2005.06.28
調査報告 ]
clear.gif

 日本アニメが複雑な物語構成を持つことで評価されているなら、作品のオリジナリティーというかたちでその評価や人気に影響しているのでないかと想像出来る。そこで、両国のアニメ・アニメーションのオリジナリティーについて消費者がどう判断しているか考えてみたい。
 前回の「日本アニメの物語は複雑に思うか」の質問に続いて、昨年7月の米国のアニメエクスポ2004で行った会場調査で検討してみる。これについては、米国の日本アニメファンに日米の16作品を提示してその作品にオリジナリティーがあると思うかどうかをYES//NOで質問をしている。

 回答結果は事前の日本アニメにオリジナリティーがあり、米国アニメーションにオリジナリティーがないといった予想を覆すものであった。調査結果では、意外なことに日本アニメファンの間でも日本アニメと米国アニメーションのオリジネリティーに対する考え方には大きな差がないことが判った。むしろ、一部の日本アニメ作品は米国アニメーションよりもオリジナリティーがないと思われている。

 こうした結果は、米国の日本アニメファンの間ですら個別の作品の認知度、視聴経験、好感度で米国アニメーションが日本アニメに匹敵するか、それを上回る傾向にあるという別の調査結果とも一致する。日本アニメと米国アニメーションは消費者の間においては対立するものでなく、それぞれ別個に評価され共存しているといえる。
 また、消費者からみた日本アニメと米国アニメーションのオリジナリティーに対する感じ方には大きな差は見られないといえる。日本の複雑な作品はオリジナリティーであり、米国のシンプルな作品も別個のオリジナリティーと考えるのが正しいだろう。

 個別の作品を見ると、カードゲームから派生し複数のシリーズを持つ『遊戯王』やシリーズ作品を数多く持つ『ガンダムウィング』のオリジナリティーに対する支持が少なかった。また、米国作品では3DCGアニメーションに対してオリジナリティーへの高い支持がある一方で、伝統的なディズニーの2Dアニメーション『美女と野獣』やTVアニメーションの『パワーパフガールズ』についての支持が低かった。
 このようにオリジナリティーについては、日本作品と米国作品、子供向け作品と大人向け作品といったカテゴリー分けとはあまり関係がない。むしろシリーズ展開や制作技術によって評価の違いが現れている。

orinal
(n=114)
調査日:2004年7月2日から4日
調査場所:米国カリフォルニア州アナハイム市 アナハイムコンベンションセンター
調査対象:日本アニメに関心のある16歳以上の男女
調査数:114

続きを読む "日米アニメのオリジナリティー" »
clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005.06.25
調査報告 ]
clear.gif

 日本アニメが米国で人気がある理由について、日本独特のアートスタイルに加えて日本アニメのストーリーがより複雑で魅力的であることが挙げられている。こうした事実が多くのアニメファンから認識されていることが、1998年テキサス大学のスーザン・J・ネイピア教授がアニメファンに行った調査で明らかになっている。(参照『現代の日本アニメ「AKIRA」から「千と千尋の神隠し」まで』(中央公論社:2004年))
 日本アニメが米国アニメーションより複雑な物語を持つと認識されていることを確認するため、米国の日本アニメファンに日米の16作品を提示してその作品が複雑かどうかYES//NOで質問をした。調査は昨年7月、筆者が米国のアニメエクスポ2004で行った会場調査によるものである。
 調査結果は、こうした点がかなり明確に現れた。調査のため挙げた『美女と野獣』、『ファインディング・ニモ』、『シュレック』、『スパイダーマン』、『パワーパフガールズ』全ての米国作品を8割から9割を超える回答者が複雑なストーリーでないとみなしている。対照的に『カウボーイビバップ』、『AKIRA』、『攻殻機動隊』といったカッティングエッジな作品は半数以上の回答者が複雑な物語を持つとした。
 特徴的なのは、日本アニメの中でも比較的低年齢向けの作品『ドラゴンボール』、『遊戯王』、『セーラームーン』などでも、米国作品より複雑だと考える人の割合がかなり高いことである。こうした結果から日本アニメは米国アニメーションより複雑な物語を持っているという認識が米国にあることが裏付けられる。
 しかし、『ポケットモンスター』のみは米国作品を含めても、複雑なストーリーを持つと考える回答者が最も少なく日本アニメの傾向からはずれている。『ポケットモンスター』については、ストーリーの複雑さ以外の多くの質問の回答でも日本アニメより米国アニメーションの回答傾向に近く、この作品が日本アニメにおいて特異な作品であることを示唆している。

