映画「アングリーバード」プロデューサー ジョン・コーエン氏インタビュー 日本のアニメを想起させる場面も 見ればピンとくるはず | アニメ!アニメ!

映画「アングリーバード」プロデューサー ジョン・コーエン氏インタビュー 日本のアニメを想起させる場面も 見ればピンとくるはず

10月1日より全国公開を迎える映画『アングリーバード』。2010年公開の『怪盗グルーの月泥棒』でミニオンズを生み出し、本作のプロデューサーを務めるジョン・コーエン氏に映画の魅力について聞いた。

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10月1日より全国公開を迎える映画『アングリーバード』は、シリーズ累計DL数30億、モバイルゲーム史上最多記録をもつ人気ゲームアプリをベースに制作された異例のフライング・アドベチャーだ。
『アングリーバード』は、はぐれ者の視点で描かれる。飛べない鳥たちが平和に暮らすバードアイランド。そこに住むレッドは怒りん坊ゆえ、いつもひとりぼっち。ある日、ピッグ軍団が島にやってきた。彼らは友好を求めて島を訪れ、愉快なパーティで鳥たちの心を掴んでいくが、唯一レッドだけが彼らを怪しんでいた。その疑惑は当たり、ピッグ軍団は鳥たちのタマゴを次々と盗んでいく……。
ゲームで人々を虜にした独特の爽快感は映画でも健在。愉快な仲間たちが織り成す冒険は、どのようにして生まれたのだろうか。2010年公開の『怪盗グルーの月泥棒』でミニオンズを生み出したプロデューサー、ジョン・コーエンに映画の魅力について聞いた。
[取材・構成:川俣綾加]

映画『アングリーバード』
2016年10月1日(土)全国公開
http://www.angrybird-movie.jp/

■怒りの感情をポジティブな結果を生み出すエネルギーに

──まずはコーエンさんについて教えてください。プロデューサーとして作品にはどのような形で携わっているのでしょうか。

ジョン・コーエンさん(以下、コーエン)
僕の場合、お金というよりも映画づくりにおけるクリエイティブ、アーティスティックな面に関わっています。企画開発、キャラクターデザイン、美術、音楽といったクリエイティブ面の全て。これは全てのアニメーションムービーにおいて同じです。僕自身がアニメの大ファンで芸術としても大好きで、最高の仕事。『アングリーバード』では企画の立ち上げ、原案・プロットにも携わっています。

──もとよりゲームアプリ「アングリーバード」の大ファンだそうですね。かなりやりこんでいたとか。

コーエン
アングリーバードをプレイしすぎて中毒みたいになってしまいました(笑)。

──熱心なファンだからこそ映画化したいと考えたんですね。映画にするにあたって、ストーリーの構成など、色々なことを考える必要があったと思います。

コーエン
2012年にまずは核となるチームを結成しました。そのメンバーはプロデューサーとしてのパートナーである、マーベル・コミック創始者のデヴィッド・メイゼル、ゲームを制作したロビオ・エンターテインメント設立者のミカエル・ヘッド。僕たち3人が気に入るストーリーを考え、みんながいいと思えるお話が今のものになります。

──コーエンさんが、このお話で気に入っているところは何でしょうか。

コーエン
これがアウトサイダーのグループが活躍する物語だったこと。本来誰もが持っていそうな社会的スキルを持っていない者ですね。レッドは気難しくて輪に溶け込めない一匹狼な性格。でもチャック、テレンス、マチルダと出会ってひとつの家族のようになっていくんです。そういうお話はもともと好きですね。ゲームの中ではキャラクターのスキルはありましたが、どんな性格なのかといった設定はありませんでした。そこを考えていくのもゼロから作る醍醐味でした。

──バラバラだったみんなが次第にひとつの仲間になっていくさまは、見ていてとても嬉しくなるパートでした。

コーエン
彼らは社会の中ではUnderdog(負け犬やかませ犬、敗北者のこと)で、絶対に勝ち目がないように見えるけれど、それを覆していく。そういうチームなんです。チームワークと絆。とてもいいお話です。


──ロヴィオ社には「鳥たちはなぜそんなに怒っているのか」と質問が寄せられることもしばしばだそうですね。アンガーマネジメントのシーンも興味深かったです。

コーエン
気に入ってくれて嬉しいです。怒りばかりを感じるのは不健康だけれども、正しい容量であれば良いことに使うこともできる。重要なのは怒りの感情をうまく使ってポジティブな結果を得ること。怒りは大切なこと、正しいことのために立ち上がるパワーに変えられることを描きたかった。セラピーのシーンを入れることで、怒りのネガティブな面、ポジティブな面の両方を描けると思いました。

──最近、怒りをテーマにした作品が増えたと感じています。また、SNSによって怒りが共有されやすくなっているとも。そういったトレンドは感じていますか?

コーエン
興味深いですね。『インサイド・ヘッド』も怒りを擬人化したキャラクターがいました。怒りは悪じゃない、と感じることが大切になっていると思います。レッドは怒りっぽいけれど、我々にはできないことをしてくれますよね。僕らの代わりに何かやってくれる気持ち良さもこの映画の面白いところ。同時に、感情を抑制するよりもある程度は出していくのもまた健康的じゃないかと教えてくれます。

──CGについては、鳥が種類によって羽の質感や厚みなど全然違っていて動きもコミカル。とてもリッチなアニメーションですね。

コーエン
長年ディズニーでアニメーターとして活躍してきたクレイ・ケイティス、さまざまな作品で経験を積んできたファーガル・ライリーによる共同監督が素晴らしいチームを築いてくれたおかげです。特に気を使ったのが羽。どう生き生きと、そしてリアルに感じられるかを追求しました。また、どうすれば見ていて思わずハグしたくなるような魅力的な表現になるかを見つけるまでに時間がかかりましたね。

──羽は鳥ごとの特徴を捉えていてとても丁寧に表現していると感じました。 コーエン ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスに羽専門のチームを作り、満足できるレンダリングが行えるよう環境を整えました。そのおかげで素晴らしいアニメーションになりました。拳を握る時の動きは特に気に入っています。

──読者にメッセージをお願いします。

コーエン
アニメ!アニメ!の読者は、同じアニメファンの同志として僕らのアニメーションにかける想い、アーティスト性を楽しんで欲しいです。僕たちも日本のアニメの大ファン。制作する時はたくさんの作品を参考にしました。ベイビーバードは『となりのトトロ』の影響を受けているとはっきりわかると思います。他にも『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『時をかける少女』……色々な作品を想起させる要素があるので、日本のアニメ好きにはきっとピンとくるものがあるはず。僕らもあなたもみんな、アニメーションのギーク。『アングリーバード』に注がれた愛が伝われば嬉しいです。

《川俣綾加》
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