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文; 氷川竜介(アニメ評論家) テレビシリーズ11話、劇場版1本と長尺を積み重ねてきた『東のエデン』も、ひとまずこの劇場版の後編で完結となった。「日本を救うために百億円を与えられたらどう使うか?」というセレソンゲームは、滝沢朗と森美咲の帰国により、一挙に最終段階へと向かう。「滝沢は王様になれるのか」という未来と「滝沢とは何者だったのか」という過去が対置される中で、さまざまな人びとがうごめくことで、ゲームの勝敗の行方と黒幕があぶり出されていく。 実際に「今回でお別れか、寂しいな」という想いが去来したのは、自分でも意外だった。それは、登場人物それぞれの活躍を通じてにじみ出る魅力に触発されたものだ。実にユニークなバックグラウンドをもち、個性豊かな人物像は、生身をもたないアニメキャラクターなら当然ではある。だが、終局にあたる後編では、そうしたテクニック論を越えた「いのち」がキャラに宿ったように感じられる瞬間が何カ所かで訪れた。その頂点にあたるのが、咲がクライマックスで滝沢に対してとる行動である。そこに確実に存在する感情の高揚を心の共鳴として感じとれるかどうかで、本作の評価は大きく分かれるはずだ。 さて、エンディングで主題歌が流れても、絶対に席を立ってはいけない。エピローグがついているからだ。そこでさらに広げた風呂敷がひとつ畳まれるが、最後のそのまた最後で筆者は「何だって?」と耳を疑い、激しく動揺したのであった。直後に神山監督の取材があったので、速攻で真意を尋ねたが、当然のように笑みしか戻ってこない。予想どおりの反応だ。だが、神山監督の映画に意味のない言葉や映像はあろうはずがない。 『東のエデン』 公式サイト http://juiz.jp/ 続きを読む "映画評 『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』" » |
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文;氷川竜介(アニメ評論家) アニメ版『時をかける少女』(2006年/細田守監督)で力いっぱい突っ走る主人公を好演した仲里依紗――彼女を主役に同じ原作を実写化するという、ある種のアクロバティックさを感じさせる企画である。 「よりによって1974年へタイム・リープか」というのが、現実世界の1974年では高校生だった筆者がまず思ったことだ。具体的な時制が示されたことが驚きであった。記憶の中では、この時代にはきわめて大きな節目が刻み込まれている。1973年10月の第四次中東戦争を受けて原油価格が高騰し、いわゆる「オイルショック」が起きる。太平洋戦争敗戦から復興して四半世紀余り、日本の高度経済成長も限界をむかえ、公害などの歪みを生んでいた。劇中の1974年2月ごろは、繁栄から暗転した世相が決定的になってたころだ。SF作家・小松左京の書いた「日本沈没」がベストセラーとなり、73年末に公開された同題の特撮映画が大ヒット。同時期にノンフィクションの体裁で刊行された「ノストラダムスの大予言」とあわせ、一挙に「終末ブーム」が加速していた時期でもある。 筒井康隆のSF小説『時をかける少女』を原作に、時代ごとのクリエイターたちが思春期への思い入れたっぷりに映像リメイクを繰り替えしてきた。そのあまりの反復ぶりは、この作品自体に「時をかけるパワー」が宿っていることを暗示してきた。数あるSF作品の中でも本作独特のメタなパワーは、谷口正晃監督版の「具体的な時制を示し、現実世界と時かけ世界を橋渡しする」という仕掛けを得て決定的になり、次なるステージに移行し始めたように感じられる。 『時をかける少女』公式サイト http://tokikake.jp/ 続きを読む "映画評 『時をかける少女』" » |
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文;氷川竜介(アニメ評論家) 『ペイル・コクーン』で映像感覚が高く評価された吉浦康裕監督による初の長編映画である。連作短編『イヴの時間』(6話分)を1本にまとめたオムニバス的構成だが、単なる総集編ではなく、すべてHD画質で再レンダリングされた上で音響ふくめ、すべて劇場の集中できる環境にチューンナップ。さらにあっと驚く新作カットが随所に追加されている。一連の流れができて各話の関連も見えやすくなったため、一度観たはずのエピソードも「あれ、そういうこと?」と新たな興味をそそる部分が発見できる。そんな嬉しい仕掛けが満載の映画だ。 インディーズ作品では「映像クオリティ」や「作家性」を研ぎ澄ます方向性をとることが多い。吉浦監督の前作『ペイル・コクーン』もそうだった。しかし今回は「シチュエーション・コメディ」を目ざしたという。人気テレビドラマのように、ひとつ固定した「舞台」を用意し、そこに出入りするキャラクターに会話中心のドラマを紡がせることで、観客を引きこんでいくわけだ。「原作、脚本、絵コンテ、演出、3DCG、撮影、編集、音響監督」と監督自身が名を連ねる目的も、その絶妙な会話の呼吸と、映像のカメラワークや照明を密接にリンクさせることにある。 設定やテーマの深いところを悩まずに、すっと作品世界へと引きずりこまれるその巧みな演出手腕は、特にアニメに興味のない観客が抱くかもしれないガードを思わず下げさせる。その様子がまさに作中で問われる「人とロボットの区別」をどうするかの問題に直結している。 『イヴの時間 劇場版』 |
