検索

clear.gif

120_600_2.jpg



120_600_2.jpg
カレンダー
カテゴリ
バックナンバー

2009.01.25
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 平成仮面ライダー・シリーズとの9年間 ]
clear.gif

斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」
 
第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(1)
「クウガ」~「龍騎」

斉藤守彦

 「仮面ライダークウガ」から始まった、平成仮面ライダー・シリーズも10周年。1月25日からスタートする「仮面ライダーディケイド」は、その10周年を記念したもので、クウガからキバまでの、歴代ヒーローが登場するという。
 そこで思い立った。
 この9年間、毎週ビデオのタイマー録画やDVDで見てきた、平成ライダー・シリーズを自分なりに総括というか、今日の視点からインプレッションをまとめてみるのも、また面白いのではないだろうか。9年間という期間を視聴者としての視点で、でも多少のビジネス的な要素も含めて、なんだかんだと語っていこうと決めたのである。あくまで「私論」なので、世間一般の評価とは違うところもあると思うが、それはそれ。そうしたギャップこそを楽しんでいただければ幸いである。
 
☆完全独走。俺が変えてやる。
「仮面ライダークウガ」

【DATA】
●オンエア期間=2000年1月30日〜2001年1月21日。全49話
●最高視聴率=11.8% 2001年1月21日(EPISODE49「雄介」)

【9years after impression】
●「仮面ライダーBLACK RX」以来11年ぶりとなるTVシリーズ版ライダーは、「もし、現実社会に怪人が出現したら?」を徹底したリアリティで追求。高寺成紀プロデューサーとスタッフが、妥協とご都合主義を避ける姿勢で臨んだことがうかがえる。
●あくびと青空が似合う主人公・五代雄介にはオダギリジョーが扮し、昭和ライダーの“孤独を背負った復讐者”的イメージを一新。とことん明るい性格の、前向きでいいヤツというヒーロー像を確立した。これは「クウガ」以降のシリーズ「アギト」「龍騎」にも踏襲されているが、オダギリの演技と個性が、その基盤を作ったと見て間違いなかろう。もはや「哀しみを乗り越えて、ひとり戦う」ヒーローは、時代に合わなくなってきたのか。それともバブル崩壊後の、どんづまりな世相を打ち破る狙いか。
●驚いたのは、怪人たちが主人公の拠点である喫茶店「ポレポレ」を襲撃しないことだ。またグロンギは、幼稚園を襲撃したり、川に毒を流したりという、かつてのショッカーが積極的に行った、極小規模な(セコい)侵略行為を行わない。雄介の妹・みのりもおやっさんも敵に囚われて人質になったりしないし、それを助けるべくライダーがアジトに乗り込むこともない。それが理由か、ライダー・シリーズに不可欠な、おやっさんの存在が「クウガ」では、単なるギャグメーカー的役割になってしまい、役名も「おやっさん」のまま。本名が明かされるのは最終回であった。これは立花藤兵衛が果たしていた指導者的役割を、一条刑事が果たしているからか。あるいは雄介が、精神的なヘルプを必要とせず、自らの力で困難を乗り切ることが出来る主人公だからそうなのか?いずれにせよ「クウガ」における「おやっさん」は、一種の記号的存在にすぎないのかもしれない。
●ドラマ演出に力を入れた「クウガ」だが、最終回直前というタイミングで、科警研・榎田ひかりが母親として苦悩するエピソートをオンエアしたことには、心底驚いた(EPISODE46「不屈」)。榎田を単なる脇キャラのひとりではなく、“家庭を持って戦っている”人物であることを、改めて強調。怪人とヒーローだけの戦いに終始しがちなシリーズに、ホモ・サピエンスの血を通わせることに成功している。

☆「誰も、人の未来を奪うことは出来ない!!」
「仮面ライダーアギト」

【DATA】
●オンエア期間=2001年1月28日〜2002年1月27日。全51話+「仮面ライダーアギトスペシャル・新たなる変身」
●最高視聴率=13.9% 2001年4月15日(第12話)
●映画=「劇場版 仮面ライダーアギト/PROJECT G4」2001年9月22日公開。興行収入12.5億円

