ICV2は、2月23日に開催されたグラフィックノベル・コンファレンスの主催でもあり、アニメ・マンガ・コミックなどサブカルチャー分野の業界情報企業である。 今回、グラフィックノベル初の業界イベントして開催されたグラフィックノベル・コンファレンスは、このICV2の発行人ミルトン・グリップ氏の業界レポート『グラフィックノベルの成長性と多様性』から始まった。 講演の前半は、そもそもグラフィックノベルと何なのかといった定義、さらに1930代から1960年代の前段階から今日に至るグラフックノベルの歴史が中心になった。 同氏によれば、グラフィックノベルの誕生は1977年にグラフィクストーリーマガジンで使われたのが最初で、日本のマンガは1980年代の『はだしのゲン』が最も早い例だという。 しかし、この講演のなかでやはり一番関心が高いのは、ICV2が得意とする市場調査にあるだろう。特に今回は、2005年を通じたグラフィックノベルの市場の総括を中心に、同社のウェッブサイトや発行する雑誌の掲載されている情報以外にも幾つか情報が提供されている。 グリップ氏によれば、2005年のグラフィクノベルの市場は2004年比で18%成長、市場規模は2億4500万ドル(約290億円)に達している。2001年には、7500万ドルの市場に過ぎなかったので、4年間で3倍以上の市場に成長したことになる。 このうち1億4500万ドル(約170億円)が日本のマンガになる。マンガは、グラフィックノベル市場の6割を占めており、マンガ抜きでこの市場を語ることは出来なくなっている。 さらにグラフィックノベル市場で特徴的なのは、こうした成長が伝統的なコミック専門店でなく、一般書店での売上げに支えられていることである。2005年のコミック専門店での売上高は7800万ドルに対して、一般書店ほかの売上げは1億6700万ドルと倍以上になっている。 2001年には、コミック専門店の売上げが4300万ドルで一般書店ほかの3200万ドルを上回っていた。グラフィックノベルの成長の牽引力がマンガであり、また従来とは異なる小売流通にその成功の秘密があるといえるだろう。 こうした数字のなかで驚かされたのは、グラフィックノベルの市場と伝統的なコミック市場との大きさの比較である。グラフィックノベルの市場規模は、2005年にはコミックとグラフィックノベルを合わせた市場全体の48%に達しているという。 つまり、コミックとグラフィックノベルの市場は既に同じ規模まで成長している。このまま成長が続けば、2006年にはコミック市場を規模で追い抜くことになる。 さらに、先に述べたようにマンガはグラフィックノベル市場全体の6割を占めている。これらの数字を合わせると、北米のコミック市場の1/3近くが既にマンガである。 北米における日本マンガの市場は絶対金額では日本の1/20であるし、アメリカの出版界全体では1%程度のシェアしかない。ビジネス的に見れば、まだまだ非常に小さな市場である。 しかし、コミックという特定市場のなかでは、既にその影響力の大きさは無視出来ない存在である。既にマンガは、アメリカ文化のなかに根づいているといっても間違いないだろう。 これから重要なのは、早くも成長にやや翳りの見えてきたとも指摘されるマンガが、これからも成長を続けるのか、そして、長い間サブカルチャーの存在だったコミックの壁を破りメインカルチャーに近づけるかだ。 もし可能性があるとすれば、やはり高い成長を続ける一般書店での売上げとダイレクトマーケティングの今後にかかっているに違いない。/ICV2 /ICV2グラフィックノベル・コンファレンス
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