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文;氷川竜介(アニメ評論家) 奇跡のパワーを秘めたアイテムで美少女が変身! ステッキを武器にバトル! 「魔法少女もの」は女玩(女児向け玩具)の販促企画の作品群からスタートし、いつの間にか「大きなお友だち」向けにひとつのジャンルを形成するようになった。本作『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』(原作・脚本:都築真紀/監督:草川啓造)も、そんなジャンル作品がファンに支えられて成長し、ついに劇場版にまで登りつめた映画だ。合計3シリーズが制作されたTVアニメ版「なのは」を表紙にするとアニメ雑誌の部数が確実に伸びるという定説があるほど、堅実で熱い層をつかんでいる。 『なのは』を愛するファンのために、作り手が「良かったところ」を抽出し、新たな見せ場として再構築する。それは当たり前のことだ。そして、一般にクリエイターたちはやや冷静で客観的な立場になって、観客をさらなる高みへとリードしようと試みるはずだ。ところが、この劇場版では映画が進行するにつれ、明らかに作り手の側も『なのは』を溺愛していることが伝わってきて、それに圧倒されてしまうのである。 劇場版として特筆すべきは「音響」だ。なのは役の田村ゆかり、フェイト役の水樹奈々とダブルヒロインの声の明瞭度が増し、戦闘シーンにおけるギミックの作動音、爆発や着弾などの迫力向上は言うまでもない。一番の注目ポイントは、バトルを支える魔導端末レイジングハートのクールビューティなボイスだ。設定的には小道具の無機質な応答音声なのだが、なのはにネイティブな英語でチュートリアルを指示し、ともに戦って苦難を乗りこえていく、そのパートナーシップのけなげさには、思わず涙なのである。 『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』 |
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文: 柿崎俊道 2010年1月23日公開の劇場版『Fate/stay night UMLIMITED BLADE WORKS』の試写会へ行った。 原作の『Fate/stay night』はゲームであるがゆえに、 本作はテレビシリーズと対になるように構成された作品だ。 これは、作品を否定しているのではない。 本作はアダルトゲームが原作と前述したが、 劇場版『Fate/stay night UMLIMITED BLADE WORKS』も同じだ。 ただ、個人的に気になることがある。 劇場版『Fate/stay night UMLIMITED BLADE WORKS』 ◆柿崎俊道 (かきざきしゅんどう) |
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文: 柿崎俊道 同名カードゲームとともに子どもたちに人気の『遊☆戯☆王』が ……と思ったのだが、 問題は主人公たちである。 ●セル画調のキャラクターには、動画、仕上げにより、 ●手描きで施された立体感の上に、 ●そのおかげで双方の立体感がぶつかり合い、 押井守監督の映画『アヴァロン』のような書き割り感といえば、 本作はセル画調アニメの3D立体映像化という果敢な挑戦に臨んだ。 アニメは残像を利用したメディアである。 映画『劇場版 遊☆戯☆王 ~超融合!時空を越えた絆~』 ◆柿崎俊道 (かきざきしゅんどう) |
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文:荒川直人(映画ライター) 世界的なアニメの演出家として知られる押井守監督が8年ぶりに手がけた長編実写映画『アサルトガールズ』は、『アヴァロン』(01)の設定を踏襲して新たなゲームフィールドに戦いを挑んだ4人のプレイヤーの物語である。 『アヴァロン』では「すべての映画はアニメになる」と謳い、日本映画の枠を超えたデジタル映像の斬新さや、ポーランドで撮影してもなお強固な押井ワールドの世界観などが話題になったが、当時はまだオンラインゲームの認知度が低く、大半の観客にはどこか実感の乏しい題材でもあった。 そもそも二時間弱という映画のフォーマットで描ける情報量は少なく、監督もかつて「ドラマ(キャラクター)を描くか、世界観を描くかの二者択一」と発言し、自身は積極的に「世界観」を選択する演出家だった。ところが、本作では「キャラクター」にカメラが向く。しかも主要な登場人物が三人の女優だなんて、まさかあの押井守が「萌え」に走るとはいったい誰が予想したであろう。趣味嗜好の違いはあるにせよ、『アサルトガールズ』とはそんな愉快な顔を内包する一作なのだ。 ただ、キャラクターの内面に迫るドラマはほとんどなく、アクションも総量としてはあまり多くないため、過剰に期待しすぎても肩透かしに遭うだろう。本編が70分しかないのに相変わらずのダレ場はきっちり用意されているので、いつも通りの心構えは必要だ。 『アサルトガールズ』 http://assault-girls.nifty.com/ ◆荒川直人 「荒川直人の週末シネマ」 http://ameblo.jp/nippon1939/ 続きを読む "映画評 『アサルトガールズ』" » |
