文化輸出品としてのマンガ-北米のマンガ事情 「アメリカにおける手塚治虫作品の受容の変遷-もうひとつの「手塚神話」の形成」‐前編‐[椎名 ゆかり]アメリカの大学院でポピュラー・カルチャーを学び帰国後、マンガを専門とする出版エージェント業やアニメ、マンガ関連の翻訳者他、海外マンガを紹介する様々な仕事を行ってきた。翻訳マンガ:『ファン・ホーム』『メガトーキョー』『ブラック・ホール』『デイトリッパー』他ブログ:「英語で!アニメ・マンガ」 http://d.hatena.ne.jp/ceena/[/アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.biz より転載記事]<手塚治虫と海外>昨年の12月、東京都豊島区主催のイベント「東京アニメ・マンガ カーニバル in としま」(1)が開かれ、その中で手塚治虫作品の海外版の(紙の)本に関する展示「世界で読まれる手塚治虫作品」と、トークイベント「世界へ広がる手塚治虫 -手塚治虫の元マネージャー 松谷孝征氏を招いて-」(2)が行われた。これは、筆者が現在携わっている文化庁のプロジェクト「日本マンガの海外出版状況調査 -手塚治虫・海外出版リスト」(3)制作プロジェクトの成果発表の意味合いを持つものである。展示では、世界の20を越える国と地域で出版された手塚作品の本の実物をいくつかのテーマに沿って展示。トークイベントでは、元マネージャーで現手塚プロの社長の松谷孝征氏に「手塚と海外」をテーマにお話いただいた。展示は小さいブースで行われたものの好評を得て、イベントも告知が1週間前という遅さであったにもかかわらず、会場の定員を越える人数の参加があり、松谷社長の軽快なトークもあって大変盛り上がった。日本国内における手塚治虫の「マンガの神様」としての名声は、その死後四半世紀を経てもまったく衰えていない。ただし手塚がずっと第一線で仕事をしていたと言っても、デビュー時からずっと「マンガの神様」として神格化されていたわけでもなければ、一貫して高い人気を維持し続けていたわけでもなかった(4)。しかし、近年でも『ヤングブラック・ジャック』『ブラック・ジャック制作秘話~手塚治虫の仕事場から~』(共に、秋田書店)等の手塚自身や作品に関係するマンガやキャラクター商品が次々と発売され、様々な展示やイベントが行われる等、手塚は戦後日本を代表するマンガ家として現在でも人々に愛され続けている。今回のコラムでは、上記の「手塚治虫・海外出版リスト」を参考にしながら、アメリカにおける手塚治虫に対する受容の変化について考えたいと思う。手塚の友人であり、通訳をつとめ作品の翻訳も行ったフレデリック・ショット(Fredrik.L.Schodt)氏が2007年にアメリカで出した「鉄腕アトム」についての著作『ジ・アストロ・ボーイ・エッセイズ(The Astro Boy Essays: Osamu Tezuka, Mighty Atom, Manga/Anime Revolution)』の1節を挙げてみよう(5)。(以下、筆者による翻訳)手塚は生前、日本の外で認められることはほぼなかった。近年、日本の大衆文化、特にマンガやアニメの新たな人気がゴジラのような勢いで世界を席巻するようになって初めて、手塚治虫の名前が英語圏のメインストリームの意識にゆっくりと浸透し始めてきた。海外で『アストロ・ボーイ(Astro Boy)』として知られる手塚のTVシリーズ『鉄腕アトム』は、60年代中盤に北米でかなり人気を博し、一時的に他の日本のアニメーションへの扉を開いたものの、手塚の名が一般に知られることはなかった。90年代後半、そして新世紀の初頭になり、手塚の作品の翻訳版が英語で出るようになったが、今でもまだマンガファン以外ほとんどの人は、手塚やその作品について聞いたことがない、と言って過言ではないだろう。上記の「手塚は生前、日本の外で認められることはほぼなかった」という1文は、アジアの一部の地域には当てはまらないかもしれない。しかし、アメリカではショット氏の言う「ゆっくりと浸透し始めてきた」を証明するかのように、手塚の作品が2000年代後半から続々と出版されるようになった。その経緯を見てみよう。
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