小池一夫は、『子連れ狼』、『クライング・フリーマン』など数々の名作を生み出したマンガ原作者として知られている。一方で、その活動は小説や脚本などの創作、さらに教育者、キャラクターの理論家など幅広い。そして長年にわたる活動のなかで多くの才能ある人と対談を重ねてきた。その相手は、自ら育ててきたクリエイターやマンガ界の重鎮、さらにフィールドを超えたトークの実現している。この秋、小池一夫の対談から選りすぐりの15本を一冊にまとめた本が発売された。「小池一夫対談集~キャラクター60年~」である。対談は1976年に「週刊現代」に掲載された『子連れ狼』などので一緒に仕事をすることの多かった小島剛夕から、2013年の庵野秀明まで30年以上にも及ぶ。小池一夫のキャリアの長さを感じさせる。さらに小島剛夕、手塚治虫、石ノ森章太郎と故人も含まれている。その才能をいま感じる貴重な対談だろう。対談集最後の長嶋茂雄との対談も面白い。一方で、神山健治、虚淵玄と2000年代に脚光を浴びるようになった創り手とのトークも興味深いだろう。その話からは、ものを作る基本が、時代を超えて不変であることが伝わる。こうした時代を超えた才能を並べることで小池一夫は、自らのキャラクター理論が掲げる原則もまた、時代を超えたものであることを表現しているのかもしれない。クリエイターを目指す人たちにとっては、実用書ともなる。もちろん、当代きってのクリエイターばかりだけに、その語り口、エピソードも楽しく、エンタテイメントな読み物としても最上だ。小池一夫は近年も、雑誌、講演、ネットとアクティブに動く。そんな言論への理解も、「小池一夫対談集~キャラクター60年~」を読むことで、一層深まるかもしれない。定価は税込1500円、全国書店やネット書店などで購入出来る。「小池一夫対談集~キャラクター60年~」定価: 1500円(税込)[対談者]手塚治虫/小島剛夕/石ノ森章太郎/藤子不二雄(A)/池上遼一/叶精作/高橋留美子/さくまあきら/堀井雄二/板垣恵介/山口貴由/神山健治/虚淵玄(ニトロプラス)/庵野秀明/長嶋茂雄
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