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文;氷川竜介(アニメ評論家) 1年前には、こんな年になるとはまるで予想がつかなかった。だからアニメは面白い。2009年はSF・ロボットキャラの総決算年として、後世に記録されるはずだ。鉄腕アトム、マジンガーZ、マクロス、ボトムズ、エヴァンゲリオンとリメイク・続編がズラリ。鉄人28号、ガンダムも実寸大立像で参戦し、特撮世界からはウルトラマンと仮面ライダーが攻勢をかける。これにグレンラガン、エウレカセブンという21世紀作品の劇場版も加わった象徴的な年を、アニメ拡大の始まりであった宇宙戦艦ヤマトが復活して締めくくるというのは、あまりにも出来すぎだ。 その文脈で『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の意義を考えると、役割は「変わらぬものの存在を示すこと」にあると言い切れる。攻防を繰りかえす激しい戦闘映像やヤマト発進シーンなど気分を盛りあげる音楽主体の演出、「決断力」が試される危機突破、あっと驚く敵側の逆転の仕掛けなど、映画の視聴覚的なエンターテインメントを追求した姿勢は、まさにホンモノ健在の風格を見せつける。映画興行に必要なスペクタクルのハッタリ感を情緒的に見せつけるという点では、近年まれで貴重な映像世界がそこに現出している。 そもそも35年前、テレビシリーズ最初の『宇宙戦艦ヤマト』に反応した筆者らファンたちは、どこの誰かに頼まれたわけでもないのに声をかけあい、集い、ムーブメントを興していった。感想を語り合い、資料を保全しようと努力を重ねた。まだアニメ雑誌は創刊されておらず、街にコンビニエンスストアはなく、ネットも携帯電話もない時代、今から考えればお笑いぐさの文通などアナクロな手段を使い、どうなるか結果は分からないが、何かをしようと決断し、行動を起こしたのだ。そうでなければ自分の気に入った作品も時の中で忘れられ、大事なものが滅びそうな気がしたから……。動機はそれだけで、金銭も名誉も眼中になかった。それを保証するアニメマスコミ自体がないのだから、当然だ。 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』 http://yamato2009.jp/ 続きを読む "映画評 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』" » |
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「秩序ある興奮」がもたらす、爽快な大活劇 文;斉藤 守彦 去年の年末、筆者の連載「特殊映像ラボラトリー」で、2008年のアニメ・特撮映画の総決算を試みたが、その際2008年春に公開された「ワンピース/エピソード・オブ・チョッパー+冬に咲く、奇跡の桜」を評して「この映画の興行収入は9億円だが、この9億円には値打ちがある」と書いた。つまり、シリーズを重ねていくことで、今後伸びる可能性を含んでいる、さらなるブレイクが予測される。そのことを示唆したかったのである。 前作「エピソード・オブ・チョッパー…」は、その感動的な内容が注目を集めた。試写で見て、あまりにも泣ける話なので、再度シネコンで見た。すると場内には20代とおぼしき女性たちの姿が多く、上映前は「ルフィがねえ・・」「ゾロがいいのよお!」とか話していた彼女たちが、映画終了後、さめざめと泣いている。 アニメ映画版「ワンピース」を見ていると、映画を構成する3つの要素・・「ストーリー」「キャラクター」「世界観」が、原作のレベルで既にしっかりと構築されており、それらを映画としてどう表現するか。つまり作家性というか、監督の手腕や力量がはっきりと出る。ストーリーそのものは、ルフィと仲間たちが未知の島を訪れ、そこで敵と対決するというパターンが確立されていることから、演出としてはそのプロセスやシチュエーション、ディテイルをいかに見せて行き、最終的に観客の感情をどこに導くかが重要になってくる。この機会にシリーズの旧作を見直してみたが、中にはルフィたちと敵との対決の描写に力を入れるあまり、「ゴムゴムのー!!」「おのれぇぇぇ!!」の繰り返し。ハイテンションではあるけれど、バタバタしたシーンの連続になってしまい、見た後とんでもない疲労感に襲われる作品や、明らかにこの描写はやりすぎだろう。世界観に反するのでは?・・・と感じられる作品もあった。 その点新作「STRONG WORLD」は、原作者自ら陣頭指揮をとったこともあり、ストーリーこそいつものパターンなれど、その語り口はきわめて丁寧。「興奮」を与えるために、アクション・シーンばかりをたたみ掛け、観客をどっと疲れさせるようなことをしない。変な言葉だが「秩序ある興奮」を呼び覚ますことに成功しているのだ。ストーリーをきっちりと語り、ひとりひとりのキャラクターに対して、ちゃんと見せ場を与える。もちろんワキを固める多彩なアニマル・キャラや敵キャラも原作者の構築した世界観に、しっかり乗っ取っていることは言うまでもない。 『ONE PIECE FILM Strong World』 http://www.onepiece-movie.com/ 続きを読む "『ONE PIECE FILM Strong World』 批評" » |
