マンガ家の赤松健さんが代表取締役社長をつとめる株式会社Jコミは、絶版コミックを無料で配信する「Jコミ」で、9月15日より新型ビジネスモデル「JコミFANディング」 のβテストを開始する。2011年の開設以来、約1年半で1000万閲覧を達成したのを記念しておこなわれるものだ。「Jコミ」は絶版マンガに広告を載せて配信することで、作品の活性化とビジネス化を狙った試みだ。2010年よりスタート、実績を築いてきた。一方、「JコミFANディング」は、これとはやや異なる試みだ。プレミア感、レア感のあるアイテムをネットで提供、そのレア感にプラスαの価格を上乗せする。赤松さんは今回のサービスについて、公式ブログで「少数の選ばれたファン層から少しお高いお布施を集める」システムと説明している。「JコミFANディング」は、対象となるマンガ家の作品や作家について、マンガ作品の電子データと作家の直筆サインなどをセットにしして期間限定で販売する。電子書籍にリアルな特典をセットにすることでマニアの所有感を満足させ、さらに申し込み期間を定めることで、購入意欲を高めようというコンセプトである。今回のβテストでは、赤松さんの「『ラブひな』パーフェクトPDFセット」と、がぁさんの「がぁさん作品×8本PDFセット」がテスト販売される。赤松さんのセットは、代表作『ラブひな』単行本全14巻に加えて、単行本未収録の短編2本と下書きまたはネーム1話分をPDFデータで提供し、さらに先着50名に直筆サイン入りハガキがつく。がぁさんのセットは、『だいらんど』『のぞみちゃんホットライン』など8作品を収録し、こちらもサイン入りはがきのサービスがある。定価は2100円で、サインを希望しない人は1050円で購入できる。販売目標は50人に設定されており、申し込みが50人を超えた場合は、サイン入りはがきなしで1050円で販売する。赤松さんは、「JコミFANディング」を発想したヒントとして、「クラウド・ファンディング」と「ポッターモア」を挙げている。「クラウド・ファンディング」は、インターネットを通じて少額の出資者をつのるシステムで、アメリカの「キックスターター」が話題を集めている。ここから赤松さんは、限定版などを集めるコレクター気質のファンが、直接マンガの作者を支援する今回のシステムを発想した。「ポッターモア」は、J・K・ローリングさんのベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズの電子書籍を扱うサイトで、作品はすべてDRMフリーのPDFとして提供している。パソコンはもちろん、kobo、iPhone、キンドルなど、どんな端末でもストレスなく作品を読むことが可能だ。「JコミFANディング」では、同様の形式を取ることで、いまだ多くの人が電子書籍に感じている敷居の高さを解消しようとしている。また、ファイルに購入者の個人情報を記入した電子透かしを入れることで、winny などへの流出を防ぐ仕組みも、「ポッターモア」を参考にしている。βテストは、9月15日(土)の昼12時よりスタートする。[多摩永遠]「Jコミ」/http://www.j-comi.jp/
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