文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞に「はちみつ色のユン」 14年ぶりに海外作品 | アニメ!アニメ!

文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞に「はちみつ色のユン」 14年ぶりに海外作品

12月5日、第17回文化庁メディア芸術祭の受賞作発表会が国立新美術館にて開催された。アニメーション部門の大賞にはユン監督とローラン・ボアロー監督の手掛けた映画『はちみつ色のユン』が選ばれた。

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『はちみつ色のユン』 (c)Mosaique Films -Artemis Productions -Panda Media -Nadasdy Film -France 3 Cinema .2012
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  • 第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作発表会
  • 第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作発表会
12月5日、第17回文化庁メディア芸術祭の受賞作発表会が国立新美術館にて開催された。アニメーション部門の大賞にはユン監督とローラン・ボアロー監督の手掛けた映画『はちみつ色のユン』が選ばれた。同部門において海外作品が大賞を受賞するのは、第3回の『老人と海』以来、実に14年ぶりとなる。

『はちみつ色のユン』は韓国系ベルギー人であるユン監督の半生を描いた75分の作品。自身が手掛けたバンドデシネ『肌の色:はちみつ色』を原作としており、フランスのドキュメンタリー映画監督のローラン・ボアローさんと共同監督を務めた。朝鮮戦争の影響によりベルギーへ国際養子として迎えられた主人公と、その成長が描かれている。
ユン監督の複雑な生い立ちと同様に、映像表現も実に特徴的だ。本編は手描きやCGによるアニメーションだけでなく、70年代に撮られた8ミリフィルムや記録映画の実写映像も交えて構成された。審査員を務めたアニメーション作家の和田敏克さんは「多層的な奥行きを持っていて、まさにこのメディア芸術祭の大賞に相応しい作品」と絶賛した。

両監督はビデオで、大賞受賞へのメッセージを寄せている。日本にも造詣の深いユン監督は「どうもありがとうございます」と日本語でコメント。そしてフランス語で、日本文化の存在がアイデンティティの形成に大きな影響を与えたことを明かした。
『はちみつ色のユン』は日本では2012年12月よりミニシアター館を中心に劇場公開されていたが、上映はすでに終了している。今回、アニメーション部門の大賞に輝いたことで、再上映の機運も高まりそうだ。

そのほかアニメーション部門の優秀賞には、吉原正行監督の『有頂天家族』、稲葉卓也監督の短編作『ゴールデンタイム』、吉浦康裕監督の『サカサマのパテマ』、庵野秀明総監督の『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』が選ばれている。
またマンガ部門の大賞は荒木飛呂彦さんの『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』が獲得した。会場に登壇した荒木さんは「これからも読者の皆様に楽しんで頂ける作品を描いていくよう努力したいと思います」と語った。

第17回文化庁メディア芸術祭は、とりわけ海外からの応募作品が目立つ形となった。応募総数はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの全4部門合計で過去最高の4347作品を記録。海外応募作品は83ヵ国2347作品に達した。
海外からの応募が日本の作品数を上回ったのは今回が初めてである。今後も国際的なコンテストとして重要な位置を占めることになるだろう。
第17回文化庁メディア芸術祭受賞作品展は、2月5日から16日まで国立新美術館を中心に開催される。作品の上映やシンポジウム、プレゼンテーションも予定している。
[高橋克則]

文化庁メディア芸術祭
/http://j-mediaarts.jp/

『はちみつ色のユン』
/http://hachimitsu-jung.com/

第17回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

■アニメーション部門

大賞
『はちみつ色のユン』 ユン/ローラン・ボアロー

優秀賞
『有頂天家族』 吉原 正行
『ゴールデンタイム』 稲葉 卓也
『サカサマのパテマ』 吉浦 康裕
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 庵野 秀明

新人賞
『ようこそぼくです選』 姫田 真武
『Airy Me』 久野 遥子
『WHILE THE CROW WEEPS―カラスの涙―』 鋤柄 真希子/松村 康平
《高橋克則》
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