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文;氷川竜介 (アニメ評論家) 『攻殻機動隊S.A.C』、『精霊の守り人』と神山健治監督の送り出すアニメ作品に覚える好感度の所在——それが最近の監督の取材記事を読んで、ようやく腑におちた。「決してあきらめないこと」なのだ。神山監督自身、演出家になるため、またオリジナルのアニメ作品を世に送り出すため、断じてあきらめようとはしなかった。その成果としてTVシリーズ全11話と、その続編として公開される劇場版(全2部作)がある。当然、劇場パート1「The King of Eden」もまた、「あきらめない人たち」の物語なのである。 百億円とは、現代社会において実現可能な「魔法」のことだろう。ノブレス携帯の役割は「魔法のステッキ」で、ジュイスは魔法少女を導く「魔法の国の使者(ペット)」なのだ。そう考えると、描写が深められるセレソンたち(新登場あり)と各々チューンされたジュイスとの関係性が劇場版の大きなみどころになるのは自明と言えよう。 『東のエデン 劇場版Ⅰ The King of Eden』 http://juiz.jp/blog/ 続きを読む "映画評 『東のエデン 劇場版 The King of Eden』" » |
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文;氷川竜介 (アニメ評論家) 私がこよなく愛する映画の1本に片渕須直の初監督作品『アリーテ姫』がある。一見してファンタジーの枠組みにあるような設定や道具立てを用意しながら、想像力豊かな少女の前にすべては相対化され、作りこまれたディテールから驚くべき世の実相が浮き彫りになる。それと同種の驚きと、生きることへの勇気を与えてくれる片渕監督最新作が『マイマイ新子と千年の魔法』である。 高度経済成長期にこれから入ろうとする直前、生活はまだ質素だったが、その分、人と人の関わりあいは濃密だった。ならばこれは人情優先のノスタルジー映画なのか。あるいはロケハンできれいな情景をすくい上げた疑似観光映画なのか。それも違う。50年前と千年前、どちらも過去に間違いはない。ではもう今は消えてなくなってしまったのか。自分とは関係はないのか。そんなことはない。千年前も50年前も等しく発掘を行うシーンが、それを裏付けている。 『マイマイ新子と千年の魔法』 http://www.mai-mai.jp/index.html 続きを読む "映画評 『マイマイ新子と千年の魔法』" » |
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『幻魔大戦』Blu-ray Disc化記念 文:氷川竜介(アニメ評論家) "FORS"の高品位でクリアな映像と音声
■ 『幻魔大戦』りんたろう監督インタビュー
価格:各5200円(税抜)各5460円(税込) |
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『幻魔大戦』Blu-ray Disc化記念 『幻魔大戦』りんたろう監督インタビュー 文: 氷川竜介(アニメ評論家) 僕が長編に入ったきっかけは『銀河鉄道999』(79)でしたが、自分の中で「今後こういうスタイルで作っていけるかな」と長編に腰を落ち着ける方向性を見つけたのは、『幻魔大戦』なんです。原作は角川文庫から出ていた平井和正さんの小説ですし、角川映画初のアニメーション映画ですから、それが一般の映画ファンにも認められるかどうか、角川春樹さんともども勝負に出たい。そんな想いで作った作品です。
音楽に関しては、鼓童の和太鼓は最初から使うつもりでしたが、全体は『銀河鉄道999』の青木望さんの音楽で行こうと思ってたんです。角川春樹さんは僕と同じで映画にどう音楽をつけるか、ものすごく興味のある人で、周りにはものすごくキレるブレーンもそろってましたから、そういう人たちとワイワイやってくうちに「キース・エマーソンはどうだ?」という話が突然出たんです。僕も大好きなミュージシャンですが、これまでにない発想に驚きましたね。 その間、僕はスタジオに画素材を持ってきてもらって、そこでチェックしてましたね。彼もアニメーションは初めてで熱心でしたし、やはりプロとしてものすごい柔軟性をみせるんです。仕上がってきたときに「もう少しここをこうしたら」と言うと応えてくれるし、「終わった!」と言いつつ、すぐまたやり直したり。「この音が足りない!」って分かると、どこからか音源を仕入れてきてまたそれを重ねるとか。ほとんど24時間働きっぱなしでした。「これが好きなんだよ」って言ってましたし、あんなに働いたミュージシャンは初めてで、面白い仕事ができましたね。
■ 『よなよなペンギン』りんたろう監督インタビュー |
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『幻魔大戦』Blu-ray Disc化記念 『よなよなペンギン』りんたろう監督インタビュー 文: 氷川竜介(アニメ評論家)
コンピュータだと、キャラクターがどんなに面白く動いても、どこかに冷たさが漂ってる気がして、それが気になってました。絵でいえばクレバスで描いたような、温かみのある手塗りみたいなものが欲しかったんです。だから美術も大変になったし、洋服の質感にしても、本当にスタッフは大変だったと思います。
『よなよなペンギン』が子ども向けを意識したかどうか、自分の中ではよく分かりません。たとえ子ども向けに見えたとしても、どこかひそかに大人へ向けて作ってるところはあります。作品の中には、今の社会状況を反映したものがいっさい入ってませんし、時代のアクチュアリティーは、まったくありません。ただ、今の子どもたちにダブらせた部分はあります。子どもにとってのこの時代は世界中が息苦しくて、酸欠状態だと思うんです。そういう時代にも、子どもたちの中には心の可愛らしさみたいなものが本来あるはずだから、そこに触れればと。それを感じとってくれればなと思います。 《りんたろう監督からのメッセージ》 『幻魔大戦』 『よなよなペンギン』 (一部敬称略/2009年10月25日 秋葉原UDXシアターにて) 『よなよなペンギン』 http://yonapen.jp/index.html |