    hyou
(n=114)
調査日:2004年7月2日から4日
調査場所:米国カリフォルニア州アナハイム市 アナハイムコンベンションセンター
調査対象:日本アニメに関心のある16歳以上の男女
調査数:114

日本アニメと米国アニメーションの複雑さの違い  (グループごとの度数平均値)
      hyou

続きを読む "日本アニメのストーリーは複雑である" »
clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005.06.20
調査報告 ]
clear.gif

 日本アニメが米国で人気と言われているが、実際にどんな作品が米国で人気があるのだろうか。昨年7月、筆者が米国のアニメエクスポ2004で行った会場調査の一部から考えてみたい。調査結果は記入式のアンケート調査で200問ほどある質問のうちの一つである。回答者は114人で、好きな作品に関する質問は、最も好きな作品名を上限3作品まで記名式で行っている。
 調査結果では全部で111作品が言及されている。この結果から米国市場には非常に幅広い数の作品が公式、非公式に普及していることが確認出来た。しかし、好きと答えたのが1人のみの作品が60作品、2人だけの作品が18作品であり、実際の回答は複数回答にもかかわらず少数の作品に人気が集中している。

 最も人気のあった作品は『カウボーイビバップ』であった。具体的な作品名を挙げた回答者の15.7%が自分の好きな作品のベスト3に『カウボーイビバップ』を挙げた。『カウボーイビバップ』は現地雑誌の人気投票でも人気が極めて高く、この作品の日本アニメのファンからの支持は非常に高いといえる。
 こうしたカッティングエッジなアニメ作品はコンベンションに来るようなファンに人気があり、3位『るろうに剣心』や5位『トライガン』といった作品の人気も同じ流れで理解出来るだろう。
 今回の調査で何より驚かされたのは2位の『NARUTO-ナルト-』の高い人気である。『NARUTO』は、調査の時点でテレビ放映もDVDの販売もされていない。マンガ出版が半年前に始まったばかりで、米国市場で露出度はあまり高くなかった。しかし、会場でも『NARUTO』のコスプレが溢れており、熱心な日本アニメファンは日本アニメの情報をインターネットなどから取り、新作アニメの人気では日米のコアなファンの間でほとんど時差がない。
 同様のことが、6位の『鋼の錬金術師』にもいえる。『鋼の錬金術師』に至ってはアニメどころか、マンガの出版も行われていない状況の中での高い支持だけに驚かされる。

 近年、女性のアニメファンが増えているとされるが、調査結果はそうした傾向も反映している。全体の回答者の約4割が女性であったのに加え、女性向けの作品として『フルーツバスケット』が3位と高い支持を集めている。このほか、『るろうに剣心』、『鋼の錬金術師』、『美少女戦士セーラームーン』などで女性の支持が男性の支持を上回った。
 これ以外では、『乱馬1/2』や『ドラゴンボール』、『エヴァンゲリオン』、『』天地無用』などの米国で人気があるとされている作品が順当に挙げられている。
 全体に日本での人気と大きな違いはないが、日本であれば必ず挙がる『ガンダム』といったロボットアニメの支持はほとんどなく、意外なことにジブリ作品もほとんど挙げられることがなかった。

続きを読む "米国アニメファンの好きな日本アニメ" »
clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)