【8years after impression】
●「クウガ」の世界観を踏襲しつつ、「クウガ」には希薄だった科学性を導入し、またアギト、G3、ギルスの3人のライダーを登場させ、それぞれのドラマを展開し、リンクさせることで作品世界の奥行きを広く見せた。
●石ノ森章太郎による“原作版”「仮面ライダー」や諸作品のテイストを取り入れていることも、大きな特徴だ。「仮面ライダー」「サイボーグ009」の主人公たちは悪の組織と戦うものの、そもそもがその「悪」の尖兵として誕生した経緯をたどっており、それが石ノ森作品に時折登場する“肉親との戦い”“親殺し”にも通底する。「仮面ライダーアギト」では、敵サイドの背景として、“光と闇の戦い”の一端としてアンノウンが人類抹殺を企てる、と定義しているあたりは、石ノ森テイストのバリエーションと解釈できよう。アギトたちが戦うアンノウンと呼ばれる未確認生命体を操っていたのが、実は人類の造物主であったという展開には驚愕!!
●その割には、光と闇の戦いの描写が、セーター着たふたりの青年が草っ原で手から光を出し合っているだけというあたりは、苦笑するしかないが…。
●オンエア当時、筆者は「人造人間キカイダー・トリビュート」というムックの取材・執筆をしていたが、ここに「神の涙」と題し、石ノ森作品における“親殺し”の存在と描写について論考を書いたが、その執筆の最中、“造物主との戦い”がまさにアギトで行われていたのには、再び驚愕!!
●ラスト5話(47~51)は、アンノウンを殲滅し、新たな道を進む翔一、涼たちの日常を描いているが、どこか付け足し的なドラマ展開に、オンエア当時は鼻白んだ。ところが今日再見すると、この5話分が重要な役割を果たしていることが分かる。「アンノウンを殲滅したものの、これからの社会を支配するのは、アギト化した人種ではないか?」との危機感を抱いた警察官僚が対策に乗り出すという展開は、実はあらゆるヒーローものが、“最終回後の可能性”として秘めている要素であり、そこに踏み込んだ野心と見識は、高く評価すべきだろう。この5話だけで1クールを割くほどのドラマが展開出来るとは思うが、それはそれで「仮面ライダー」のフォーマットから逸脱してしまう…。
●最高視聴率13.9%は、「キバ」終了時点における、平成ライダー・シリーズの最高記録。

☆「なんでだよ…!!」
「仮面ライダー龍騎」

【DATA】
●オンエア期間=2002年2月3日〜2003年1月19日。全50話+「仮面ライダー龍騎スペシャル・13RIDERS」
●最高視聴率=12.9% 2002年2月17日(第3話)
●映画=「劇場版 仮面ライダー龍騎/EPISODE FINAL」2002年8月17日公開。興行収入14.3億円

【7years after impression】
●その斬新なデザインから、筆者の周囲では「まるで電線マン」と評された新ライダー・龍騎。内容に関しても、13人のライダーが登場しバトルロワイヤルを繰り広げるストーリーと聞き、大いに不安が募った。そこには石ノ森章太郎原作の残像はなく、ヒット・キャラクターの地位を確立した「仮面ライダー」を、独自の戦略によって成功を収めようという、強いビジネス意図がかいま見えたからだ。
●内容面で特筆すべきは、スーツアクターと俳優たちの演技の違和感のなさである。これは「クウガ」「アギト」とシリーズを重ねてきた成果であり、例えば仮面ライダー王蛇に変身する浅倉威のクセを、変身後の王蛇が引き継いでいたり。これはスーツアクターと俳優が一体化して、初めてひとりのキャラクターを形成するという演出意図に基づくものだろう。平成ライダー・シリーズは、本編監督とアクション監督、特撮監督の3人の監督の手で創られるのだが、3人の監督たちの役割分担とコミュニケーションがうまく行っているからこそ可能となる作業であることは言うまでもない。
●しかしながら、ストーリー面では不満が残る。ライダーバトルの舞台となるミラーワールド。その謎を握る神崎士郎と妹・由衣とモンスターたちとの関係など、今ひとつ釈然としないうちに最終回を迎えた印象が強い。世界観の謎を追う形で進んでいても、メインイベントたるライダーバトルが始まるや、思考停止とばかりにストーリーの進行がストップしてしまうのはいただけなかった。
●劇場版において最終回を先行公開するという大胆な戦略は、大いに話題を集めたが、結果的にこの劇場版がシリーズ構成に絡んでくることで、説明を要する箇所が増えるにも関わらず、そうした複雑さが映像的にもストーリー的にも解消されたとは言いがたい。
●「クウガ」以来のイケメン俳優起用も、今回は選り取り見取りの豊富さで、犯罪者やら悪徳弁護士やら会社経営者やら占い師やら、バラエティに富んだキャラクターを、新人・中堅俳優たちが演じて見せた。中でも筆者のお気に入りは、アナザーアギトに続く中年ライダー(?)=オルタナティブ・ゼロの存在だ。その高い知性と、持って回ったもの言いが、若いライダーたちの中で異彩を放っていた。

