| 1. プロデューサーとクリエーターの理想的な関係は? |
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アニメアニメ
(以下AA)
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石川社長にお伺いしたいことはたくさんあるのですが、今回は「劇的3時間SHOW」ということですので、プロデューサーのことに絞って話を伺わせてください。
最初にクリエーターさんについてですが、プロダクションI.Gさんでは押井守監督を筆頭に、非常に優秀なクリエーターさんが数多く仕事をしています。でも優秀な人であればあるほど、実力があるが故にプロデューサーといつでも縁を切れるという、フリーハンドを持っていると思います。
そうしたクリエーターが常にプロダクションI.Gを選んでいるのは、なぜなのでしょうか。
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石川光久氏(以下石川)
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パラレルというか、クロスしない関係が重要かなと思っているんですね。距離を近く、でも間を持つということ、近距離でその距離を保ちつつ、何年、何十年といければその関係ってすごくいいかなと思うんです。
そこの関係がクロスしちゃうと、たぶんバランスが崩れちゃうんですね。やっぱり監督が作りたいものだけ作っちゃうとかね。
例えばプロデューサーは、人を使うと言うじゃないですか。でもクリエーターって使われるのが誰よりも嫌いな人間だと思うんです。クリエーターって上昇志向で上を向いているから、使われていると使っているという関係は成り立たない。
一般社会のこの関係を、クリエーターの立ち位置にしちゃうと崩壊しちゃうんですね。
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AA
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実際にクリエーターさんはプロデューサーをどう見ているのでしょうか?
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石川
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押井(守)さんはだいたい言葉に覚悟があるか、ないかを見ているらしいんですよね。押井さんにとっては、覚悟があるか、ないか、そういう人なんです。
それからアニメーター出身の監督は、嘘をついてないかとか、細かいところを、表情とかすごく見ているので、絶対に嘘をつけない。そういう面での覚悟や言っていることが一貫していることが必要です。
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AA
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そこにプロデューサーの役割があるわけでしょうか?
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石川
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すごく調子のいいことを言う人は一杯いるけど、辛い立場の時に逆に厳しく物を言えたり、守ってあげられたり、人が弱い時に強さを発揮できるのがプロデューサーですね。
クリエーターを守るとき、クリエーターが弱っているとき、傷ついているときに、そこはその人の気持ちを和らげてあげるとか。逆にクリエーターが鼻が高くなった時にはがしっと厳しく言ってあげるとか、強弱ですよね。そういう関係ができることが、たぶんクリエーターとプロデューサーとの関係だと思うんです。
言葉にできない願望を実現したいことがクリエーターなんですね。これはプロデューサーも一緒で、そこには熱い思いがあって、それをクリエーターと共感するかどうかがたぶん肝かな。そこは逆に一緒にいなきゃいけない。
その辺の距離感の間合いが難しいのかなと思うんですね。
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AA
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プロデューサーというのは、クリエーターに対して一番言いたくないことを言う人だとも思います。そうしたことも信頼関係の中から生まれるんですか。
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石川
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最近、押井さんって頼みたいことがあったときしか来ない。調子がいいときはみんなちやほやしてくれるのでね。頼みたいことがあるということは、周りがその頼みを聞いてくれないから。でも信頼関係はあると思うんです。
押井さんが20年間で付き合っていて言うのは、「ずっと石川にはだまされ続けてきた」。それを言われているときは、僕は自分は大丈夫だな、押井さんとの関係はうまくいっているんだなと思うんですね。
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AA
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素直にものを言える関係ということでしょうか。
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石川
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最近でも押井さんががーっと言いたいことがあって、それに対して石川は黙って聞いているんじゃなくて、こっちもかっときたことがあってがーっと返す。お互いに言い合うことで、何かお互いに正しかったんだなと分かる、これは不思議な関係だなと思うんですね。
