日本のアニメ産業の国際化が言われるようになって久しい。その海外展開は、欧米から東アジア、さらに近年はインドや東南アジアなどが言及される。2014年から国際化の波は、さらにアフリカにまで広がりそうだ。国内の老舗アニメ製作会社の手塚プロダクションは、アフリカの大国ナイジェリアのテレビ局CHANEL TVと国際共同製作に取り組む。ナイジェリア向けの新作テレビアニメシリーズ『ロボット・アトム』を製作する。『ロボット・アトム』はすでに制作に入り、順調なスタートを切った。今回の共同製作の取り組みは、海外市場開拓と同時に、新興国向けの技術指導の側面が特徴になっている。『ロボット・アトム』の制作にあたって手塚プロダクションは、CHANEL TVから派遣された3人のアフリカ人を受け入れている。日本アニメの製作工程やアニメの実技の教育を行う。手塚プロダクションはこれをエデケーションとエンタテイメントを組み合わせて、「エデュテイメント」と呼んでいる。日本側はナイジェリアの市場開発、ナイジェリアはアニメ製作やライセンスビジネスでの雇用拡大、教育産業の開発を目指す。Win-Winの関係で、取り組みが実現した。日本とナイジェリアは、一見は関係が薄く、意外な組み合わせに見える。しかし、ナイジェリアの人口はアフリカ最大の1億6000万人、経済成長率も高いアフリカ随一の大国だ。周辺国への影響力も強い。新興市場として、日本にとって大きな可能性がある。一方、ナイジェリアにとっては、日本のアニメビジネスの仕組みが魅力だ。現在、世界ではCGアニメーションが大きな趨勢になっている。しかし、コンピューターが一般的でないアフリカでは、日本スタイルの手描きアニメのほうがむしろ導入しやすいとの考えだ。ナイジェリアに日本型のアニメ製作を導入し、さらにそれをテレビ放送、キャラクターライセンスにつなぐ。日本のアニメ映像制作だけでなく、キャラクタービジネスの仕組みも導入するかたちになる。手塚プロダクションは、今回の『ロボット・アトム』の国際共同製作について、日本アニメの将来を見据えたものと説明する。日本の人口は2050年までに8000万人までに減少し、このうち高齢者50%を占めると予測されている。その時に、現在の日本アニメのビジネスモデルが維持できるか不安だと指摘する。一方で、海外で人気のある日本のアニメは、ハイティーンから30代前半の大人世代向けに集中し、キッズ向けが中心の世界マーケットから乖離が進んでいる。そこで世界マーケットで販売できるコンテンツの開発やビジネス展開を目指す。そのために国際共同製作に力をいれる。ナイジェリアでのビジネスをきっかけに、今後もさらなる国際展開を目指すことになりそうだ。手塚プロダクション/http://tezukaosamu.net/jp/
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