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注目すべきプロモーションアニメの新トレンド 文:氷川竜介(アニメ評論家) アニメは何もTVや劇場映画だけではない。意外なところに要注目のハイクオリティアニメが存在していて、にもわらず肝心のアニメファンに知られていないケースもある。ここではその一例としてニンテンドーDS用ゲーム『無限航路』(製作:セガ/2009年6月11日発売予定)のプロモーション用短編アニメーション『無限航路 Animated short film』を紹介してみたい。 アニメーション制作を担当するプロダクションは、GONZOとProduction I.G。アニメファンなら知らない人はいないほどの超有名ブランドである。そして監督は、ソエジマヤスフミ。デジタル系のディレクターでは非常に著名で、NHKで放送されたオムニバスアニメ『アニ・クリ15』(アニメクリエイター15人を選抜した1分の短編)でも『火男(ヒョットコ)』という斬新な映像で注目された。スタッフとしても、『巌窟王』(デジタルディレクター)、『ケメコデラックス!』(3DCGI)、『リストランテ・パラディーゾ』(アートディレクター)など目に焼きついて離れないような映像を提供、特にキーになる表現を美術的なデジタル技法で印象づけている。 |
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注目すべきプロモーションアニメの新トレンド 文:氷川竜介(アニメ評論家) プロモーションアニメは全4部に分かれ、物語的には「これぞまさしくスペースオペラの王道」とでも言うべき大河SFのイントロダクション部分を描いている。人類が銀河にあまねく拡がったはるかな未来、銀河の辺境惑星で暮らすユーリ少年が抱く宇宙へのあこがれから、この壮大なストーリーは幕をあける。 高クオリティなアニメ映像の余韻の中で、ふと我に返って疑問に思うのは、「なぜこの作品ではアニメがプロモーション手段として選ばれたのか?」ということだ。 このように考えてみれば、プロモーションアニメを手がかりに総合的な世界観をプレイ前にまず脳内にたたきこみ、それを「想像力の触媒」にしつつゲームを楽しむという方法論は、非常に理にかなった遊び方だと思えてくる。もともとアニメもRPGも想像力に訴えかけるメディアだからこそ、その相乗効果にはおおいに期待できるものがある。 興味をもたれた方は、まずネットで公開中のアニメ版からご覧になってはいかがだろうか。そこから思ってもみなかった、壮大な銀河宇宙への旅立ちが始まるかもしれないのだから……。 『無限航路』 公式サイト http://mugen.sega.jp/
【メインスタッフ】 美術監督: 西野隆世(株式会社バンブー) 作曲・ 指揮:天野正道 制作: GONZO / Production I.G 続きを読む "『無限航路』に見るゲームとアニメの相乗効果 (2)" » |
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なんとも奇妙に歪んだ作品、『崖の上のポニョ』を最初に観た感想だ。1時間41分の物語は、映画が本来必要とするフォーマットをことごとく逸脱しているからだ。 最も奇妙なのは物語の中で起こる多くの物事に対して、ほとんど何も説明がされていないことだ。「ポニョはなぜ人間になりたいと思ったのか?」、「ポニョの父フジモトは、なぜ人間を止めたのか? どうやって人間を止めたのか?」、「月はなぜ地球に近づいてきたのか?」、これはほんの一部で数え出したらきりがないほど謎だらけだ。 これは宮崎監督が、物語の語り手として未成熟なわけでない。説明の欠落は、監督がこうしたこと説明する必要をあまり感じてないためである。つまり、監督にとって物語は、普通の意味で完成されている必要はないようだ。 ここで誤解されると困るのは、こうした常識外れの『崖の上のポニョ』が、面白くない作品だと思われることである。映画が映画で在りえるための様々な条件が失われているにも関わらず、『崖の上のポニョ』はむしろとても興味深いし、考えさせることが多い。子供たちにとっては楽しい作品だろう。 映画であれテレビ番組であれ、あるいは小説や絵画、音楽でもいい、それらが名作となりうるのは、他者とは異なる際立った個性が立ち上がって来る時だ。 おそらくそれが、多くの映画ファンが、現在のハリウッドの大作エンタテイメント映画に対する違和感の源にある。そうした作品がエンタテイメントとしての面白さほどは心に残らないのも、ここに理由があるのかもしれない。 例えばディズニーやピクサーのアニメーションは、隙間なく計算し尽された完成度が高い。新作を観るたびにその出来に驚かされる。それはいわば、真円の真珠の魅力である。どこから見ても一様に素晴らしい。 崖の上のポニョ 公式サイト http://www.ghibli.jp/ponyo/ 続きを読む "「崖の上のポニョ」 歪んだ物語が心を捉える" » |
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byミルミル [編注]
