2013年7月20日(土)に全国で公開となるスタジオジブリ最新作『風立ちぬ』の中間報告会見が6月6日、都内スタジオにて開催された。5年ぶりとなる宮崎駿監督作品として大きな注目を集める『風立ちぬ』は、零戦の設計者・堀越二郎と文学者・堀辰雄という同時代に生きた二人の人物を融合させたひとりの主人公“二郎”の物語。今までただ一人明らかになっていたキャストは主人公・二郎役の庵野秀明だ。宮崎駿と庵野秀明の意外な形での共演は大きな話題となっている。冒頭、6月8日から劇場でのみ流されるという4分の特別映像が上映されたのち、中間報告会見にまず姿を見せたのはスタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサーである。鈴木プロデューサーからは作品の製作状況などの説明があった。特に今回、驚きだったのは音響だ。現在多くの映画ではドルビーサラウンドシステムなど、高音質環境で映画を製作している。だが今作はモノラルでの録音だという。鈴木プロデューサーは「ナウシカ以来ずっとジブリ作品の音響を聴き直してみたんですが、やっぱりモノラルが1番いいだろうという結論に達しました」と語った。そして音響に関しての驚きの報告はもうひとつ。全てにおいてではないが、『いくつか戦闘機そのほかの効果音を人間の口で表現している』ということだ。なお考案当初、宮崎監督は鈴木プロデューサーと二人で効果音をやってしまおうと意気込みテストに臨んだというのだからそれも驚きだ。結局、音響担当に却下されたとか。次に、鈴木プロデューサーの紹介で現れたのはヒロイン・菜穂子役を演じる瀧本美織である。瀧本はNHK連続テレビ小説『てっぱん』の主演や、ソニー損害保険のイメージキャラクターとしてCMで大活躍する注目の若手女優だ。理想通りの瀧本の声と演技に宮崎監督は大喜びだったと鈴木プロデューサーは語った。瀧本は「とにかくがんばろうと思いました」と当時の意気込みを述べたが、アフレコは非常にスムーズに終わったらしく、「あっという間にアフレコが終わって、もっとここ(ジブリのスタジオ)にいたい! って思いました」と胸の内を語った。また、鈴木プロデューサーと瀧本の話の中から、宮崎駿作品ではほとんど見られない、二郎と菜穂子のキスシーンがあることが明らかになった。そしてラストシーンのアフレコ後、庵野秀明が「このラストシーンは素晴らしい。宮さん(宮崎駿監督)の作品の中でも最高ですよ」と絶賛していたことも明かされた。上映された特別映像には関東大震災が発生する描写も盛り込まれており、「不況や震災など、今の時代へのメッセージなどは込められているのか」という記者からの質問が飛ぶと、鈴木プロデューサーはこれは伝えておきたい、と前置きをした後、企画が動き出したのは2010年8月、同12月には製作を決定し、2011年頭から宮崎監督はコンテ作りに入っていたと説明した。東日本大震災発生時に物語を変えるのか協議がなされたが、手を加えずに製作続行することを決断したという。「時代ということにとらわれすぎると本来の作品作りとは違うものになってしまうと考えています」と語った。また、作品を通して、監督はある考えにたどり着いたのだということに鈴木プロデューサーは触れ、「これは宮さんの遺言の様な作品になるかもしれない」と語った。ジブリ史上もっとも大人の恋愛に踏み込んだ作品であるとともに、宮崎駿監督の様々な思いが詰まった集大成となるような作品であることは間違いない。公開まで1ヶ月あまり。情報は続々と解禁されていくが、目撃するには劇場に行くしかない。待ちきれない人は8日より劇場で公開される特別映像を見ながら、期待に胸を大きくふくらませてその日を待ちたい。[細川洋平]『風立ちぬ』2013年7月20日(土)より全国ロードショー/ http://kazetachinu.jp/原作・脚本・監督: 宮崎駿(「月刊モデルグラフィックス」連載)音楽: 久石譲(サントラ/徳間ジャパンコミュニケーションズ)主題歌: 「ひこうき雲」荒井由実(EMI Records Japan)堀越二郎: 庵野秀明里見菜穂子: 瀧本美織本庄季郎: 西島秀俊黒川: 西村雅彦カストルプ: スティーブン・アルパート里見: 風間杜夫二郎の母: 竹下景子堀越加代: 志田未来服部: 國村隼黒川夫人: 大竹しのぶカプローニ: 野村萬斎スタジオジブリ・日本テレビ・電通・博報堂DYMP・ディズニー・三菱商事・東宝・KDDI提携作品特別協賛:KDDI 特別協力: ローソン・読売新聞配給: 東宝
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