私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(2) 「555(ファイズ)」~「ヒビキ」
私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(3) 「カブト」~「キバ」

[筆者の紹介]
斉藤守彦

1961年生れ。静岡県浜松市出身。
映画業界紙記者、編集長の経験の後、映画ジャーナリスト、アナリストとして独立。「INVITATION」誌で「映画経済スタジアム」を連載するほか、多数のメディアで執筆。データを基にした映画業界分析に定評がある。「宇宙船」「スターログ日本版」等の雑誌に寄稿するなど、特撮映画は特に得意な分野としている。

"「特殊映像ラボラトリー」 第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(1)" »
clear.gif
animeanime16:03 | (0) | (0)
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 平成仮面ライダー・シリーズとの9年間 ]
clear.gif

斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」
 
第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(2)
「555(ファイズ)」~「ヒビキ」

斉藤守彦

☆哀しみを繰り返し、僕らはどこへ行くのだろう…
「仮面ライダー555(ファイズ)」

【DATA】
●オンエア期間=2003年1月26日〜2004年1月18日。全50話
●最高視聴率=11.6% 2003年5月25日(第18話)
●映画=「劇場版 仮面ライダー555(ファイズ)/パラダイス・ロスト」2003年8月16日公開。興行収入15億円

【6years after impression】
●派手なライダー・バトルを展開した「龍騎」の後番組であることからか、地味な印象を残すシリーズだが、その内容は再評価に値する。半田健人、泉政行ら若手俳優たちを丁寧に演出した、田崎竜太監督の手腕が際だっている。現時点において田崎監督が第1話と最終話の両方を手がけているのはこの「ファイズ」のみ。
●劇場版を含めて多面的なビジネス戦略を展開した「龍騎」は、いわば“外側に対するアプローチ”であるのに対して、「ファイズ」は作品そのもののクォリティを高めるという、“内側に対するアプローチ”を行い、成果を上げたシリーズではないだろうか。劇場版製作発表時における、白倉プロデューサーの「TVシリーズの延長ではなく、1本の映画として面白い作品にする」とのコメントが、このシリーズが目指すものを明確に位置づけており、その劇場版「パラダイス・ロスト」は、現在に至るまで劇場版平成ライダー・シリーズ最高の興行収入をあげていることから、その試みは成功したと言って良いだろう。
●とはいえ龍騎以上に奇抜なデザインのファイズに加え、「ロード・オブ・ザ・リング」ならぬ「ロード・オブ・ザ・ベルト」とも言うべき、複数のベルトが複数のライダーを生む面白さ。さらに携帯電話をモチーフにした変身アイテム、主人公・巧の正体がオルフェノクという驚愕の設定、ヒロイン・真理の死など、例によってサービス満点の内容。あまりにも盛りだくさんすぎて、状況を整理して見ないと混乱を来したほどだ。
●啓太郎が、メル友だった結花の正体がオルフェノクと知ってもなお彼女を受け入れ、晴れてファーストデートを果たした当日、ロブスターオルフェノクに襲撃され絶命寸前の結花が最後のメールを啓太郎に打つシーンは、平成ライダー史上最も感動的なシーンのひとつ(第44話/石田秀範監督)。筆者はこのエピソードを録画で見て涙し、巻き戻して再び鑑賞し再びさめざめと泣き、その足でクレインオルフェノクのソフビ人形を買いに行き、TVの隣に飾ったのであった…。

☆心に剣、輝く勇気。
「仮面ライダー剣(ブレイド)」

【DATA】
●オンエア期間=2004年1月25日〜2005年1月23日。全49話
●最高視聴率=10.0% 2004年1月25日(第1話)、2月1日(第2話)
●映画=「劇場版 仮面ライダー剣(ブレイド)/MISSING ACE」2004年9月11日公開。興行収入9.2億円

