| ■ シャオとアリサのふたりが、 「鉄拳 」シリーズ全体を包む |
|
アニメアニメ
(以下AA)
|
まず、主人公ふたりについてから伺わせてください。数多い「鉄拳」のキャラクターのなかからなぜ今回のシャオとアリサで、そしてなぜ2人組、バディ物となったのですか?
|
|
佐藤 大氏
(以下佐藤)
|
「鉄拳」の初期をずっと支えていた人気のキャラクターのシャオと、あと一番新しい「6」で人気が出ているアリサを組ませることで、「鉄拳」シリーズ全体を内包した物語に出来るかなと考えました。
2人が組むのは当然初めてなので、「鉄拳」ファンにとって意外な組み合わせでありながら、「鉄拳」シリーズ全てのお話を包むようなものにしたいなと思ってです。
当初からキャラクターが誰であってもバディ物にしようと思っていました。男同士にするにしても、男と女にするにしてもです。個人的には『ハウンド』とか、『48時間』といったバディ物が好きなので、そういう雰囲気にしたいなと思っていました。
|
|
AA
|
キャラクターを作るときにはゲームの設定はどのくらい意識されるものなのですか?
|
|
佐藤
|
すごく意識しました。今回の作品は原作となったゲームのスタッフが多くかかわっているので、原作と懸け離れたものになるとおかしなことになると思うんです。原作と同じデザインで、同じモーションとかを使うのに、ゲームではやらないことをやってしまったらいけないと考えていました。
一番難しかったのは、シリーズとしてこの後も続く原作なので、誰も殺せなかったことですね(笑)。
|
|
AA
|
それは現実的な問題ですよね。
|
|
佐藤
|
そうですね。現実的な問題として誰も殺せないし、成長も難しい。成長とか、歴史の変化は、原作のシリーズで培っているものです。どこまでを変化させるかの部分を気をつけるのは、結構大変でした。
「バイオハザード」や「ファイナルファンタジー」の様なRPGやアドベンチャーであれば、プレイヤーがプレイするキャラクターは主人公です。全員同じキャラクターを使うわけです。でも格闘ゲームはプレイヤーがそれぞれ違うキャラを使う。それが40人以上います。だから人によって「鉄拳」のイメージが全然違うんです。例えば最初から最後までクマでプレーする人は、クマが主役のストーリーだと思っている。
そこで何が「鉄拳」らしさなのかを最初に抽出しました。そのプロット前段階での話し合いが一番苦労し、大変だったところです。ただ、 「アリサとシャオを主人公にすること 」を原作者である「鉄拳」スタッフの人たちが認めてくれたことで、話を進めることが出来ました。
|
|
AA
|
少し余談になりますが、アリサの可変は、原作ではあまりなかったと思います。
|
|
佐藤
|
アリサの頭が取れるのはもともとあります。それから格闘ゲームが出来ない部分のひとつはアップです。格闘ゲームにはアップが出来ない。今回は映画なのでカットごと格闘シーンのアップが出来る。これはディテールを描けるという意味なので、そしてディテールが描ける面白さのあるキャラクターという意味で、美少女ロボットの細かい変化をCGでやる意味があるはずだと思いました。
理屈を作らなければいけないので、新しい設定を入れたりしています。両手が開いてチェーンソーが中から出てくるディテールは映画用にクリーンナップしました。
ロケットパンチに関しても、もとからある技ですが、それを両手で撃つというのを新しくやりたかったんです。あのシーンを初めて観た時にかっこいいと思えたことで、この映画は僕が行きたかった場所に行けたなとは思いました。
|
(C)2011 NAMCO BANDAI Games Inc.
|
| ■ ゲームで出来ない画づくりにチャレンジ |
|
AA
|
舞台が京都というのは、最初から出ていた話なのですか?
