| ■ ハリウッドで生まれたブルーレイの映像 |
|
アニメアニメ(以下AA)
|
今回の作業は日本でやられたのですか、アメリカでやられたんですか?;
|
|
柏木
|
アメリカです。
|
|
AA
|
やはりアメリカでやると違うものなのでしょうか?
|
|
柏木
|
どう言ったらいいんでしょうね(笑)
|
|
奥井
|
場所じゃなくて、やっぱり人ですよ。
|
|
柏木
|
ありがたいお言葉ですね。環境によるところもありますけどね。
ロサンゼルスのハリウッドという地で仕事をしていると、現地の映画関係者と共同で作業をしたり、議論をしたりすることがやはり多くなります。そういう交流によって得られるノウハウがあります。
そこにいるエンジニアは、そうした経験やノウハウに基づいて、ある意味特別な思いを持って仕事をしています。ですので、同じ設備が日本にあるからといって同じものができるというものでもありません。
|
|
AA
|
いままで実写やCGアニメーションも沢山手掛けておられますが、2Dだからこそ難しい、あるいは2Dだからこそこんな美しい表現が出来るといったことはあるのでしょうか。
|
|
柏木
|
『崖の上のポニョ』は、宮崎さんや奥井さんらがこだわった手描きの風合いをうまく表現する、アナログっぽさをあえて演出して作り込まれています。
画を揺らしてみたりとか、グレイン(粒状感)をのせてみたりです。ほかのアニメーションではそういうのはほとんど見られないですよね。
『ポニョ』の作業をしている中で、まだグレインをのせていない映像を見る機会があったんですが、本当につるっつるなんですよ。もちろんそのまま見ても手描きの画は手描きの画なんです。けれども、グレインがのったり、揺れたりすると温かみのある画に見えるんですよ。
ただ、そういう処理をされているものだから、圧縮にとってはより厳しい画になっています。だから、2Dの画だから云々ではなく、こだわって作られた『ポニョ』という作品だからこそ大変だったというのはありますね。
|

(c)2008 二馬力 ・GNDHDDT
|
|
AA
|
ブルーレイのためのエンコードには、余分に時間がかかるということはあるのですか?
|
|
柏木
|
時間がかかるというよりは、ブルーレイがそれだけの解像度を持っているがために、いただいたデータをそのままエンコードをしてしまうと、硬すぎる画になってしまいます。
それをデジタル上映した時と同じような見え方にするために、マスタリングに時間がかかったり、マスタリングが終わった後の圧縮に手を掛けます。
先程もお話をしたように『ポニョ』は圧縮するのが難しい画なので、それを丁寧に圧縮します。そのふたつの作業工程に非常に時間がかかりますね。
|
| ■ ブルーレイの特徴を活かした特典映像の魅力 |
|
AA
|
話が少し変りますが、今回特典が非常に盛りだくさんなのですが、これらの企画やパッケージにする作業はどちらでやられるのですか。
|
|
柏木
|
パッケージにするのは我々の方でやります。どのような素材を特典に入れるかはジブリさんの方で決められます。
ただ、最終的にどれだけ入れるかは、相談しています。どういったフォーマットで入れるか、最終的なディスク全体の仕様を決めています。今回は特典が全部で約300分あるのですが、ほんの一部を除いてほぼすべて、HDで収録をしているんです。
|
|
AA
|
ブルーレイの特徴を最大限活かしたわけですね。
|
|
柏木
|
ただそのためには本編のビットレートも制限せざるを得ないというのはありました。もちろん本編の方が特典よりも大事ですが、特典のビットレートを下げ過ぎるとHDのよさがなくなってしまいます。そのバランスは非常に苦労したところです。
本編のビットレートは実際には、23メガという平均レートになりましたが、様々な工夫を重ねながら丁寧に圧縮作業を行い、マスター映像のすべてを余すことなく再現する画質に仕上げた結果としての平均レートですので、例えば40メガの場合と比べても遜色はないと、自信を持って言えます。
|
|
AA
|
ブルーレイでは、多くのファンにとっては特典映像も見どころだと思います。BDならではの機能をひとつ紹介いただけますか。
|
|
柏木
|
ブルーレイの特徴の1つとして、ピクチャー・イン・ピクチャーというのがあります。
これはDVDにはなかった機能です。
|
|
AA
|
本編映像と絵コンテを比較しながら鑑賞が出来るものですね。
|
|
柏木
|
そうです。この絵を合わせる作業をされたのはジブリさんです。
絵コンテの映像を背景に見ながら、本編で最終的にどうなったかというのを見られるわけです。DVDのときはマルチアングルを使っていて、どちらかに切り替えてみるしかなかったものです。それがブルーレイになったことで、同時に見ることが出来るようになりました。
|

(c)2008 二馬力 ・GNDHDDT
|
|
AA
|
映像では絵コンテも拡大していますが、本来はかなり小さいものですよね。大型テレビで見ても、十分鑑賞出来るのは、少し驚きです。
|
|
柏木
|
実はそこも苦労をしたところなんです。
もともと小さなサイズの画をフルHDの1920×1080の解像度でスキャンしていますから、絵コンテそのものと一緒に紙の目地まで拡大されて写し出されてしまいます。そういうものは見えないように、だけども絵コンテとして宮崎さんが描かれたところはきっちり全部見えるように、という調整もやっているんです。
|
|
AA
|
水彩の色合いは確実に出ているのに、その部分だけ消すというのはちょっと信じられないですね。
|
|
AA
|
最後に『崖の上のポニョ』の映像的な見どころを紹介いただけますか。
|
|
奥井
|
映画には宮崎の確固たるイメージがあると思っています。『ポニョ』ではこれまでの作品と違った、鮮やかな色をきちんと使っていこうというものです。絵本タッチのイメージボードがスタートになっていますが、鮮やかな色を使用した世界観が描かれていて、そこに登場するキャラクターも必然的に鮮やかになっています。
ですが、決して目に刺々しい色使いにはなっていませんので、その辺りのバランスもご覧いただければと思います。
|
|
AA
|
ありがとうございます。
|
|
|