驚いたのは、この2時間18分という長丁場で子供たちが飽きないことである。シリアスな展開になる東京タワー前まで、しばしば場内には子供たちの笑い声が響いた。 平和な家庭に突然客が訪れ、てんやわんやになる、という設定は昔からよくある。宇宙人あり、恐竜あり、デジモンあり、平安町の貴族の子供あり。それら珍客の中で際立った印象を残すのが、主人公のクゥの礼儀正しさだ。 不思議なことに、膝をついて挨拶をされると、される側も膝をついて同じく頭を下げる。礼儀正しさは相手からも礼儀正しさを引き出す。 クゥの物語には、世界の存亡にかかわる秘密はなく、戦うべき敵も存在せず、都市が破壊されるようなダイナミックなシーンもない。 映画を観た子供たちにお願いしたい。 最後、新天地やんばるに移ったクゥは、川の中で再び頭を下げる。 ラスト 沖縄のキジムナーとクゥの会話。 河童のクゥと夏休み 著者の紹介 ミルミル ミルミルのオタクな株式投資blog http://blog.livedoor.jp/mujinakko_2009/ 続きを読む "「河童のクゥと夏休み」 何度も何度も涙がこぼれる" » |
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byミルミル 7月14日 ポケモン映画10周年となる「ディアルガVSパルキアVSダークライ」が封切られた。 今回の映画の目玉は、何といってもスクリーンから、ニンテンドーDSのソフトに、「ダークライ」が配信されるということ。どの時点で配信されるのかと思ったら、随時行われていて、上映前でも、上映後でも(理論上は上映中も)受け取り可能であった。 今回のポケモンはスペインを彷彿とさせるアラモスタウンが舞台。そして時空の彼方で戦いを始めたディアルガVSパルキアの影響が影を落とす。 しかしアラモスタウンのダークライは… 今回の映画の主役、ダークライはまさにヒーローだった。 ポケモンは子供向け映画であるので、ストーリー上のルールがある。 ポケモン映画公式サイト「ディアルガVSパルキアVSダークライ」 著者の紹介 ミルミル ミルミルのオタクな株式投資blog http://blog.livedoor.jp/mujinakko_2009/ 続きを読む "ポケモン映画10周年 あまりにもかっこよすぎるダークライ" » |
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押井守監督の新作映画『立喰師列伝』の劇場公開が、4月8日から始まった。公開を喜ぶと同時に、僕は映画『立喰師列伝』の微妙なポジションに少しばかり心配を感じる。この映画を観ない多くの人が、この映画を誤解するかもしれないという不安である。 これまでの押井守監督の作品は、観ることに忍耐を要求し、その忍耐のうえに世界が開けるといったものが少なくない。あるいは、観る者に物を考えることを要求する作品といっても良いだろう。 しかし、『立喰師列伝』にはこれまでの作品と違い、執拗な問いかけが存在しない。作品世界を作り上げている虚構の戦後史といったなかに、現実と非現実の曖昧さや虚と実の違いという押井守のこれまで多く見られたテーマは存在している。 むしろ、作品のなかで印象深いのは、ハンバーガーを次々に注文をして、ハンバーガーチェーンを壊してしまう立喰師の存在の馬鹿馬鹿しさだったり、インド人そっくりの日本人立喰師という存在のあり得なさだったりする。 |
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今年の1月より三鷹の森ジブリ美術館は、3つの新作短編アニメをジブリ美術館限定で公開している。現在公開されているのは、『水グモもんもん』、『やどさがし』、『星をかった日』の3作品である。それぞれの作品は、アニメの質感も、物語のテーマも大きく異なっている。 先日、ジブリ美術館に行った際に、これらの作品の中から『星をかった日』を観ることが出来た。美術館では、一回の入場で一作品しか観覧出来ないのだが、3作品の中で一番ジブリらしい作品ということでこの映画を選んだ。 話は実は判りにくい。田園風景とSF的世界、ファンタジー的な世界が同居している。しかし、そうした物語の世界観は全く説明されない。主人公の少年ノナがなぜ農園で働いているのか、なぜ主人公は本来の住まいである時間局に帰りたくないのか、彼を保護するニーニャとのノナの関係はといったことは全く語られない。 物語の背景は説明されない代わりに、水の流れシーンや田園風景が、丁寧に贅沢に描かれている。一言でまとめれば、満足度も質もとっても高い作品であった。 『星をかった日』 |
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テレビ放映で人気になり劇場展開されるアニメ作品の多くが、これまでのファンに対するサービス精神に溢れている。人気キャラクターの総出演や人気アーティストによる主題歌、あるいは劇場公開に先立つ舞台挨拶などもこれに入れていいかもしれない。 『シャンバラを往く者』は、舞台の大半を主人公たちの本来の世界ではなくパラレルに存在する我々の世界におくことで、テレビシリーズから独立した作品にすることに成功している。ふたつの対立する世界とその狭間で苦悩するエドは全く劇場版のオリジナルである。そして、それこそが今回の映画の魅力のひとつであった。 「錬の錬金術師 シャンバラを往く者」公式サイト |
