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2009年12月12日
アニメ・映画 ]
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「秩序ある興奮」がもたらす、爽快な大活劇

文;斉藤 守彦

 去年の年末、筆者の連載「特殊映像ラボラトリー」で、2008年のアニメ・特撮映画の総決算を試みたが、その際2008年春に公開された「ワンピース/エピソード・オブ・チョッパー+冬に咲く、奇跡の桜」を評して「この映画の興行収入は9億円だが、この9億円には値打ちがある」と書いた。つまり、シリーズを重ねていくことで、今後伸びる可能性を含んでいる、さらなるブレイクが予測される。そのことを示唆したかったのである。
 実際、最近の「ワンピース」は絶好調らしい。原作コミックも、累計1億7600万部を突破。TVシリーズの視聴率も毎週快調だと、先日の「アニメ!アニメ!」の記事に書かれていた。加えて12月12日から公開される新作映画「ONE PIECE FILM Strong World」の劇場前売りが、シリーズ新記録になる勢いだという。

 前作「エピソード・オブ・チョッパー…」は、その感動的な内容が注目を集めた。試写で見て、あまりにも泣ける話なので、再度シネコンで見た。すると場内には20代とおぼしき女性たちの姿が多く、上映前は「ルフィがねえ・・」「ゾロがいいのよお!」とか話していた彼女たちが、映画終了後、さめざめと泣いている。
 だから今度の映画版10周年記念作も、当然“感動”を全面に押し出した作風で来るかと思いきや、原作者・尾田栄一郎氏は、当初のプロットをボツにしてまで「感動より、興奮」を選んだという。今回は映画ストーリーに加え、製作総指揮・コスチューム&クリーチャー・デザインも手がけている原作者の姿勢からは、原作ファンのための「ワンピース」を創ろうという、強い意志が感じられる。単なる10周年記念映画に名前を出しただけではなさそうだ。

 アニメ映画版「ワンピース」を見ていると、映画を構成する3つの要素・・「ストーリー」「キャラクター」「世界観」が、原作のレベルで既にしっかりと構築されており、それらを映画としてどう表現するか。つまり作家性というか、監督の手腕や力量がはっきりと出る。ストーリーそのものは、ルフィと仲間たちが未知の島を訪れ、そこで敵と対決するというパターンが確立されていることから、演出としてはそのプロセスやシチュエーション、ディテイルをいかに見せて行き、最終的に観客の感情をどこに導くかが重要になってくる。この機会にシリーズの旧作を見直してみたが、中にはルフィたちと敵との対決の描写に力を入れるあまり、「ゴムゴムのー!!」「おのれぇぇぇ!!」の繰り返し。ハイテンションではあるけれど、バタバタしたシーンの連続になってしまい、見た後とんでもない疲労感に襲われる作品や、明らかにこの描写はやりすぎだろう。世界観に反するのでは?・・・と感じられる作品もあった。

 その点新作「STRONG WORLD」は、原作者自ら陣頭指揮をとったこともあり、ストーリーこそいつものパターンなれど、その語り口はきわめて丁寧。「興奮」を与えるために、アクション・シーンばかりをたたみ掛け、観客をどっと疲れさせるようなことをしない。変な言葉だが「秩序ある興奮」を呼び覚ますことに成功しているのだ。ストーリーをきっちりと語り、ひとりひとりのキャラクターに対して、ちゃんと見せ場を与える。もちろんワキを固める多彩なアニマル・キャラや敵キャラも原作者の構築した世界観に、しっかり乗っ取っていることは言うまでもない。
 いわば原作にあった魅力を再度抽出し、原作者自らその要素を点検。その上で、再度アニメ映画の中に投入するという、その試みは大成功と言えるだろう。ただし「STRONG WORLD」の“秩序ある興奮”が呼び覚ます爽快な面白さは、原作者の参加もさることながら、それらのオーダーに確実に対応し、1本の作品に結実させた、境宗久監督とスタッフの手腕の確かさ故だろう。
 「エピソード・オブ・チョッパー…」に涙した女子たちには悪いが、今回のワンピースは、男子優先。正月映画。これを見ずして何を見る。アクションに次ぐアクション。疾風怒濤の大活劇。男の子なら熱くなれ!!ナミの水着姿も、大盤振る舞いの大サービスだっ!!!

『ONE PIECE FILM Strong World』 http://www.onepiece-movie.com/

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posted by animeanime at 2009.12.12
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