【5years after impression】
●さすがにこのあたりになると、いささか飽きがきた。というのも、「仮面ライダー剣」が、その名の通り剣を武器にしたライダーであり、昭和時代からの伝統たるライダーキックを決め技の座から引きずり下ろしてしまうのではないか、との危惧があったからだ。さらにトランプの意匠やルールを模した設定にデザイン、まだイケメン・ヒーローかいっ!とツッコミを入れたくなる、長髪でモデルっぽい兄ちゃん中心の演技陣。「クウガ」以降の平成ライダー・シリーズは、大胆なマイナーチェンジや設定変更、時に「こんなのはライダーではない」と言われるほどのリニューアルを行ってきたが、その根底には先人たちへの敬意が感じられ、その上で時代と向き合い、作品的にもビジネス的にも成功を収めようという、健全な野心が感じられた。残念ながら「仮面ライダー剣」の初期話数から、それを感じ取ることは出来なかった。これまでのライダー・シリーズからの“良いとこどり”をしたつもりが、結果的にストーリー、キャラクターを縛る要素が多すぎ、画面を真剣に見つめても、なかなか話が転がっていかないもどかしさ。それ故中途からは、筆者も録画したエピソードを、漠然と流し見する視聴姿勢になってしまった。
●むしろTVシリーズよりも、劇場版として製作された「MISSING ACE」に、注目すべきものがあった。全ての平成ライダー・シリーズに参加し、とりわけ「仮面ライダークウガ」における大胆なビジュアルメイク、時にシリアス、時にギャグとバリエーション豊かな演出技で注目していた、石田秀範監督が映画デヴューを果たしたのだ。その「MISSING ACE」は、いわば石田演出の集大成にしてカタログ。これぞ大泉のやんちゃ監督の面目躍如。しかし、興行収入は平成ライダー・シリーズで初めて10億円の大台を切り、また視聴率も第1,2話以外は、すべてひとケタに終始した。

☆少年よ 旅立つのなら、晴れた日に胸を張って
「仮面ライダーヒビキ」

【DATA】
●オンエア期間=2005年1月30日〜2006年1月22日。全48話
●最高視聴率=10.7% 2006年1月22日(第48話「明日なる夢」)
●映画=「劇場版 仮面ライダーヒビキと七人の戦鬼」2005年9月3日公開。興行収入11億円

【4years after impression】
●「仮面ライダークウガ」以来の高寺成紀プロデュース作品とあれば、否が応でも期待は高まる。鬼をモチーフにしたライダー、太鼓などの楽器から発する音撃で敵を退治、ディスクアニマル、主演は30代の細川茂樹…等々。「仮面ライダー剣」が、これまでの平成ライダーの成功要素を終結したのに対して、「ヒビキ」は新機軸たる要素を多数打ち出し、これまでのライダーとは一線を画す存在感を最初から見せつけた。
●特筆すべきは、「仮面ライダーヒビキ」というシリーズが持つ“視点”だ。29話までのエピソードにおいて、ストーリーを語る視点は、常に明日夢少年のそれである。高校受験を控えた、おそらく人生で最もヴィヴィットで感受性に富んだ時期に日常生活で起こる、様々な“事件”。過ぎてしまえば笑い話になるようなことばかりだが、その時は人生を揺るがすような出来事に感じるものだ。そんな時に出会った、ヒビキという不思議な男と、彼が「人助け」と称して行っている仕事を見ることで、少年は徐々に変化を見せていく。つまりTVシリーズの中で語られるエピソードは、高校受験についての悩みだとか、クラブで自分の望むポジションにつけない等のジレンマが、人類を襲う魔化網との戦いと同列に語られるのである。「僕、安達明日夢は…」で始まる冒頭のナレーションは、その時々の明日夢の心情、ものの考え方や心境の変化が語られていて秀逸。
●第1話「響く鬼」からして、冒頭からミュージカル仕立て!!石田監督のやんちゃぶりが炸裂した演出には、拍手を送った。じっくりと練り込まれた設定を、少しずつ明らかにしていく手法は、明日夢の視点を視聴者が共有する効果を上げ、新しいキャラクターが登場するたびに、新鮮な驚きがあった。
●しかし「クウガ」同様、今回も「おやっさん」は記号的存在で、下條アトムの飄々とした演技からは、かつて鬼であった、その風格もちらちらとうかがえるのだが、さすがに彼が変身して魔化網と戦う描写はなかった。
●神戸みゆきの早すぎる死には、今さらながら言葉もない。彼女が演じる日菜佳とトドロキのやりとりは、「ヒビキ」の中で最も楽しく、心温まるシーンであった。合掌。
●30話以降のエピソードについては、語りたくない。語るに値しないのではなく、語るべき言葉を持たないのだ。制作会社の1プロデューサーが交代することで、ここまで作風が変わったシリーズも珍しい。

