『AKB49~恋愛禁止条例~』、リアルと錯覚しそうな2.5次元ミュージカルの決定版! | アニメ!アニメ!

『AKB49~恋愛禁止条例~』、リアルと錯覚しそうな2.5次元ミュージカルの決定版!

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義:
『AKB49~恋愛禁止条例~』、キャストのエネルギーが劇場に充満、リアルと錯覚しそうな2.5次元ミュージカルの決定版!

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(C)元麻布ファクトリー・宮島礼吏/講談社
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高浩美のアニメ×ステージ&
ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

『AKB49~恋愛禁止条例~』、キャストのエネルギーが劇場に充満、
リアルと錯覚しそうな2.5次元ミュージカルの決定版!


■ 大好きな女の子のために男子がAKBに?!
少年漫画の王道である“スポ根モノ”として物語が展開


『AKB49~恋愛禁止条例~』がミュージカル化される。基本、フィクションであるのだが、何人かは実在、それも誰もがよく知っている人物なのである。
主人公は男性、好きな女の子がAKBのオーディションを受ける、という設定。その女の子が好き過ぎて女装して一緒にオーディションを受けることに。ここで落ちれば、なんていうこともないのだが、2人とも受かってしまったから“さあ~大変”な状況になってしまうのである。バレないように研究生として様々な困難や無理難題に立ち向かっていく物語だ。この女装男子浦山実(浦川みのり)を宮澤佐江が演じる。今回は1巻~5巻までのストーリーが描かれる。

さて、性別を偽るという設定は、例えばコミック『マドモアゼル・モーツァルト』ではモーツァルトは女性。バレたら音楽家としての地位がなくなるという崖っぷちな設定
。ところが、この『AKB49』の浦山実は、ただひたすら、好きな女の子のために女装して同じ研究生として頑張るが、次第に研究生としての自覚と自負が芽生えてくる。しかし彼女は“浦川みのり”を“同士”として接する……。しかも実在のメンバーや登場人物がフィクションのキャラクターに絡み、影響を及ぼす。

演出の茅野イサムは原作について
「フィクションのキャラクターが実在のAKBメンバーの皆さんに絡んでいくのも楽しいですし、男の子が女のコに扮して禁断の花園に入り込む…という設定の面白さもさることながら、スポーツではなくアイドルの世界を舞台に、少年漫画の王道である“スポ根モノ”として物語が展開していく部分に、とても共感しました。僕たち演劇の世界も、“一般社会”からハミ出したような、アクの強い奴らばかりが集まっているところ。その中で一つの目標に向かって、とにかくぶつかり合い、分かり合いながら力を合わせてものをクリエイトしていくんです。『AKB49』でも、アイドルたちがぶつかり合い、頑張っている姿がスポーツの世界以上にカッコよくて、読みながらグッと胸に迫ることが多くありました」と語る。
とにかく受かってしまったからには後には引けない。次から次へと“無理難題”が襲いかかる。それを“ど根性”で撃破していく。そんな物語をおなじみのAKBの楽曲で彩っていく。

「一言で言うと、とにかく全編に渡ってAKBの楽曲を贅沢に使わせていただいているという点ですね。『僕の桜』や『ミニスカートの妖精』、『AKB参上!』など全20曲あって、まだまだ使いたい曲はたくさんあったんですが、我慢しました(笑)。AKBグループの曲は、恋や友情、挫折や希望といった等身大の悩みを歌ったものから、すごく壮大で哲学的な曲もある。『この作品のために書かれたんじゃないか?!』と思えるほど物語にぴったり合う曲もあれば、『この曲をもとにシーンを描きたい!』と強く感じて、曲に沿って場面を組み立てたものもあるんです。皆さんご存知の曲ばかりですし、一方で『こういう心情で歌われると、こんな風に聞こえるんだ』という新しい発見を楽しんでいただけるのではないかと思います」

つまり、楽曲は全てAKBのもの。このミュージカルのために書き下ろされたものはない。この形式はジュークボックス・ミュージカルと呼ばれ、2002年に日本初演の『マンマ・ミーア!』(注)がその代表的なミュージカルだ。こちらは全てABBAの楽曲で構成されており、楽曲がかかると、なんだか、“脳内がタイムスリップ”したような錯覚に襲われる。
しかし、今回のミュージカル『AKB49~恋愛禁止条例~』はさしずめ“脳内ワープ”、つまり、観客はあたかも秋葉原のあの劇場で応援している錯覚になれるのかもしれない。
また、“この楽曲はこんな心情だったのか”と新しい発見もあろう。しかも設定が“虚”と“実”の狭間で、2.5次元舞台も2次元と3次元の狭間、つまり“狭間×2”の状態、画期的な設定、と言えよう。2.5次元ミュージカルでも革命的な作品になる予感がする。

演出の茅野イサムは『サクラ対戦』等、2.5次元ミュージカル演出では第一線で活躍するクリエイターである。2.5次元舞台の魅力について、
「マンガという2次元の自由な世界で描かれたストーリーやキャラクターは、どれも破天荒だし、現実ではあり得ないことばかりで、むしろそれが魅力になっていますよね。“2.5次元”モノの舞台では、それをリアルな空間で、生身の人間たちでやらなきゃいけない。そんな破天荒な世界観を劇場空間で体現できた時は、演出家として最高に楽しいです。例えば『エア・ギア』では、インラインスケートを用いてのダンスやアクションで疾走感を描いたのですが、そうするとキャストの動きによって客席に風が伝わるんです。僕らの強みはまさに、お客様の目の前で2次元の世界を肉体化して、フィジカルな体感を味わっていただけるところ。それが“2.5次元”の魅力だと僕は思っています」と語ってくれた。

配役は浦山実(浦川みのり)を宮澤佐江(SNH48/SKE48)、吉永寛子を小嶋真子(AKB48)、大和田南那(AKB48)のWキャスト、岡部愛を須田亜香里(SKE48)、他のキャストもAKBグループからのキャスティング。もう、“虚”なのか“実”なのか、それは舞台上で確認するしかないのである。

画像:(C)元麻布ファクトリー・宮島礼吏/講談社
《高浩美》
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