| ■ 『2001夜物語』映像化は監督の悲願だった |
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アニメアニメ(以下AA)
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作品を最初に観た時に、よくぞこれを取り上げてくれたなという気持ちがありました。
いま国内のSF映画は小さい話に落ち着いて、壮大なテーマはあまりなくなってしまったように感じていました。70年代、80年代的な大きな叙事詩である星野(之宣)さんの『2001夜物語』を原作に採られたのは、どのような理由からでしょうか?
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曽利文彦監督
(以下曽利)
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私たちはそうした壮大な作品で学生時代を育って来ましたので、原点はそこにあります。
今回、特に『TO』を映像化したのは、とにかく星野先生の作品が大好きだったからです。学生の頃から星野先生のファンで、いつかは映像化したいと思っていたので、その悲願がようやく実現することが出来たということに尽きます。だから逆に時代性とかを考えてということはないですね。
ただ、確かにこういう作品がもうほとんどないので、あえてこうした作品の良さがもう一度見直されてもいいのかなという思いはありました。
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AA
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曽利監督は、SFというジャンルにはかなりこだっておられるのですか?映画のキャリアは『ピンポン』から始まっていますが、その後は『アップルシード』、『ベクシル』、今回の『2001夜物語』とSF作品の占める割合が多くなっています。
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曽利
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特にSFだけにこだわっているわけではないんです。けれども、映画がすごく大好きで、アクションも好きだし、SFも好きだし、普通のドラマも好きなんです。このカテゴリーが自分のジャンルだと思っているつもりはなくて、好き嫌いせずにいろいろなジャンルにチャレンジしたいなと思っています。
例えば好きな映画を挙げると、『ゴッドファーザー』と『アマデウス』が先に来ます。でも、『エイリアン2』も好きだし、『ブレードランナー』も好き、ただの映画オタクだったりします。
何でも来いみたいなところがあります。実際に『ICHI』では時代劇もやっています。あと次の撮影には実写が入りますが、それもSFとは全然関係ない世界です。
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今回取り上げた2本は、両方ともSFであると同時にラブストーリーだったのですが、ラブストーリーについてはどうですか?
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曽利
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ラブストーリーじゃないといけないと思っているわけではないんです。けれども、SFはすごく限定されたファン層になりがちなので、せっかく映像化するのであれば、もう少し広い層に見ていただきたいなと思いました。
『2001夜物語』は、ストーリーによってはすごくディープな精神世界に入ったり、SFの醍醐味や核心に触れるようなものもあります。ただ、いきなりそこからだと入り口を限定します。
だから間口を広く、SFをあまりご覧にならないかたでも、入りやすいところから。まずは入り口を広く保つことが、星野先生に対しても失礼のない初手だと思っています。
入り口が広がれば、もし『2001夜物語』の続きを作る機会があれば、より深く入っていくことが可能になります。
初めにコアファン向けに作ってしまうのは、映像作品としての立ち位置からすると、少し難しいかなと思います。
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| .■ 『楕円軌道』と『共生惑星』のコントラスト |
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AA
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星野さんの原作では連作が15か16ぐらいあります。その中から『楕円軌道』を選んだのは、物語のスタートだということですごく分かりやすいのですが、その次に『共生惑星』を選んだのはなぜなのでしょうか。
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曽利
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『楕円軌道』はもともと番外編的な扱いだったのと、『2001夜物語』の年代別からいっても、初めにくるのは違和感はなかったんです。自分自身でもすごく好きなストーリーでした。それに大人感覚で作れる、お芝居としてもやりがいがあると思ったので、これを最初に持ってくるのには迷いはありませんでした。
2番目に持ってくるものに関してはいろいろ侃侃諤諤でした。ただ、チョイスの一番の基準になったのはビジュアルです。
ラブストーリーということも間口を広げるという意味では絶対必要でしたし、あとはビジュアル的に刺激のあるものということがチョイスの基準になりました。『楕円軌道』が宇宙船の中だけ、宇宙空間だけで起こるお話なので、コントラストをつけて、こちらは惑星、ほかの星、見たこともない星の上で起こる出来事です。
この2つのコントラストはすごく大切だと思いました。『楕円軌道』と『共生惑星』は、色合い的にもすごくコントラストがついてよかったのでないかなと思っています。
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AA
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コントラストという意味では、『楕円軌道』はメカが前面に押し出されていましたが、『共生惑星』は生物がその役割を果たしています。そうしたコントラストも考えられたのですか。
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曽利
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無機質なものと有機的なものという意味では、星野先生の描かれた『2001夜物語』の中でも、有機的なものはひとつのテーマになっています。それとSFの醍醐味であるハードウエア、このふたつが同時に描ければ面白いでしょう。
けれど今回は、この2つのストーリーで1セットだと考えていただければ、ちょうど真逆なものがひとつに入っていると思います。
『楕円軌道』は、声優さんが大塚(明夫)さんと朴(ロ美)さんというベテランの域のかたたちが大人な演技をされています。『共生惑星』では福山(潤)さんと平野(綾)さんという若手のフレッシュな演技です。
『楕円軌道』、『共生惑星』で、いろいろな意味でコントラスなものが用意されたるかたちになっています。
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| ■ 有機的なものの表現とメカの表現と |
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いままで『アップルシード』や『ベクシル』は、メカを中心にすごくばばっと動いたのですが、『共生惑星』の生物「ピカール」は、球的なもので軽く透明感のあるものですが。
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曽利
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「ピカール」という生物を描くこと自体は、正直そんなには大変ではないんです。勿論、表面とか作り込めばいくらでもディテールアップする技術はあります。人間の肌ですら細かく表現することはいまはもう可能になっていて、実物と変わらないものは勿論出来ますし、逆に存在しないものを生物学上、正しい在り方として表現することすら出来ます。
逆に一定期間の中で、決められたバジェットの中でやらないといけないので、どこかでとどめるかというのはすごく判断が難しいなと思いますね。やればやれるだけできる時代になりつつありますから。
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AA
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一方で『楕円軌道』は構図的には原作を活かしつつ、でも原作は2次元的なのものを、映像にして3次元的に回り込むところがあります。その立体感の表現はどういった点を意識されたのですか。
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曽利
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原作のファンなので、もともとの発想が、「これが動いたらすごいよね」というのがありました。
例えばミッドナイトバズーカという宇宙ステーションの造形がすごく好きで、「これをこの角度から見たら面白いよね」という発想です。本当に優れた発想、デザインを立体的になめ回して見たいという考えがあります。
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AA
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何かそれが動き出すことで、本当に新たな感激が生まれます。あ、こう動くんだといった感じですが。
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曽利
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2次元で、モノトーンでとどまっていたものが、カラーになって立体として蘇るというのは、ある種の感動がありますよね。
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AA
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星野さんの絵をもっと今風に大胆に変えることが出来たとも思うのですが、あえて変えていないのも同じでしょうか?
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曽利
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自分たちの脳裏にあるレトロ感的なもの、すごく懐かしいものに歓喜する部分と、その中に新しさをあらためて見いだす、その両方があると思っています。ミッドナイトバズーカという造形は自分にとっては懐かしさがあるんですが、いまの若い人たちにとってはすごく新鮮なんじゃないかなという思いもありました。
ミッドナイトバズーカというのはひとつのキャラクターだと思っているので、若い人たちがあれを見てどう感じるのかを、一回問うてみたい部分もありました。
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