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『ベルヴィル・ランデブー』を観てきた。『ベルヴィル・ランデブー』は、フランスのアニメーションである。正確に言えばカナダ、ベルギーとの合作なのでフランス語圏のアニメーションといえる。現在、日本で劇場公開中だが話題になることが少ない。しかし、このアニメーションはかなり凄い。 |
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米国の大作アニメーション映画『ポーラエクスプレス』の公開後の興行収入が思わしくなく、早くもその巨額の制作費を回収出来ない可能性が懸念されている。しかし、『ポーラエクスプレス』のオープニング週末の数字は『Mr.インクレディブル』に開けられているとはいえ配収約3060万ドルは決して少なくない。むしろ、大ヒット映画だと言っていい。問題は、製作費約1億6500万ドルと約1億ドルと伝えられている宣伝費にある。この巨額の制作費はかつてないほど顔の動きまでリアルに再現したモーションキャプチャーを始め最新の映像技術に膨大な資金が必要としたといわれている。 最新の技術と巨大過ぎる製作費のアニメーション。過去を振り返ってみると、これと似た構図がある。2001年に日本のゲーム会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)が社運をかけて製作した『ファイナルファンタジー』である。製作費1億3700万ドルのこの映画の興行収入は米国で約3200万ドル、日本国内で9億円であった。結局、製作費を回収出来なかった当時のスクウェアは、約130億円の特別損失をだし、その後、資本力の懸念からソニーグループの傘下に入ることになった。この両者に共通するのは、最新の技術を使ったリアルさの追求であった。つまり、アニメーションでどこまで現実に近づけるかである。確かに驚きはあった。しかし、映画は技術の驚きだけで成り立つわけでない。 『ファイナルファンタジー』が興行的に失敗した時によく言われたのは、本物そっくりなら本物でいいじゃないであった。つまり、人間そっくりならアニメである必要性はない。今回の『ポーラエクスプレス』でいえば、トム・ハンクスそっくりなキャラクターなら、最初からトム・ハンクスの実写映画でいいのでないか。観客が求めているのは本物そっくりのリアルな画像でないはずだ。むしろアニメ的であることのほうが重要でないだろうか。少なくとも両作品とも実写で作って製作費を抑えれば資金的にかなり楽であったはずである。そして、米国の批評サイトを見ると今回の『ポーラエクスプレス』への批判は、皮肉なことにキャラクター造形に集中している。大金をかけて実写には近づけても、実写にはならないのもまた事実である。 結局、アニメーションの作り手が考えなければいけないのは、アニメという手段で何が出来るかである。勿論、表現する手段が違うだけで、映像表現がしなければいけない基本は同じという考え方もある。しかし、アニメを観る側は製作者の思惑通りではない。多くの場合は、実写とは違う何かを、アニメだから出来る違いをそこに求めているはずである。 続きを読む "アニメ映画と実写映画" » |
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10月17日(土)に東京ファンタステック映画祭でプレミア上映された『機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者-』を観た。正直、もの凄く興奮している。予想以上の出来であった。素晴らしいと賛辞を与えるに相応しい作品だ。全てが想像を上回る完成度であった。ラストシーンのシャアとアムロの再会は感動的ですらあった。 私は、ファーストガンダムを愛する古いガンダムファンの多くがそうである様にTV版Zガンダムに対して複雑な気持ちがある。本来、続編を想定せずに作られたファーストガンダムに対して、Zガンダムはそもそも存在してはいけない物語である。最初の入り口に偏見が存在する。しかも、この作品のあと直ぐにZZガンダムが製作されたように、その後に続く数多くのガンダムの始まりであり、ある意味でファーストガンダム以上にシリーズの中では重要な作品でもあるのだ。ガンダムファンとしてはアンビバレントにならざるえない。 しかし、上映に先立って挨拶した富野由悠季監督の「長年、嫌ってきたZガンダムだが、こうしてみると悪い作品でなかった」の言葉通りの感想を私も感じた。Zガンダムは決して悪くない、それを今回の劇場版Zガンダムは証明しいている。 自分の愛する作品が改変された時に、人はどう感じるのだろうか。特に、今回の様に、物語の内容がほとんど変わってしまった時にはだ。この劇場版Zガンダムは、編集のための順番の変更や、物語のカットというレベルの話でなく、そもそも物語自体が変わっている。これまでのZガンダムを愛してきたファンは、このZガンダムこそが間違いだと思うかもしれない。私自身は、今回の『星を継ぐ者』こそが、20年の時を経て登場したZガンダムのスターンダートだと感じる。しかし、副題にさりげなく盛り込まれたNew translation(新訳)の文字がこう主張しているようにも見えた。これは、Zガンダムのリメイクでも、正しいZガンダムでもない。可能性として存在しうるもうひとつのZガンダムなのだと。そして、このもうひとつのZガンダムはアニメ史に名作と刻まれるに相応しい新しい作品だと確信出来る。 唯一、気になった点は、新作作画部分とこれまでの映像の違和感と微妙なずれであろう。制作の際に、CG処理により両者の調和を図ったということだが、やはり20年近くに及ぶ歳月のアニメーション技術の差は覆い難い。そして、最新の技術を持ってしても過去の画像を現在のレベルにまで、引き上げる技術はない。それ以上に、作画監督による個性の違いは年月以上の相違を見せている。 |