私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(1) 「クウガ」~「龍騎」
私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(3) 「カブト」~「キバ」

"「特殊映像ラボラトリー」 第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(2)" »
clear.gif
animeanime16:02 | (0) | (0)
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 平成仮面ライダー・シリーズとの9年間 ]
clear.gif

斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」
 
第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(3)
「カブト」~「キバ」

斉藤守彦

☆天の道を行き、総べてを司る男。
「仮面ライダーカブト」

【DATA】
●オンエア期間=2006年1月29日〜2007年1月21日。全49話
●最高視聴率=10.9% 2006年1月29日(第1話)
●映画=「劇場版 仮面ライダーカブト/GOD SPEED LOVE」」2006年8月5日公開。興行収入9.5億円

【3years after impression】
●渋谷に落下した大隕石が惨劇を巻き起こし、同時にワームと呼ばれる宇宙生命体による浸食が開始された。人類は秘密組織ZECTを結成し、マスクドライダーシステムを開発。ワームに対抗する…従来のライダー・シリーズにはないハードSF的設定と奥行きのある世界観が感じられ、冒頭から大いに期待を募らせたが、残念ながらその期待は裏切られた。
●主役である天道総司が、「クウガ」〜「龍騎」「ヒビキ」の、いわゆるいいヤツ系とは一線を画する存在で、プチ傲慢な自信家であるあたりは新鮮なのだが、肝心のストーリーが当初の設定をさておいて、コメディ・タッチの料理バトルばかりに終始するあたりはいただけない。複数のライダーが登場することも、もはやパターンとなり、装着者の変更などには驚かなくなってきているのは、我々視聴者がスレてきたのか。
●それでも中盤からは、ワームやマスクドライダーシステムの誕生の謎を解明するエピソードがオンエアされ、意図した世界観が描かれるかと思えば、ライダーシステムに脱落したふたりの男を「地獄兄弟」として復活させたり、再びコメディ・タッチのエピソードが続いたり、これまた「剣」同様に、複数の要素をストーリーの中で消化仕切れなかったきらいが残る。
●「おばあちゃんが言っていた。手の込んだ料理ほど、まずい」(天道)。

☆いーじゃん、いーじゃん! すげーじゃん!!
「仮面ライダー電王」

【DATA】
●オンエア期間=2007年1月28日〜2008年1月20日。全49話
●最高視聴率=9.4% 2007年3月11日(第7話)
●映画=「劇場版 仮面ライダー電王/俺、誕生!」2007年8月4日公開。興行収入13.8億円、「劇場版 仮面ライダー電王&キバ/クライマックス刑事」2008年4月12日公開。興行収入7億3500万円、「劇場版  さらば仮面ライダー電王/ファイナル・カウントダウン」2008年10月4日公開。興行収入7億2000万円

