ミュージカル「テニスの王子様」 新演出もあり、聖ルドルフ戦も大盛り上がり | アニメ!アニメ!

ミュージカル「テニスの王子様」 新演出もあり、聖ルドルフ戦も大盛り上がり

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第139回 ■ 創立5年の聖ルドルフ、強者勢揃いの新しいチーム

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(C)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第139回
[取材・構成: 高浩美]

■ 創立5年の聖ルドルフ、強者勢揃いの新しいチーム

不動峰を制した青学(せいがく)の次の相手は聖ルドルフが相手だ。正式名称は聖ルドルフ学院中学校。創立5年のフレッシュな学校ではあるが、スポーツ特待生として全国から優秀な生徒を集めている。主に校外のテニススクールで実力をつけているメンバー(通称:補強組)と元からいたメンバー(通称:生え抜き組)で構成されている。

聖ルドルフの”司令塔”、選手兼マネージャーの観月はじめは、このチームのキーマンだ。綿密なデータを駆使し、各選手に的確なアドバイスをする。自尊心が強く、勝利に並々ならぬ執着心がある、アグレッシブな性格だ。
青学の不二周助の弟・不二裕太、元々は青学に在籍していたが、常に”天才・不二周助の弟”と見られることに嫌気がさし、テニススクールで観月に出会い、”スカウト”され、聖ルドルフに転校してきた。家も出て寮住まいだ。テニスの腕は確かで、聖ルドルフの2年生のエースに成長している。部長の赤澤吉朗は生え抜き組で、熱い性格のスポーツマン。ボールをラケットの先端に当てて「ブレ球」を打つがこれがくせもの。

結末は原作を読めばわかることではあるが、そこまでに至る過程を舞台ではどう描くのか、これは舞台を観るより他にない。1stシーズンや2ndシーズンとは違う3rdステージならではの聖ルドルフ戦に期待したい。

■ たたみかけるような展開、試合の緊迫感を表現、冒険的演出で変化をつける

舞台の始まりは遠くに聞こえる歓声とテニスボールの音。いつも同じ始まり方だが、「ミュージカル『テニスの王子様』が始まるな」という期待感が高まるところだ。不動峰戦に勝利し、聖ルドルフとの対決。この聖ルドルフには青学の不二周助の弟・不二裕太がいる。兄も弟ももちろん、これを意識している。当然のことだ。ちょっと不安そうな表情をみせる兄。「絶対に勝ってやる、もう誰にも”不二周助の弟”なんて言わせない」と言う弟。同じテニス部員・野村拓也にも「弟君」と呼ばれ、あからさまに不機嫌モードになる。優秀な兄を持った弟のジレンマを率直に演じる大原海輝、どうにもならない苛立ちをラケットの振りで表現して健闘。
観月はじめは、勝ちにこだわる”勝負師”だ。とにかくデータを集め、分析し、部員たちに指示をする。皆の信頼は厚い。それは勝ちにアグレッシブなだけではなく、マネージャーという立場、責任感も人一倍強そうだ。青学の乾も観月のデータ力には一目、置いている。

試合が始まる。今回はゴールデンペアの試合と、何かにつけて反目しあう桃城・海堂ペアの試合を一度に見せる、なかなかチャレンジャーなステージング。たたみかけるような展開、試合の緊迫感を表現する。
後半は、”トロッコ”を使用し、高低と動きで両方の試合を同時に見せ、ダイナミックさを強調する。3rdステージだからこそ、の”冒険的演出”だ。もちろん、試合中のダンス、歌は”お約束”。前回の不動峰戦よりプロジェクション・マッピングを使用。ビジュアル的な変化をもたらす。心情だったり、テニスの打球だったり、背景であったり、具体性が出てわかりやすくなっていた。

イメージビジュアルにもあるように、2幕は不二裕太と越前リョーマの対決からだ。ちょっとダンスバトル的な見せ方もあって、ここはショーストッパーなシーン。裕太は観月にある指示をされるが「真っ向から勝負したい」とそのアドバイスを断る。
続いて不二周助と観月はじめの試合。「絶対に勝つ」と執念を燃やす観月と弟をおもいやる不二。直接話法的な話し方をしないのが不二周助らしさ、手塚に「君まで回らないよ」と静かにいう下りは彼のキャラクターをよく表現している。静かに闘志を燃やし、穏やかな口調の奥にある弟への愛情を感じる。結末は言わずもがな。

脚本もちょっと遊び心があって観客はおおいにウケる。1st、2ndでは登場しなかった聖ルドルフの野村拓也、「ノムタクだよ!」の一言で観客は大ウケ、であった。演じる佐川大樹はコミカルで、ちょこちょこした動きがチームのアクセントになっていた。また、試合が終わってからの河村、乾の「試合、出たかったね」「うん」もやんやの喝采であった。

不動峰は、ちょっと狂言回し的なポジションで舞台にメリハリをつける。青学メンバー、不動峰メンバーは本公演、学校毎のライブも経験しているので、かなりこなれている。聖ルドルフのメンバーは”テニミュ”初参加”なので、初々しい感じがあり、奮闘、頑張りが光った。観月はじめ役の宮城紘大は、ちょっと嫌みな感じを上手く出し、お約束の「んふっ」も決まっており、チームの中での役割をきちんとわきまえていたのが印象的だった。
また、相変わらずの桃城&海堂の”仲悪いぞ”コンビも喧嘩シーンはヒートアップ、観客の喝采を受けていた。ラストはちょっとしたショータイムもあり、ここは単純に楽しみたいところ。なお、お楽しみポイントの新曲だが、7曲が新たに加わった。ここは要チェックだろう。最後はキャストが客席を駆け回る。ハイタッチは大いに盛り上がった。

初日を終えた越前リョーマ役の古田一紀は客席に向かって「11月3日まで突っ走ります!」と元気よく挨拶。満員の観客席から大きな拍手が起こった。
《高浩美》
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