「ルパン三世 PART5」なぜデジタル社会を舞台としたのか? 矢野雄一郎監督×大河内一楼インタビュー | アニメ!アニメ!

「ルパン三世 PART5」なぜデジタル社会を舞台としたのか? 矢野雄一郎監督×大河内一楼インタビュー

『ルパン三世PART5』より矢野雄一郎監督×大河内一楼氏にインタビュー。長きにわたる歴史の中で、様々なルパン像を描いてきた本シリーズ。最新作では、新たなる要素をどのように『ルパン』に取り入れていったのか。最新作の中核をなすお二人に、本作の魅力について訊いた。

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「ルパン三世 PART5」なぜデジタル社会を舞台としたのか? 矢野雄一郎監督×大河内一楼インタビュー
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  • TVアニメ『ルパン三世 PART5』原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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2018年4月3日より、前作から2年の時を経て最新テレビシリーズ『ルパン三世 PART5』が放送される。
イタリアを舞台にハードボイルドなドラマが展開された前作とは打って変わって、本作の重要な要素は「デジタル」。アルセーヌ・ルパンがその名を轟かせたフランスを中心に繰り広げられるデジタル犯罪に、ルパン一味はどう絡んでいくのか……。
そんな本作の監督を務めるのは、これまでもシリーズに関わってきた矢野雄一郎氏。そして、シリーズ構成を手掛けるのは『ルパン』初参加となる大河内一楼氏だ。
長きにわたる歴史の中で、様々なルパン像を描いてきた本シリーズ。最新作では、新たなる要素をどのように『ルパン』に取り入れていったのか。最新作の中核をなすお二人に、本作の魅力について訊いた。

アニメ『ルパン三世PART5』
https://lupin-pt5.com/


■ 現代の泥棒は、当然スマホも使うはず

――『ルパン』にこれまでも携わってきた矢野監督と、初参加となる大河内さんですが、それぞれが今回のお仕事をお受けになった経緯というのは?

大河内
トムスさんから、「今度『ルパン三世』のPART5を作るので、協力してください」といったご連絡が来て、『ルパン』がもともと好きだったのもあり、「やります!」と即答でした。

矢野
僕の方は、そのまま続投してほしいと言われて「はい!」 と。

――お声がかかった時点で、企画はどこまで固まっていたのでしょう?

大河内
『PART4』の続きであること、舞台がフランスということくらいでしたね。

――最初からデジタル要素を押し出して行くと決まっていたわけではなかったのですね。

大河内
はい。ただ、現代を舞台にルパンを描くとしたら、当然スマホも持っていて、盗みも現代の技術を活かした方法になるだろうし、盗られる側も守るために人を大量に配置するだけじゃなく、デジタル機器で対応しているはずだと思ったんです。『ルパン三世』の舞台を現代にする上で必然的にデジタルを扱うことになっただけで、電脳世界のルパンにしようと思ったとか、そういうことではないんですよね。

矢野
僕が参加したときは、すでにデジタルなものを扱うことが決まっていたのですが、未来的過ぎず、自然とデジタルなものが絡んでくるという今回の形に落ち着いたのはよかったと思います。


――そんな世界観で物語が繰り広げられる中、重要な設定として現実のダークウェブ(※匿名での通信が可能なサイトで構成されるネットワーク)を彷彿とさせるネットの裏の世界「ディープウェブ」が登場します。

大河内
今回『ルパン』を書くにあたって調べものをする中で、麻薬取引に使われるダークウェブの通販サイトの存在を知りました。それがとても興味深かったんです。手渡しよりも安全で安く、「ここの麻薬は混ぜ物なし!」などといったユーザーたちのレビューを参考に買うことができる。今回の『ルパン三世』では「今」を書こうと思ったので、一話から現代的な新しい犯罪を取り入れさせてもらっています。

■ ルパンのかっこよさは緩急から

――シリーズ中の各作品で印象の異なるルパンのキャラ像ですが、今回はどういった方向を目指されましたか? 

矢野
最初に企画書をもらったときに、「かっこいいルパンを描いてほしい」というオーダーがあったんです。で、かっこいいルパンとはなんだろう……と考えていく中で、それは緩急じゃないかなと。ルパンって、ゆるい部分が全体の80%くらいを占めているんだけど、いざというときは決める。そういうカッコよさと、普段のゆるさのバランスが人を惹きつけているのだろうと思い、そういった部分は特に気を付けて芝居を付けています。


――大河内さんは、『ルパン』という歴史のある作品のキャラクターたちを脚本上で動かしてみていかがでしたか?

大河内
いままでシリーズを観てきた人たちの中にあるキャラクター像を壊さないようにしつつ、ドラマ的に新しいことをチャレンジすることは、難しくもありつつ楽しかったです。例えば銭形は、有能な刑事でルパンのライバルということになっているけど、これまでのシリーズで何度となく負けてきた。どんなに有能ですとセリフで説明したところで、お客さんはみんな銭形が負けるところを見てきてしまっている。

――ときには味方になったりもしますからね。

大河内
そうなんですよ。これは銭形だけじゃなく、ルパンのことも次元のことも、お客さんはよく知っている。今回のpart5でどう変えたところで、みんなの記憶は変えられないんです。銭形の有能さや組織の人間としての彼を描こうとなると、もう一つ銭形側に視点がほしくなる。八咫烏というキャラクターは、そういうところから生まれてきたキャラクターでもあるんです。


矢野
銭形の代わりに激昂したりしてますよね。あと、今回ならではと言えば、五ェ門が機械をまったく使えなかったり、それぞれのキャラらしさが見える瞬間も見どころだと思います。

大河内
自然とキャラクターを表現することにもなりましたよね。ルパンは最新のスマホも使いこなすけど、次元はガラケー程度。五ェ門はまったく使えなくて、銭形はICPOのエリートですからね。当然、職務として使うことができる。
《山田幸彦》
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