9月25日、CEDEC/コフェスタゲーム開発者セミナーで、プロダクションI.Gの石川光久社長による講演「アニメーションと漫画の融合」が開催された。 プロダクションI.Gは、先頃マンガ出版社のマッグガーデンとの経営統合を発表している。マンガとアニメ、原作を供給する側とそれを受ける側の融合ということで、今回の経営統合は大きな注目を浴びている。なぜI.Gとマッグガーデンの経営統合をするのか? セミナーはまず、今回のテーマ「なぜI.Gとマッグガーデンの経営統合が必要なのか」から始まった。やはり統合の大きな理由には、マンガ原作の持つ大きな力がある。石川社長によれば、通常は優れたマンガ原作を獲得するには、資本や技術以外の別の力が必要になることが多い。そして座組みに参加するのは、なかなかハードルが高いのだという。 さらにこれまでのI.Gとマッグガーデンの人材交流による実績から、今回の統合に足し算でない乗数的な効果が期待できると確信したとする。アニメ企業とアニメ企業の経営統合は足し算にしかならないが、アニメ企業と出版企業の経営統合は掛け算になり、大きな成果に結びつくというわけである。 このあと石川社長の話は、プロデューサーの有様や現在制作を続ける押井守監督の大作アニメ『スカイ・クロラ』、さらにI.Gが10年ごとに変わる必要性があるなど様々な話題に飛んだ。 一見つながりのなく思える話だが、全てはI.Gが持つ現在のアニメビジネスのかたちに対する危機感と新たな事業構築の必要性に結びついていく。『攻殻機動隊』の実写化エージェントに大きな成果 また、プロダクションI.Gの多様な展開を象徴する事業が、士郎正宗さん原作マンガ『攻殻機動隊』の実写化エージェント権の受託であろう。 石川社長は、これはI.Gが『イノセンス』でドリームワークス、『IGPX』でカートゥーンネットワークと行った海外との取り組みが評価された結果だという。 また、交渉は現在も進行中であるが、この件についてはやがてすごいかたちでメディアを通じて伝えられることを期待して欲しい、権利者のかたにも満足して貰える結果が出せると大きな自信をみせた。プロダクションI.Gのビジネス展開 プロダクションI.Gとマッグガーデンの経営統合は、アニメやマンガ業界にとって大きなニュースである。そして、今回の講演のタイトルも「アニメーションと漫画の融合」であった。しかし、むしろそれはプロダクションI.Gが現在進めている様々な事業展開の方向性のひとつに過ぎないように感じた。 プロダクションI.Gの事業展開はアニメとマンガといったメディアの拡張だけでなく、制作から製作、原作、さらに共同製作やライツマネジメント、エージェント機能と様々な分野に及ぶ。今回の講演では触れられなかったが、同社のインターネットやショートアニメに寄せる関心も大きい。 プロダクションI.Gのビジネスは、従来型のメディアミックスをさらに超えた新しいビジネスミックス、コンテンツを総合的に管理して行くように見える。 こうした試みが全てうまく行くとは言えないが、現在のアニメビジネスは、DVDの販売収益に過度に依存したことによる歪みと限界も見え始めている。 新たなアニメビジネスに対する挑戦は、アニメ業界全体に必要とされているものと言えるだろう。CEDEC/コ・フェスタ ゲーム開発者セミナー /http://cedec.cesa.or.jp/cofesta/CEDEC /http://cedec.cesa.or.jp/コ・フェスタ /http://www.cofesta.jp/プロダクション I.G /http://www.production-ig.co.jp/マッグガーデン /http://www.mag-garden.co.jp/