『CATMAN』 青池良輔監督インタビュー1
                 「CATMAN」に至る道

2002年にインターネット上(アトムショックウェーブ・サイト)に初めて登場し、ネット好きなら誰でも1度は見たと言われるほど、有名な作品となった『CATMAN』。作家青池良輔氏は、この作品をきっかけに、『ペレストロイカ』、『OH!スーパーミルクチャン』など様々な作品を制作するようになった。10月31日に『CATMAN』のDVD発売も決定。青池良輔氏に、『CATMAN』の制作の秘密とクリエイティブ活動について伺った。

■青池良輔 (あおいけ りょうすけ) 
1972年生 大阪芸術大学映像学科映画コース卒

学生時代に自主映画を制作したのち、カナダ・モントリオールで映像製作会社に勤務する。

本業の傍らFlashアニメシリーズ「CATMAN」でWebアニメーションデビューする。
芸術監督などを経て独立し、フリーランスとして、アニメーション、Webサイト、TVCMなど主にFlashを使い多方面名なコンテンツ制作を行なう。

2008年にモントリオールにてaoike.ca.production Incを設立。


 1. CATMANに至る道 

アニメアニメ
(以下AA)

制作を始めたきっかけからお伺いしても宜しいですか?


青池良輔監督(以下青池)


もともと映画に興味があって、いつかは自分の映画を作りたいなと思っていました。

映画会社に就職したくて、カナダの映画会社に7年ぐらい勤めていました。そこでの仕事は、コンピューターの知識とかは全くなくて、企画を作って、お金を集めて、映画を作るという仕事だったんですが、企画をセールスする時にもっと魅力的な企画書を作れるはずだとコンピューターを勉強し始めたのがきっかけですかね。

AA
コンピューターは直ぐに使いこなしたのですか?

青池

それをいろいろと勉強していたんです。けれど、そうして行くうちに、どうやらこれはアニメも作れるような気がするなあと。
それでアニメを作り始めていくと、映画会社では一本作品を作るには膨大なお金と人材と説得する活動がいるんですが、「一人で作れるみたいだ」ということになり、そこで毎晩仕事が終ってから作り始めたんです

AA

そこからShockwaveで作品を公開されたのは、どういったきっかけですか?

青池

日本にいる友人に「作品出来たよ」ってメールで送っていたんです。それをShockwaveのプロデューサーの人が、ご飯を食べに行く時に、たまたま友人のデスクトップにあったアニメを見て、「この人と契約したい」と、それで電話がかかってきたわけです。 でもその当時って、shockwave.comってティム・バートンの作品とかをやっていて、それはありえないって(笑) 
すごく嫌な悪戯だと思って、1回目の電話は断って。そのあともう一度電話がかかって、「いやいや本当に契約するから」って。 それで本当だということが分かり、その晩に企画書出したらOKを貰って、今に至ります。

AA
その時の作品はすでに「CATMAN」だったんですか?

青池
「CATMAN」でした。

AA
映像を作るのはその時が始めてなのですか?

青池
大学がでは映像学部の映像コースでしたので、ひたすら映像を作るところで、学校以外でも週末みんなで集まって「8ミリまわそうぜ」とかやってましたから、全く抵抗はなかったですね。

 
(c) Ryosuke Aoike/Fuji TV・Pony Canyon・Creative Artists

2. カナダでスタートしたキャリア

AA


キャリアのスタートがカナダというのは、どういう経緯なのでしょうか?

青池

僕が大学卒業する頃って、バブルが終わって、第2次ベビーブーマーが就職氷河期に突入したど真ん中だったんですよ。映画がやりたい、映画の制作会社に就職したいと思ったんです。だけれどけど求人があまりなかったんです。
普通の映像会社の制作助手に就職しようかなと思ったら、知り合いの方がカナダの映画監督に知り合いがいるから、紹介してあげると。

AA

Shockwaveに作品をだされて反響はどうでしたか?

青池
作ってから公開まで、時間があるんですよ。会社のほうも忙しかったから、「あっ、出た出た」という感じです。これが2002年頃ですね。

AA
その時にネットというのは意識されていたんですか?長さとか、観る人とかについてですが。

青池
当時は全然意識してないですね。ただファイルサイズを小さくしてくれというのは言われていただけです。 

 
(c) Ryosuke Aoike/Fuji TV・Pony Canyon・Creative Artists

3. 表現は意図的に変えている

AA

これは是非お聞きしたいと思っていたのですが、「CATMAN」はクールな作品ですよね。その一方で「ペレストロイカ」というストップモーション的な、そしてシニカルな作品があります。さらに「スーパーミルクちゃん」では、いかにもアニメ的な表現をされています。
こうした表現を変えるのは、かなり意図されているのですか?

