制作に行き詰まったらどうする?細田守監督明かす問題解決の秘訣とは | アニメ!アニメ!

制作に行き詰まったらどうする?細田守監督明かす問題解決の秘訣とは

東京国際映画祭で、10月27日には『バケモノの子』の特集上映が行われた。上映後には、細田守監督へのQ&Aが行われた。

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10月22日から31日まで開催されている東京国際映画祭(TIFF)。2015年は新設部門である「Japan Now」に注目が集まる。日本映画界の多様性を象徴する作品や監督を選定し特集上映を行うものだ。
大岡昇平原作、塚本晋也監督の戦争作品『野火』や、『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督が7年ぶりに長編へ挑んだ『恋人たち』など、実写作品には錚々たる監督・タイトルが並ぶ。

そうした中で、アニメーション作品でも2作品が選ばれた。世界各国の映画祭で続々と映画賞を受賞している原恵一監督作品『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』、そして公開45日で興行収入51億円、観客動員400万人という大ヒットを記録した細田守監督作品『バケモノの子』だ。
27日には『バケモノの子』の特集上映が行われ、上映後には「Japan Now」部門のプログラミング・アドバイザー安藤紘平氏を司会に迎え、細田守監督へのQ&Aが行われた。

細田監督はまずこの映画が生まれたきっかけは自身に男児が誕生したことだと明かした。更には、“家族”というものをもう一度問い直さなくてはいけないのではないか、という思いが本作に込められていると続けた。
家族という概念を考えた時に、「昔ながらの家族」と「今の家族」の間には軋轢が生じている、それを大人の自分が感じているのだから、今の子どもたちはもっと強く、2つの価値観のズレを感じているのではないか、と考えながら作っていた、と制作時の思考を手繰りよせながら語った。

渋谷を舞台に選んだ理由としては、「渋谷には別世界を孕んでいるように感じたから」と細田監督は答えた。また「渋天街」が地中海文化圏に似た風景をしているのは渋谷・スペイン坂をはじめとしたパルコ文化の影響を受けているからと語った。
70年代、パルコは文化的商業的に新宿・銀座・六本木に劣っていた渋谷に出店し、とある坂道をスペイン坂と名付け若者の街として確立させた。その影響で「渋天街」にもパルコ的な色味、オレンジや緑が入ったカラフルなものになったと明かした。

後半は観客からの質疑応答の時間となった。最初の質問は「作品を発表する度、ファンタジー色が強くなっているが、どうしてか」というもの。細田監督は、ファンタジーのないドラマだけではツジツマ合わせに終始してしまうと述べ、イマジネーションや物語を飛躍させる方法を描きたいからファンタジーを描く、と答えた。
次に「制作に当たってのモチベーションはどこにあるのか」という質問が飛んだ。細田監督は「映画を作っている時がすごく好き」と打ち明けた。アイデアを思いつくといても立ってもいられないのだという。「“作る”というよろこびに突き動かされています」と熱く語った。また「行き詰まった時はどうする?」という質問には、「すぐ寝ます。お昼でも、起きて2時間しか立ってなくても、お酒を飲んで寝ちゃいます」と答えた。「寝る間に問題はリセットされるし、解決することもある。1番効率的です」と大ヒット作品の制作の秘訣を語った。

細田監督の真摯な受け応えに次々と質問が殺到。予定時間をやや過ぎたところで終了、大きな拍手に包まれ細田監督は会場を後にした。
[細川洋平]
《細川洋平》
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