリクエル・トリロジーも、ネットの評価を見回すと我々のような世代が増えてきているのか、当時ほど酷評も少ないですし、もしかするとシークエル・トリロジーを観た子ども達も、同じように“私のスター・ウォーズ”として記憶に刻み、また違った感想で溢れるようになるのかもしれません。とにかく色々言いたくなるのは間違いない最終章なので、まだ観てない方はぜひ年末年始に劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
《宮崎 紘輔》
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