青池
意図しているところも勿論あります。表現は企画とアイディアの次の段階で決めればいいことだと思っている。なるべく自由にしておきたいので、敢えてこんなんも出来ますということをしていますね。
一枚絵で喰えるほど絵がうまいわけでもないですし、絵で見せるクリエイターでないので、勝負どころはアイディアとか企画でやっていければいいかなと。

AA
「CATAMAN」の表現は映画的だなと思ったのですが、ウェブアニメである前に映像であるという意識は強いのですか?

青池
当時ウェブアニメーションがとても少なかったというのもあるし、あまりアニメを観たことがなかったんです。「ガンダム」とか観たことがなかった。「CATMAN」が映画的というのは、すごくうれしいのですが、それしか知らなかったんです。
ただ、今は少しずるくなって日本のリミテッドアニメっていいよねとか。やっぱりリミテッドアニメやるとアニメっぽく見えるんですよね。商業アニメっぽく、意識してリミテッドアニメを使って作ることもあります。

AA
「ペレストロイカ」ですが、あの作品を観た時に、非常に伝統的なストップモーション的な動きをしています。

青池

意図的にそう見えるように、カメラのフレームを決めているところもあります。この手法のまま、もっと激しい構図作りとか、激しいカット割りも出来ます。けれど、この作品の肝はそこではない。
フラッシュを使えば、粘土とデジタルを使って粘土アニメみたいなことを物凄く手早く出来るんだと、伝統的な風を装いつつ「今まであったような感じだけれど何かが違うね」って明確になるんじゃないかなと思っています。

 
(c) Ryosuke Aoike/Fuji TV・Pony Canyon・Creative Artists

4.  「CATMAN」のモデルは飼い猫だった

AA


「CATMAN」は非常にアメリカ的、カナダかもしれないですけれど、ニューヨークとかシカゴを思わせるところがあるのですが、それは意識されているのですか?

青池

思っていないんですよ。
自由でありたいけれど、あまり自由であると寂しすぎる、自由だけれど何していいか分からないというのは東京的かなと思ったりするんです。「CATMAN」は、世界中どこでも都会に行けば会える人なんじゃないかなと思っています。


AA

あと主人公の職業も気になっているんですが・・自由なんだけれど「どうやって喰っているの?」って(笑)

青池

「CATMAN」職業は、“ヒョ〜〜”です(笑)
この質問はよく聞かれるんですよ。夢がなく正確に答えると失業保険と生活保護で食べています。ただそれをバンと言ってしまうと夢がないので、「なんでしょうね?」って。
例えばバーに飲みに行って飲みたいんだけれどお金がない、「じゃあお前これをやれよ」とか、「面白い話を聞かせてくれたら一杯奢るぜ」とかいう関係があってもいいと思うんですよ。

AA

これもよくある質問かもしれませんが、なぜ主人公は猫だったんですか?。

青池

人が描けなかったからじゃないですか(笑)
もともと「CATMAN」を考えていた時に住んでいたアパートに泥棒が入って、ビデオとかプレステとかCDとか全部盗まれて、家のなかの娯楽が紙と鉛筆しかなくなっちゃたんですよ。
日曜日に「よし!今日は紙と鉛筆で遊ぼう!」と、家に猫を飼っていたので、「CATMAN♪〜」って、絵をA4の1ページにストーリー一個でゆるいマンガ的なものを描いて遊んでいたんです。気づいた時は50枚ぐらいたまっていました。シリーズ1話は、その時に描いたマンガそのままですね。

AA

日本人は猫はかわいいというのが多いのですが、「CATMAN」の猫=クールというのはどこから生れているのですか?

青池

うちで飼っていた猫がクールだったんですよ。

AA

細身で?

青池

いや無茶デブ猫でした。
もう死んじゃったんですけれど、マックスという名前で、子猫がじゃれついて耳をかじりとられても動じになかった。もうかじり取られているのに。猫は好きですけれど、そんなに可愛がる感じでないですね。

■その2に続く 「CATMAN」はこう作られている

 


「CATMAN」作者:青池良輔氏、来日トークショー&サイン会 実施決定!

「秘密結社 鷹の爪」作者:蛙男商会氏をゲストに迎え、ネット発クリエイター達のココだけトークを展開!
DVD発売記念イベント。

11月8日(土)15:00スタート

場所: 渋谷シアターTSUTAYA 1F カフェスペース「Prologue」   http://www.theater-tsutaya.jp

参加券配布対象のTSUTAYA(関東近郊の23店舗対象)、TSUTAYA オンラインにて事前ご予約もしくはご購入下さいましたお客様に、先着でイベント参加券をお渡しいたします。
※参加券には数に限りがございます。ご了承ください。

詳しくはポニーキャニオンイベントHPまで。   http://visual.ponycanyon.co.jp/

お問い合わせ
ポニーキャニオン映像マーケティング部 03-5521-8066
(土日祝日を除く 月〜金曜日10:00〜18:00)

 page topへ