『僕のヒーローアカデミア』米津玄師インタビュー 主題歌「ピースサイン」に込めた想いとは | アニメ!アニメ!

『僕のヒーローアカデミア』米津玄師インタビュー 主題歌「ピースサイン」に込めた想いとは

「週刊少年ジャンプ」で連載されている人気作品『僕のヒーローアカデミア』。TVアニメ第2期が2017年4月より放送している。今回はOPを担当する米津玄師に、楽曲や作品の印象、自身のヒーロー像などについて話しをうかがった。

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「週刊少年ジャンプ」で連載されている人気作品『僕のヒーローアカデミア』。TVアニメ第2期は2017年4月よりスタートし、その熱い展開から放送の度にネットで話題を集めている。
本作は、人口の8割が“個性”という超常能力を持つ世界が舞台だ。その力を悪用する敵から、ヒーローたちが人々を守り、日々テレビなどで活躍を見せている。主人公・緑谷出久は、小さい頃からヒーローに憧れていたが、個性のない”無個性”だった。しかしあるきかっけから力を得て、ヒーローを養成する国立雄英高校へ入る。そこで出会った仲間たちと切磋琢磨しながら、成長していく姿が描かれている。

第2期の物語を音楽面で彩るのが、オープニング主題歌「ピースサイン」を歌う米津玄師だ。子どもの頃から少年ジャンプのマンガに親しみ、漫画家になりたかったという米津玄師。「ピースサイン」に込めた想いや、作品の魅力、自身のヒーロー像など幅広く語っていただいた。

――ニューシングル「ピースサイン」はTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニングテーマということで、“ヒロアカ”に対してはどんなイメージを持っていました?

米津玄師(以下、米津)
“週刊少年ジャンプの文脈をちゃんと受け継いだ新しい作品”という印象ですね。少年たちの成長物語であり、そこに友情だったり、バトルの要素も加わって。子供の頃からそういうマンガが好きだったんですよ。自分たちの世代だと『NARUTO-ナルト-』『BLEACH』『ONE PIECE』などですが、俺もずっと読んでいて。小学生のときは漫画家になりたかったんですけど、そのきっかけも『NARUTO』だったんです。その点でいえば、音楽よりも先にマンガやアニメが好きだったんですよね。

ーーなるほど。「ピースサイン」の制作はどんなふうに進められたんでしょうか?

米津
原型となる曲があったんですよね。それは去年の春くらいに作ったんですが、その後『僕のヒーローアカデミア』の制作サイドから主題歌のお話をいただいて。以前から好きなマンガだったから「ぜひやりたいな」と思ったし、そのデモ音源ともすごく合うだろうなと。自分が好きだったアニソンのことも考えてました。『デジモンアドベンチャー』という自分の世代の金字塔的なアニメがあって。同世代の25、26才のヤツと話していると、必ずと言っていいほど「観てたよね?」って話題になるくらいの力を持った作品なんですけど、その最初のオープニングテーマだった「Butter-Fly」という曲が本当に名曲なんです。いま聴いても「デジモンアドベンチャー」のいろいろなシーンが蘇ってくるし、テレビを観ながら感じていたこと、考えていたことを思い出すんですよね。今回『僕のヒーローアカデミア』を担当することになったときも「『Butter-Fly』くらいのパワーを持った曲を作らなくちゃいけない」という思いがありました。


――ちなみに米津さんにとって、幼少期のヒーローといえば?

米津
自分にとってのヒーローですか? 難しいな…。明確なヒーローがいたわけではないですが、たとえば『NARUTO』を観て、すごく心を踊らせていた記憶はありますね。主人公のナルトに共感を覚えるような子供ではなかったんですが、あの物語のなかで生きて、冒険を繰り広げている彼らに対して“すごく羨ましいな”と思っていたし、“あんなふうに生きてみたい”とも思っていたので。それは“ヒロアカ”も同じです。自分の弱さだとか、取り返しがつかないつらい現実と対峙しながら、それでも懸命に前に進もうとしていて。“ヒロアカ”を観ると“俺もがんばらなきゃ”じゃないけど、自分もこうありたいなと思いますね。

――2曲目の「Neighbourhood」は生楽器の響きを活かしたロックナンバー。「この頃ひどい夢を見る 子供の頃の風景」というフレーズで始まりますが、この曲も幼少期の記憶がモチーフになっているんですか?

米津
そうですね。「ピースサイン」とはまた違うベクトルで子供の頃の自分と対話しながら作ったので。「ピースサイン」はマンガ、アニメが好きだった自分との対話だったとしたら、「Neighbourhood」はもっと生活に根差した自分と話しながら作った感じなんです。思い出は甘美というか、人間って、つらかった出来事を記憶のなかから削ぎ落としていっちゃうじゃないですか。この曲はそうじゃなくて、当時のつらかった出来事、くすぶっていた感情を抽出して、いまの自分と対比させながら形にしていったんです。

――過去の自分と対峙するのって、かなりきつい作業じゃないですか?

米津
音楽にはいろいろな作り方があると思いますけど、俺はずっとそういうふうに音楽を作ってきたんですよね。この曲に限らず、昔の自分だったり、自分のなかに存在しているものと対話しながら曲を書いてきたし、「自分って一体何だろう?」というところから始まってるです。もちろん「つらいな」と思うときもあるし、ある瞬間には「もうやめちゃおうかな」と思ったりもするけど、そうやって作ってるからこそ、自分と同じようなことを考えている人に届くのかなって。

ーーありがとうございました。
《animeanime》
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