「ジョジョの奇妙な冒険」津田尚克ディレクターインタビュー (後編) 「ジョジョ!」と叫びたいが、オープニングの要望 | アニメ!アニメ!

「ジョジョの奇妙な冒険」津田尚克ディレクターインタビュー (後編) 「ジョジョ!」と叫びたいが、オープニングの要望

[インタビュー取材・構成:川俣綾加] 「ジョジョの奇妙な冒険」津田尚克ディレクターインタビュー(後編)は、テーマソングのエピソードやディレクターの好きなキャラクターまで。

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津田尚克ディレクター
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[インタビュー取材・構成:川俣綾加]

テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』
/http://jojo-animation.com/

■ 「ジョジョ!」と叫びたいが、
オープニングの要望。


―― アニメ!アニメ!(以下AA)
オープニングテーマやエンディングテーマも話題になりましたが、こうした曲はどう決められたのでしょうか?

―― 津田尚克ディレクター(以下、津田)
まず、オープニングテーマでタイアップはしないというのは決定していました。音楽担当から「この人はどう?」と色々提案してもらったんですが、いまいちピンとこなくて。「ジョジョらしさって何だろう?」とみんなで考えるところから始めました。

逆にエンディングテーマは洋楽にしよう、というのが先に決まっていた状態だったんです。 ひとくちに洋楽といってもジャンルはさまざまなので、荒木飛呂彦先生に第1部を描いていた頃に聴いていた音楽を編集を通して教えてもらいました。
荒木先生は洋楽をよく聴かれる方で、仕事中も聴いていると伺っていたので。編集の方を通して頂戴した荒木先生のメモの中から、YESの「ROUNDABOUT」に決まりました。

―― AA
エンディングテーマの方が先だったんですね。

abesan―― 津田
そうなんです。オープニングテーマは本当に悩んで、男性ボーカルなのか、女性ボーカルなのか、カッコイイ感じのロックなのか、それとも日本人が洋楽っぽく英語で歌ったものなのか。色々と試行錯誤した挙げ句、どれもはまらなかった。
そこで「王道アニメソングがいいんじゃないか」というアドバイスを編集部に頂いたんです。『ジョジョ』といえば週刊少年ジャンプ。1980年代を彷彿とさせるような、あの暑苦しいほどの王道をやればいいのではないかって。みんなが「これだ!」と思いました。
そして、王道アニメソングといえば作曲家の田中公平さん。彼に依頼したらノリノリで「ジョジョ ~その血の運命(さだめ)~」を作ってくれたそうです。嬉しかったです。

―― AA
依頼するにあたって、何かオーダーは出されましたか?

―― 津田
「ジョジョ!」って叫びたい、それをカラオケで歌いたい、とお願いしました。

―― AA
オープニングテーマはアニメ好きのカラオケの定番になっていて、まさに狙い通りですね。

―― 津田
「しめしめ」って感じですよ(笑)。聴いた瞬間にみんな「これはいける!」って確信していて、この暑苦しさ、ダサかっこよさがいい。時代が1周してこういうのがかっこよく感じるのではと思っていました。

abesan


■ 悩んだ、みんなの持つ『ジョジョ』の共通イメージ

―― AA
制作で、特に苦労されたことはありますか?

―― 津田
コンテですね。原作の連載スタートから25年経つ今、これをそのままアニメ化してもきっと受け入れてもらえない。
「みんなが思い描いている『ジョジョ』ってどこだろう」と、そこで3部、4部の荒木先生の絵やレイアウトをコンテに入れ込もうと考えました。おそらくみんなが一番もっている『ジョジョ』のイメージはここにあるんじゃないかと。
1部と2部では広角レンズで撮影したようなシーンが多くて、キャラクターが一つの画面の中で並んでいる、望遠レンズで撮ったみたいなシーンって少ないんです。たまにあえて望遠のシーンにしてみよう、くらいです。
そういうコンテをこれまで僕が描きなれていなかったので、第1話のコンテにとても苦労しました。今は別のタイトルを担当していますが、『ジョジョ』のコンテのクセが抜けなくて、苦労してます。演出としてクセが強い人間になりそうなので矯正中です(笑)

abesan


■ お気に入りはジョルノ。「DIOの子なのに清廉潔白で性格がいい」

―― AA
津田さんが一番好きな『ジョジョ』のキャラクターは誰ですか?

―― 津田
『ジョジョ』のキャラクターは全員好きなんです。敢えて挙げれば、僕は、ジョルノ・ジョバァーナが好きなんです。ジョースター家の血もディオの血も受け継いでいるのも、ディオの子なのに清廉潔白で性格がいいのも魅力。
ジョルノが一番真っ直ぐですよね。「ジョルノ・ジョバァーナには夢がある」と言った2週間後にはギャングのボスになっちゃうのも「どんだけすげぇんだ!」って思います(笑)。
ジョルノのスタンド「レクイエム」も一番強いんじゃないかな。

―― AA
最後に、津田さんにとっての『ジョジョ』作品の魅力を教えてください。

―― 津田
本当にタイトルどおりの「奇妙な」ところだと思います。とにもかくも荒木節というか、確固たる世界観。ジョジョ立ちってすごいよね、台詞の言い回しが面白いよね、絵がスタイリッシュだよねとか、色々とあるんですが、奇妙さもあって世間ではネタみたいなところもあると思うんです。
でも、それらを並べた時に真っ先に感じるのが「熱い! 面白い!」ということ。この感覚は天才にしか作り上げられないものだと思います。この熱量を感じられるのが魅力です。 もう一つは、絵やストーリーが相まって作り上げられた世界が、オンリーワンであること。『ジョジョの奇妙な冒険』っていうタイトルからして、ほかにはどこにもありませんし、この発想を真似しようと思ってもできませんよ。
そして、これにハマったら絶対に抜け出せない。ほかのアニメやマンガじゃ物足りなくなってしまうのもうなずけます。

『ジョジョ』がもつ、見ている側にもカロリーを消費させる圧倒的な熱量は、生半可な気持ちじゃ向き合えないです。やっぱり荒木先生の内にある熱量が、すごいんだと思います。
もし、第3部があり、やらせていただけるなら、この原作の熱量を忠実に再現したいですね。

―― AA
本日は、ありがとうございました。

abesan


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