9月21日に東京の六本木アカデミーヒルズにて、第24回東京国際映画祭の記者会見が開催された。記者会見と合わせて、世界76カ国975本の応募作品の中から選ばれたコンペティション部門の15作品が発表された。 さらにコンペティション部門以外の100余りの公式上映作品も発表された。この中にはアニメーション映画も含まれており、アニメーションに関心がある人には興味深いものとなる。 なかでも注目されるのは、特別招待作品の2作品だ。川又浩監督の『ハルのふえ』、そして新春公開が予定されている『マジック・ツリーハウス』である。両作品は東京国際映画祭が初披露である。 東京国際映画祭でこれまで少なかった長編アニメーションのワールドプレミアとなる。映画祭を盛り上げるものとなりそうだ。 『ハルのふえ』は、『アンパンマン』で知られるやなせたかしさんが原作を務めた。人間の赤ちゃんを拾ったタヌキが、人間のおかあさんに化けて子ども育てる。やがて子どもは音楽家として巣立っていく。そして、ふたりの再会する時に奇跡が起きる。 製作はトムス・エンタテインメント、長さ48分の中編映画となっている。キャストに戸田恵子さんと野沢雅子さんという日本を代表する声優が参加するのも注目される。 (c)やなせたかし/TMS 『マジック・ツリーハウス』は、メアリー・ポープ・オズボーンさんによる世界的なベストセラー児童文学を映像化したものだ。国内では新春の公開を予定しており、いち早い登場となる。 監督に錦織博さん、脚本に大河内一楼さん、そして音楽の千住明さん、キャストの北川景子さん、芦田愛菜さんとこちらのスタッフも豪華だ。 (c)メアリー・ポープ・オズボーン/『マジック・ツリーハウス』製作委員会 海外の作品で注目されるのは、シンガポール映画界の旗手とされるエリック・クー監督が挑んだ『TATSUMI』である。最優秀アジア映画賞の候補となる「アジアの風-中東パノラマ」で上映される。 本作は日本の「劇画の父」とされるマンガ家辰巳ヨシヒロさんの人生を、辰巳さんの作品からインスパイアされるかたちで2Dアニメーション化した。声優として日本から別所哲也さんも参加しているのも話題だ。映画の評価の高さはカンヌ国際映画祭のある視点の公式作品に選ばれたことからも分かるだろう。 また、近年、海外で圧倒的な評価を受けるマンガ家辰巳ヨシヒロだが、海外の視点からどう捉えられているかというのを知るのにも必見だ。 (c)27 Productions Pte Ltd さらに、既に発表されている特集プログラム「未来のアニメーション」でも、アニメーションが取り上げられる。アニメーション監督の山村浩二さんほかをゲストに山村監督の最新作『マイブリッジの糸』、出崎統監督の追悼上映『エースをねらえ!劇場版』が上映される。 本年の東京国際映画祭は、多彩なアニメーションが紹介されることになりそうだ。第24回東京国際映画祭 10月22日(土)~10月30日(日)会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか 公式サイト /http://www.tiff-jp.net/
「東京国際映画祭」“日本のアニメ”の発信から、“世界のアニメ”を知る場所へ【藤津亮太のアニメの門V 第100回】 2023.11.8 Wed 11:30 11月1日、第36回東京国際映画祭が閉幕。昨年まではジャパニーズ…