押井さんがどんどんメジャーになって、巨匠になって、石川もそこで言われたことに対して、 「はいはい 」とか、逆に返さなくなったら、それはまずいと思うんですね。
人前では、ちゃんと僕も押井さんを立てるし、押井監督というのは当然ありますけど、1対1になったときとか、本当にビジネスのとき、仕事の話をしているときは結構、お互いに言い合うんですよ。
たぶん、自分のことだけとか、利害関係とかだけで相手に言うと伝わらないんじゃないですかね。相手のことを思っているから、逆に嫌なことも言えるし、その根底にはやっぱり愛情みたいなものがないと、なかなか伝わらないんじゃないかと思います。
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AA
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プロデューサーはマネジメントをする人、クリエーターは作る人というのがあります。実はクリエーターもこういうふうに売りたいというのがあるかもしれないし、プロデューサーが、いや、そのラストはまずいだろうというのもあると思います。
そういうクリエーティブとマネジメント、主にビジネスになりますが、これは交差するものなのですか。
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石川
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これは両面ありますよね。監督が交差すると思って作っていたらつまらないものになっちゃいます。監督は交差しないものだと思って作るべきだと思うんですね。
でもプロデューサーはそこで、どうしても売るために必要なんだと、いろいろな要素を説得して、相手を変えることができたら、交差するということかもしれない。
基本的に監督が妥協するとか考えていたらスタッフがついていかないですよね。やっぱり監督のビジョンがあって、それをやってもらうわけで、ものすごい力を借りるわけだから。
もしあるとしたら企画に対してですよね。企画に対して、この作品を、この原作を使うとか、使わないとか、これでいくとか、いかないとか、ヒットするためのいろいろなところが見えてきたときに、それを監督にぶつけて、そのときに監督が納得したらそちらにいくことはあると思うんです。
ただ、そのあたりは結果的にお互いを交差させた方がいいと踏み切ったときはいいと思いますけど、これはなかなか難しいですよね。
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AA
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こうした過程の中で、最終的に決断するのがプロデューサーになるのですが、その決断するときの気持ちは何を基準にされるのですか。
例えばこの原作を使うとか、あるいはお金をいくら掛けるとか、誰々にお願いするとか、そうした決断はすぐに出てくるものですか。それとも悩むものですか。
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石川
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意外に決断は悩まないものですね。悩んだ決断はだいたい失敗しちゃうんです。やっぱり感情じゃないけど、伝わってきたものですよ。
監督の持っている才能と集まってきた才能、いまうちの抱えているスタッフで戦えるか、勝算があるか、ないかという、本当にみんながモチベーションを持ってやれるんだというものがあったときには決定だと思うんです。
ただ1つ、プロデューサーにとって必要なのは、そこで必ずお金というのを心の天秤に入れるべきじゃないか。軸足にお金がなかった企画って、だいたい(製作)委員会とかいろいろしてくれる人たちに迷惑を掛けちゃう。
最初の段階で決めるときには、冷静な自分でお金というのを俯瞰で見るべきじゃないかと。
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石川
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この作品をやるんだという決定するときは、スタッフには熱いものがある、熱さがある。でも熱さとお金的に俯瞰で見ている自分がいて、心の中の熱さと、頭の中の数字をばらばらっと計算したときの両面じゃないですか。この2つが必要じゃないかと思うんですね。
そのうえでこれだったら今まで作ったものじゃなくて、どきどき感とか、人より先にやって驚かせてやろうとか、そういうものがあったらやるべきじゃないかなと思うんです。
ただ、昔の方がやる作品を決めるときは、もっとはっきりしていた気がするんですよね。もっと尖っていた。 それはプロデューサーも増えたし、いろいろな会社があって、それがよく言えば大きくなっていることかもしれない。
今は昔だったらこういう作品は受けなかったなというものも受けるようにはなりましたね。それはいいことでしょうけどね。
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AA
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作品の幅は広がりましたか。
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石川
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広がったよね。それはやっぱり自分が手の届くところじゃないところでも、勝負させることが大事だということを理解してきたからじゃないですかね。
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