やらなかったらきっと一生後悔するからー『planetarian』津田尚克監督×青井宏之プロデューサー対談 | アニメ!アニメ!

やらなかったらきっと一生後悔するからー『planetarian』津田尚克監督×青井宏之プロデューサー対談

Keyの名作『planetarian』がこの夏、配信版と劇場版という形で映像化される。アニメ!アニメ!では津田監督とプロデューサーの青井宏之を招き、本作へかける意気込みなどをじっくりと聞いた。

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30年前の細菌攻撃で放棄された「封印都市」。そこへ辿り着いた彼は、街を支配する自律型兵器から逃れるうちにとあるビルの屋上へと足を向ける。そこは打ち捨てられたプラネタリウム。入口にはコンパニオンロボット・ほしのゆめみが立っていたーー。
2004年、『AIR』や『CLANNAD』で知られるKeyが新しいゲームデザインとして発表したのがキネティックノベル第1弾の『planetarian』だ。まるで映画を見るように、選択肢の存在しないノベルゲームを進行させる。当初のリリースはダウンロード販売のみ。やがて販路とプラットホームが広がり、PS2、PSP、スマートフォン(Android、iOS)版とさまざまにリリースを重ねて来た。作品の評価は非常に高く、長く映像化は望まれてきた。その作品がこの夏、配信版と劇場版という形で映像化される。アニメーション制作スタジオはTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズなどを手がけるdavid production。監督は同じく同作で手腕を発揮し、長年のKeyファンを公言する津田尚克。
アニメ!アニメ!では津田監督とプロデューサーの青井宏之を招き、本作へかける意気込みや、なぜ今、しかも配信版と劇場版という変則的な方法で映像化されるのか、じっくりと聞いた。
[取材・構成:細川洋平]

『planetarian』
7月7日(木)より配信
http://planetarian-project.com/

■ 自分以外の手に渡って後悔したくない

ーまずなぜこのタイミングで『planetarian』をアニメ化することにしたのか聞かせてください。これは青井プロデューサーにうかがった方がよいでしょうか。

青井宏之氏(以下、青井) 
ええ。今年で『planetarian』のリリースから12年が経ちました。当初このタイトルはKeyブランドの新しいチャレンジでもあったキネティックノベルの第1弾としてダウンロード販売からはじまりました。当時のネットの普及状況もあって多い販売数には至らなかったそうなんです。それが近年いろんなプラットホームに変換され、2014年には海外配信もはじまった。結果、累計販売数は13万本に達しました。ネットインフラの整った今こそ、当時の『planetarian』が試みた「いつでもどこでも視聴ができる」というものが実現できるのではないかと。
加えて作品の持つ普遍性、ロボットと人間の交流といったテーマ性は時代を経た今でも色褪せない魅力を持ち続けている。それならば愛し続けてくれたファンに向けても、今発表できるのではないか、とプロジェクトが立ち上がりました。そして、なによりも本作に惚れ込んでいるということが大きいです。

津田尚克監督(以下、津田) 
『planetarian』のリリースは2004年で、その年は僕がアニメ業界に入った年です。ちょうど今年で12年目。世の中には多くの作品がありますが、普遍的な作品はいつの時代にもキッチリ作ればお客さんには確実に刺さります。『planetarian』はそれの最たるものだと思います。SFであり、その設定は今も全く色褪せていない。もちろん10年後にアニメ化されても十分魅力のあるタイトルだと思います。そして、青井さんが言ったように、プラットホームに縛られなくなっている今、アニメ化をする意味は大きいと思っています。


ーアニメーション制作でdavid production、そして津田監督に決まった経緯は?

青井 
davidさんは原作に対して最大のリスペクトを持って制作に臨んでくださいます。何よりもそこが大きいですね。

津田 
ありがとうございます。

青井 
Keyのファンも作品に対する思い入れの深い方々が多い。そのファンの要求に応えうる制作スタジオさんと考えたらdavidさんだろうと。ただ、津田さんは想定していませんでした。『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズも担当されていましたから(笑)。

津田 
僕はdavidの社員演出なので、会社の企画会議に参加しているんです。その時に「監督は誰がいいか」とウチのプロデューサー陣といろいろ検討はしたんですけど、Keyタイトル好きとして後悔したくない、という思いもあって「オレがやる!」と手を上げて(笑)担当することになりました。

■ 全てのスタッフと対等に対話しながら作る

ーお忙しいなかで津田監督はどう動いているのかは気になる所です。

津田 
『planetarian』では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』と『新劇場版:Q』で副監督もやられていた中山勝一さん、同時にやっていた『ジョジョの奇妙な冒険』では『レベルE』の監督もやられた加藤敏幸さんと優秀なシリーズディレクターに入ってくださっているので、僕はタイトルがどう走ったらうまく行くのかの舵取りをしている感じです。

ー『planetarian』ではどのような舵取りをされているのでしょうか。

津田 
この作品は聞かせどころ、見せ所が明確なんです。逆に言うとTVシリーズより短い時間での見せ方、映画的なアプローチに工夫が必要となるので、そこを調整するためにまず自分でシナリオをやっています。シナリオを書くとコンテにした際により深くダイブできる。思い切って、全部洗い直したりできるんですよね。

青井 
加えて音響監督も山口(貴之)さんと共同でやられています。

津田 
音楽の発注メニューを山口さんと相談しつつ自分で作成して、発注して、上がってきた音楽をどう使い、聞かせるかをコンテ段階から考えるんです。音響監督の山口さんと徹底的に議論し合う。彼は同世代で言いたいことを言い合えるので、彼の胸を借りました。


ーシナリオには共同でヤスカワショウゴさんが入られていますが、同じ理由ですか?

津田 
その通りです。彼とは頻繁に意見交換をして、僕が大まかな構成を出しヤスカワさんにまとめてもらって。それを再度二人で揉んで、台本打ち合わせに臨みました。
彼とはジョジョでもやっているので、勝手が分かっていたのでやりやすかった。
音響監督も脚本も、男性ですが、泣きのメンタルに共感しやすい人を人選しました。

ー全てのセクションを自分が把握しておきたいという思いがうかがえます。

津田 
その通りですね。『planetarian』は「好きに作っていい」と言われたのですが、裏返せば「この作品をどうアニメ化するの?」というデカい命題をもらったわけです。原作もままでなく、ポイントを的確に押さえつつ映像としてどう再構築するのか。今までと比べても一段上のレベルを求められていると思ったんです。その時に、「どこまでもズブズブやろう。作品と泥んこになって殴り合おう」と決めました。

ー強い決意ですね。

津田 
『planetarian』は全てのスタッフと対等に対話しながら作っているという気がしています。
《細川洋平》
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