関連産業をより広く巻き込んでいくことでアニメ関連市場を拡大する。日本動画協会は、今秋からそうした試みをスタートしている。経済産業省の後援も受けて実施する「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」である。アニメビジネスは、もともと作品そのものよりも、キャラクターや映像を二次利用する玩具や雑貨などの周辺市場が巨大なことが知られている。そこで二次利用の場を、ソーシャルや地域、飲食、イベント、海外などにより大きく広げるためのビジネスマッチングを目指す。日本動画協会はこのために6つの「テーマ・ワーキング」を設置して、企業の出会いの場を創りだす。これに先立って9月24日から28日まで、アニメビジネスを様々な角度から考える連続セミナー、シンポジウムが東京・秋葉原で行われた。セミナーは海外からソーシャル、地域振興などまで、フォーラムが目指す様々なテーマを取り上げた。9月25日には、そうしたなかでも特に関心を持たれているアジアの現状を紹介する「アジアにおける日本アニメの浸透状況と、中国におけるキャラクタービジネスの可能性と課題」が取り上げられた。講師は、アサツー ディ・ケイ コンテンツ本部第一コンテンツビジネス局伊藤直史氏である。伊藤氏の講演は、アサツーDK自身がアジアで行った調査、さらに他の調査も含めて、近年のアジア圏における日本のアニメ・キャラクターのビジネス状況を考察したものだ。特に巨大市場として期待される中国をフォーカスした。アジアは日本のコンテンツが人気と漠然と思われがちだ。しかし、調査結果をベースにすることで、確認出来ること、新たな発見も多い有意義なセミナーとなった。まず、印象深かったのは、各国での日本アニメ・キャラクターの人気が依然大きいことである。これまでも人気があるとされてきたタイやマレーシアはもちろん、インドネシア、インド、フィリピンなどの国でもかなり高い支持を受けている。こうした状況はビジネスを展開するうえでの優位性を感じさせる。しかし、伊藤氏はキャラクターの人気を活用するのはむしろ外資系企業が多く、日本企業全体の利益に結びついていないとの問題点を指摘する。また、中国やインドネシアでは、日本産、欧米産以外の地元のキャラクターも、大きな人気を獲得し始めている。様々なかたちで競争が増していることが感じられた。中国については、著作権や海外アニメーションの規制の問題、キャラクター市場の動向などにふれた。最近関心が高まっている動画配信については、配信各社が利益の伸び悩みからコンテンツ購入費用を絞り始めているとの報告が興味深かった。配信コンテンツの正規化で、作品のバイヤーとして注目を集める中国企業だが、早くも状況は変わりつつあるようだ。こうした状況はビジネスの現場にいる人たちには、知られていることかもしれない。しかし、それ以外にはなかなか伝わり難いものである。そうした点でセミナーは、広く情報共有する場として、「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」の役割の一翼を担う価値あるものだった。アジアビジネス・パートナーズフォーラム/http://www.charabiz.com/abpf/index.html
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