|
|
佐藤
|
提案させてもらいました。CGでは沢山のステージをシーンごと少しずつ沢山作ると、予算も時間もかかるんです。今回も細かく作っている舞台は3カ所に絞っています。京都城と新金閣寺、そして高校の3つです。
その選び方として「鉄拳」は海外でも人気のあるゲームなので、日本人が作る日本のプライドという意味で、京都を舞台にすることで親和性を高められればと。新金閣寺や、実際はない京都城を壊す演出をしたかった。
|
|
AA
|
最後のところで話が大きく展開していますね。
|
|
佐藤
|
|
|
AA
|
あのアイデアは?
|
|
佐藤
|
あれは僕たちで無理にやらせてもらって、最初は怒られました。(笑い)
世界観が変わってしまうことを注意していただいていたんです。3Dの映画として出来ることをしたかったんです。デビルになって羽根が生えるのであれば、飛ぶ価値のある敵を出すべきだと。羽が生えて飛ぶぐらい大きい敵にすることで、映画らしい戦いの画になったと思います。
格闘ゲームではゲーム画面の中でしか飛べないので、画面から外れちゃいますし。それを画として追いかけるには、あのぐらい大きいものが出てきて欲しかったんです。それは映画でしかできない画だと思いました。映画ならではの勢いをゲームとは違うかたちで見せたい、と説明しました。
|
|
AA
|
単純にゲームだと、等身大対等身大という設定ですが、今回の様な対比の戦いも面白いですよね。
|
|
佐藤
|
そうなんです。それはカットが割れないゲームでは出来ない画です。カットが割れる映画でしか表現できない。
そして、映画を観た人が今度『鉄拳タッグ』とかでプレーするときに、映画のあのシーンを想像しながらやっていただけると、すごくうれしいと思います。
僕自身がゲームをすごく好きなので、ゲームでは見えない場所、例えば表情とか、バトルシーンでのアップ、チェーンソーのアップみたいな画をみせる物語を作りたいなと考えました。
|
|
AA
|
ゲームの延長線上でありつつ、でもゲームと違うことをやっている。
|
|
佐藤
|
その画づくりが一番のコンセプトですね。
|
(C)2011 NAMCO BANDAI Games Inc.
|
| ■ 戦う女子高生と美少女ロボットは日本コンテンツのアイデンティー |
|
AA
|
先ほど海外の人も観るという話があったのですけれど、「鉄拳」は海外のファンもとても多いのですが、『鉄拳 ブラッド・ベンジェンス』では、海外からの視点もかなり意識されていたのですか?
|
|
佐藤
|
戦う女子高生と美少女ロボットを主役にするのも、日本のコンテンツのアイデンティティーだと考えたからです。制服を着た女の子が戦う画をリアリティーを持って描けるのは、日本で作る作品の特性ではないかと。
アニメの世界で活躍している監督たちが画コンテを切ってくれることが最初から分かっていたので、彼らの持ち味が入る作品にしたいと考えていました。
|
|
AA
|
コンテは複数の方にばらばらに依頼してそれをまとめ上げたのですか?
|
|
佐藤
|
それを監督がまとめあげました。
|
|
AA
|
そうしたやりかたは、どういうアイデアで始まったのですか?
|
|
佐藤
|
連続するテレビシリーズだったら、普通は各話で画コンテの担当は違いますよね。続けて考えれば20分ずつコンテマンが違うということです。
例えば最後は怪獣映画みたいになります。その場面は樋口真嗣さんに画コンテを切ってもらっています。冒頭のアンナとニーナが戦うアクションシーンは荒牧伸志さんです。学校で登校していくところは岡村天斎さん。それぞれの特性で担当していただきながらの作品作りは、アニメのシリーズ構成をやっているときにあるやりかたに近いと思います。
|
|
AA
|
なるほど、そう考えてみると分かりやすいですね。
|
|
佐藤
|
彼らの特性が合うところに、ちゃんといい画が来るようにストーリーも作りたいなと思っていました。それぞれの画コンテの方たちに、それぞれ得意なところをお願いしました。結果としていい場面でもやむなくカットしたシーンやキャラクターもありましたが・・・。
カットした理由は100分を超えたくなかったからです。3D映画として100分超えるとやっぱり目も疲れるし、元々アクション映画は90分から100分の間でバシッと終わるのが気持ちいいですし。
|
|
|
|
|