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実はこの作品、僕の評価はかなり低いので、押井氏がわざわざこの作品に言及したのに驚いた。『逆襲のシャア』については、以前にも似たような経験がある。あるかたと話していた時に、話していて非常に頭のいい人だと判った。そして、うれしいことに感性もよく似ている。 正直、僕は富野監督の作品はかなり好きだが、手放しで全部好きなわけではない。特に、明確に作るべきでなかったと思っている作品も幾つかあって、そのひとつが『逆襲のシャア』なのだ。 だから、僕は少し前まで『逆襲のシャア』は、最大公約数的に、みんながあれは駄目だねと考えていると思っていた。ところが、この作品一部では非常に受けがいい。しかも、僕が尊敬しているような人の中にもそういった人が多い。むしろ、数あるガンダムシリーズの中でもベスト作品として挙げる人も少なくないのだ。 小説にしてもアートにしても、あるいはアニメでもいいが、昔、大嫌いだった作品が、年が経つとともに好きになる時がある。しかし、少なくとも、今の僕にはまだ、『逆襲のシャア』を好きだとか、面白いと受け取れる気持ちはない。いつか、僕でも『逆襲のシャア』を「結構、面白い作品だよ。」と言える時が来るのだろうか。そんな時、僕はどんな風に考えてこの作品を評価しているのだろうか。 続きを読む "『逆襲のシャア』の逆襲" » |
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『スチームボーイ』の劇場公開が9月3日で終わった。製作8年、総制作費24億円をかけた大作アニメだったが、世間的な評価は、まさに賛否両論であった。良質なエンターテイメントと評価する人がいる一方で、ありきたりで面白くないとの評価も多数見られた。特に、ヘビーなアニメファンになるほど『スチームボーイ』に対して否定的になる傾向があるようだ。 これは最終的な興行成績が、期待していた水準ほどではなかったことをうまく説明している。『スチームボーイ』の宣伝は非常に大きなものだったが、それでも比較的高年齢のマニア層を狙っていたように思える。 僕自身は『スチームボーイ』を非常に楽しだ。2時間を越える上映時間は若干長かったが、時間を持て余すことはなかった。噂に違わない素晴らしい画像に、よく練られたストーリーはさすがだったし、個人的にイギリスが大好きなこともあり、驚くほど忠実に再現された19世紀のイギリスの風景にはかなりのもであった。 スチームボーイ公式サイト |
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最近、アニメのビデオを買いにまんだらけによく行く。本当は、収納の問題もあるからDVDの方が良いのだが、なにしろ中古のビデオは安い。この安さを見ると、見るだけならビデオでしょ!と思ってそっちに流れるしかない。 それでもって、『超人ロック魔女の世紀』なんてビデオを買ってきた。そして、そいつを、3日がかりでみた。2時間という時間がまとめて取れないので細切れでみた。 でも、一番気になったのは画面の絵。本当にセル画、セル画していてセルアニメだ~って感じなのである。平面的というか、単調な色使いというか。これは別が嫌とかでなくて、「あっ!これがアニメだよ!」っていう心地よさなのだ。おそらく、この同時期に公開された、劇場版『マクロス』とか劇場版『イデオン』からアニメの絵ってどんどん高度化していったんじゃないかなと思うのだ。 |
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現在劇場公開中の『アップルシード』を観に行った。実は5月1日が映画の日で、1,000円で観られるというのが最大の理由だ。そして、1,000円なら観るよというのは、僕的には、アップルシードにあまり期待していなかったことの現われでもある。ところが、この作品かなり面白かった。 具体的なストーリーについては、観れば判る話なので語らない。アップルシードについて語らなければいけないのは、エンターテイメントとしてのアニメは何かということだ。アップルシードの面白さは、ごく当たり前のストーリーを一生懸命作る、観客をいかに楽しませるかについて周到であるといったエンターテイメントの基本の部分で極めて真っ当な作品だということだ。それは、近年の子供向けでないアニメがしばしば無視しがちだったことでもある。 アップルシードを観る時、原作が共に士郎正宗であり、ほぼ同時期に公開されたこともあり『イノセンス』を意識しないわけにいかない。しかし、原作が同じであること以外に両作品の物語、演出上の共通点はあまり見出すことが出来ない。それは、観客に向かって作られたエンターテイメントと、作り手が自らの内側に向かって行ったイノセンスとのそもそもの基盤の違いである。 今年の劇場アニメは、『イノセンス』や『ハウルの動く城』、『スチームボーイ』など大作が目白押しだ。アニメじゃないがアニメから実写化された『キャシャーン』、『キューティーハニー』、『デビルマン』などの話題作も多い。 アップルシード公式サイト |
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