【2years after impression】
●ついに視聴率10%を超えることなく終了したシリーズだが、それとは対照的に、ビジネス的には大成功を収めたシリーズである。電車をフィーチャーすることで、本来ライダー・シリーズのメインユーザーであった幼児層の人気を掴み、関連玩具の売上はすべてのライダー・シリーズを通してトップクラスと言われている。またTVシリーズ・オンエア時に公開された映画版も、久しぶりに興収10億円台を回復。さらに本来OVとして制作したものを中規模マーケットで劇場公開したところヒット。さらにもう1本制作・公開されるというおまけがついた。
●この成功の方程式は、「龍騎」のそれを基盤としているように思う。つまり、俳優の演技とスーツアクターの演技が違和感なくマッチし、ひとりのキャラクター像を確立する。「電王」では良太郎(佐藤健)に複数のイマジンが憑依するが、イマジンによって良太郎の表情や言動が変化するあたりを、佐藤がさながらカメレオンのような絶妙な演技で答え、加えてイマジンの声に人気声優を起用することで、幅広い層の人気に繋がった。
●「俺、参上!」「僕に釣られてみる?」「俺の強さにお前が泣いた」「答えは聞いてない!」など、小林靖子によるシナリオからは、キャラクターを強烈に印象づける決めゼリフが続々と誕生。これまた子供たちの人気を集めたのみならず、20代女性層のイマジン・ファン(その中心は、いわゆる“腐”の方々だそうだ)の大量発生にも寄与した。筆者は「電王」オンエア時、銀座のレストランで「でねぇ、リュウタロスがいいんだなあ…」「ねー」との会話を耳にした経験がある。発言の主は、OLとおぼしき妙齢の女性たちであった。
●白鳥百合子!!彼女演じるハナの、プチ・バイオレンスな振る舞いに、「俺もモモタロスになって、彼女のあの足で蹴られたい」というM志向の男が増殖。筆者は彼らを「ハナマゾ」と呼んで敬遠したが、まあ気持ちは分からないわけでもない。痛いだろうが。美人で強気、グラマーで美脚。ハナのイメージは、彼女を演じる白鳥百合子とリンクしているように見えたが、実際はそうではなかったようだ。かえすがえすも途中降板が悔やまれる。
●「電王」のビジネス的成功は「龍騎」を基盤としているというのが筆者の見解だが、同時に「電王」のストーリー・パターンもまた、様々な意味で「龍騎」を踏襲しているように見える。時の列車で旅をするという設定そのものが時間SF的な世界観であり、それらをあますところなく映像化するのはなかなか難しい。いきおいセリフによる説明が多くなってしまうが、そのことが明るいストーリーラインを志向する姿勢と矛盾してしまう。例えば「特異点」という言葉の解釈は言語では可能だが、それをストーリーの中で説明し、視聴者を納得させるのは至難が伴う。そして「龍騎」にも見られた、変身と同時に思考停止。アクションの爽快感に身をまかせるというパターンは、キャラクターの個性が確立した分、「龍騎」以上に強まったと言えないだろうか。本来「電王」の世界は、映像よりもむしろ活字に向いているのではないか?とさえ思ってしまう。

☆「その命、神に返しなさい!」
「仮面ライダーキバ」

【DATA】
●オンエア期間=2008年1月27日〜2009年1月18日。全48話
●最高視聴率=7.7% 2008年3月16日(第8話)
●映画=「劇場版 仮面ライダー電王&キバ/クライマックス刑事」2008年4月12日公開。興行収入7億3500万円、「劇場版  仮面ライダーキバ/魔界城の王」2008年8月9日公開。興行収入9億円

【1years after impression】
●白倉プロデューサーから武部プロデューサーにバトンタッチ。「電王」が子供たちに受けたことを踏襲してか、「キバって行くぜ!」などの決めゼリフ、キバットIII世、タツロット、キャッスルドラン等のキャラクターに、流行と玩具化を意識した節が見られる。しかしストーリーのモチーフは吸血鬼伝説で、父と息子、ふたりのライダー、ふたつの時代を並行して描写するという野心的な試みが行われた。しかしながら、この試みは成功したとは言い難い。
●キャラクター的には、バリバリの二枚目と思いきや、「753」のTシャツを着用して、突如弾けまくった名護の存在が筆者的にはツボ。その「753」Tシャツの視聴者プレゼントの際、加藤慶祐が名護になり切ってイクサの変身ポーズに「住所、氏名、年齢、職業」とフレーズを当てはめ、「これを着て、私の弟子になりなさーい!!」と、いつもの名護の押しつけがましさで告知したあたりは爆笑ものであった。

 さて、「仮面ライダーディケイド」は、いかなるライダーを見せてくれるだろうか?
 (文中の映画興収は、同時上映作品も含む番組興収/視聴率はビデオリサーチ調べ)

私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(1) 「クウガ」~「龍騎」
私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(2) 「555(ファイズ)」~「ヒビキ」

"「特殊映像ラボラトリー」 第4回 私論:平成仮面ライダー・シリーズとの9年間(3)" »
clear.gif
animeanime16:01 | (0) | (0)