「技術は見て盗め」はもう難しい―エイトビットが実践する、アニメーターが成長し続けられる組織づくり【インタビュー】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「技術は見て盗め」はもう難しい―エイトビットが実践する、アニメーターが成長し続けられる組織づくり【インタビュー】

アニメサイト連合企画「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」の第19弾は、エイトビットの社長・葛西励にインタビュー。設立から11年という、まだ若い制作会社の取り組みを聞いた。

インタビュー
エイトビット 葛西励氏インタビュー
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■企画を決める時の基準はスタッフィング


エイトビット 葛西励氏インタビュー
――オリジナル企画はいろいろ苦労があると思いますが、プロデューサーとして気をつけていることはありますか?

葛西:原作ものはもうそこに「おもしろさ」があるんですが、オリジナルはそれをゼロから作らなくてはならないのが大変です。制作する時に意識しているのは、なるべく腹の探り合いみたいなのはしないで、お互いに本音で話しにいくことを大事にしています。

最初に本音を隠して始めても、後々絶対いいことがないんですよ。本音で話して、納得してやって、それでうまくいかなかったらそれで仕方ないと思うし(笑)。
それで、うまくいくようにしていくのが自分の仕事なのかなと。

――原作ものも含めて、いろんな企画の話が持ち込まれると思います。その作品を制作しようと決める時の基準はなんでしょうか。

葛西:一応、年間3タイトル程度はコンスタントに手がけたいと思ってます。
企画を決める時の基準は、やっぱりスタッフィングですかね。この人にお願いしたいという人に引き受けてもらえなかったら、その企画はやれないと思います。
たとえば『ヤマノススメ』だったら、山本裕介監督とキャラクターデザインの松尾祐輔さんが引き受けてくれなかったら、エイトビットで作れなかったと思います。

エイトビット 葛西励氏インタビュー
――どうして山本監督と松尾さんで行こうと思ったのですか。

葛西:『ヤマノススメ』は、ちょうどいろいろな傾向の作品をやりたいと思っていた時期に、コミック アース・スターさんからアニメ化のお話をいただきました。
その時点で、この絵柄なら松尾祐輔さんがはまるだろうと思っていました。山本監督はその直前に『アクエリオンEVOL』でご一緒していましたし、『ケロロ軍曹』などを見てもテンポ感とドラマのバランスがすごく上手なので、お願いしたいなと。

山本監督のその手腕は、実際『ヤマノススメ』第1期で改めて実感しました、第1期は5分枠だったのですが、原作の1話をそのままやるには短くて。
でも5分枠で前後編というのも視聴者の方にとってはみづらいですよね。

そこを山本監督は、主人公あおいの心理描写に絞ることでシンプルにわかりやすくまとめてくださって。
そういうスタッフィングがはまったから『ヤマノススメ』は、短い尺の中でもちゃんとハートフルな作品になったと思います。

――『ヤマノススメ』も第3期まで続く息の長いタイトルになりました。

葛西:一般の方でも、『ヤマノススメ』をきっかけに登山するようになったという話を結構聞きます。そいう広がりも含めて、いろいろな人に届くような作り方ができたんだなって。
ちゃんと制作して、そこに評価がちゃんとついてくるというのが理想ではあると思ってるので、結果としてすごく理想的な形になった作品です。

『転生したらスライムだった件』(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会『転生したらスライムだった件』(2018)
(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

――海外にもエイトビット作品のファンの方がいると思いますが、人気を実感することはありますか?

葛西:うちの作品だけに限ったことではないですが、海外を訪れた時に、日本のアニメのポスターが貼ってあったり、向こうのアニメショップにいろんなグッズが置いてあったりすると、人気の広がりを実感します。うちの作品だと『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』(2017)や『転生したらスライムだった件』(2018)が特に人気がある感じですね。

『転スラ』は日本だと投稿サイト「小説家になろう」から生まれた作品ということで知られていますけれど、向こうでは、王道ファンタジーというか、『ONE PIECE』とか『FAIRY TAIL』といった作品の仲間として見られているらしいです。
『転スラ』は、特に映像として見てておもしろいと思われている印象なので、そこを大事にしながら、追いつけ、追い越せの気持ちで頑張ります。

――海外のファンに望むことはありますか?

葛西:望むこと、というわけではないんですが……。
日本にいると、自分たちの作品が海外でどういうふうに受け止められているのか、本当に気づけないんですよ。それがわかるといいなぁとは思っています。

だからTwitterなりなんなりで、感想を書いてもらえたりするのはすごくありがたいし、そうやって作品が届いたことがわかると、すごくスタッフの活力になるんですよ。そういう情報はどんどんスタッフに伝えていきたいと思いますね。

エイトビット 葛西励氏インタビュー長机の中央部には他の社員と隣り合わせで葛西氏の執務スペースがある


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《藤津亮太》
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