シンポジウム「怪獣からKAIJUへ」レポート 金子修介、大森一樹、富山省吾が登壇 | アニメ!アニメ!

シンポジウム「怪獣からKAIJUへ」レポート 金子修介、大森一樹、富山省吾が登壇

10月24日、第12回文化庁映画週間のシンポジウム「怪獣からKAIJUへ」が東京・神楽座にて開催された。金子修介監督、大森一樹監督、富山省吾プロデューサー、KADOKAWA 代表取締役専務の井上伸一郎氏が登壇した。

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第12回文化庁映画週間シンポジウム「怪獣からKAIJUへ」
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10月24日、第12回文化庁映画週間のシンポジウム「怪獣からKAIJUへ」が東京・神楽座にて開催された。ゲストとして金子修介監督、大森一樹監督、富山省吾プロデューサーが登壇。モデレーターはKADOKAWA 代表取締役専務の井上伸一郎さん。海外でも脚光を浴びる日本の怪獣について、様々な角度から議論を繰り広げた。

「ゴジラ」「ガメラ」の両方を手がけた唯一の監督である金子さんは「日本は戦争をしない国だと決めていたからこそ怪獣映画が流行った」とコメント。「日本で戦争映画を撮ると、どうしても反省や後悔の念が混ざってしまいエンタテイメントにはならない。その代わりとして怪獣映画があるという意識で作品を作っていた」と制作意図を明かした。
続いて自身が手がけたアクション映画『少女は異世界で戦った』の冒頭を上映。この作品はアイドルが日本刀で戦う状況を生みだすため、核と銃が根絶した世界を構築している。
金子さんは「アイドルの美脚を撮るためにも明確な社会的視点がある。それは怪獣映画を撮っているときと同じなんです」と力説。「怪獣映画は怪獣だけが嘘であって、世界観は厳しく設定しなければ観客は納得しない」と持論を展開し、盛り上げた。

大阪芸術大学で教鞭を執る大森さんは「僕にとっての怪獣はアナログなんです」と昔ながらの特撮技術への愛着を口にした。しかし現在では多くの撮影所が閉鎖され、技術を伝承する場もなくなってきている。その抵抗として「ささやかながら大学で同じことができないだろうかと考えました」と自らの志を伝えた。
学生たちの自主制作怪獣映画の上映に移ると、爆発や変形まで盛り込まれた力作の数々に驚きと笑いの声が上がった。大学からは多くの教え子が巣立ち、実際にプロになった人もいるとのことだ。
大森さんは「学生は怪獣の着ぐるみを大学に置いて卒業するんです。だから怪獣保有率は今一番高いんじゃないでしょうか」と技術が継承されていることについて目を細めながら話した。

東宝映画の4代目社長を務めた富山さんは「ゴジラ」を例に怪獣が世界に受け入れられた理由を解き明かした。まず第一に怪獣がキャラクターとしての魅力を備えていることをあげた。海外ではモンスターという人間に倒される存在でしかないが、怪獣には生い立ちやストーリーが用意されているため、シンパシーを感じることができるのだという。
さらに元々あるものをデフォルメして楽しむ日本人の感性、大森さんが学生に教えている特撮技術も欠かせない要素だと語る。そして映画をビジネスとして捉えた場合、ハリウッドと手を組むことも非常に重要となる。シリーズの初期から海外で上映された「ゴジラ」はそういった意味でも幸せなキャリアを積んできたと振り返った。

シンポジウムでは庵野秀明総監督・樋口真嗣監督が2016年夏公開予定の『シン・ゴジラ』の話題も飛び出した。
金子さんは「社会的な問題を描くのではなく、極私的なものとして表れてくるだろう」と推測。大森さんは「ゴジラは家族で観るファミリー・ピクチャーでもあったが、二人がやってそうなるわけがない」と断言し、富山さんも「庵野・樋口コンビですから相当ダークなワールドに入ってくるのだと思います」と言及した。
最後は富山さんが「怪獣映画、とくにゴジラ映画はどんなジャンルでも入るブラックホールなんです。その素晴らしさが国境・人種・宗教を越えて世界を繋いでいくと信じています。それに向かって素晴らしい監督・プロデューサーたちと頑張って欲しいと思っています」とメッセージを送った。
[高橋克則]
《高橋克則》
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