| ■ MoCaToonのTVアニメでの採用と今後 |
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研究・開発がすすんで、現場的にもMoCaToonの利用価値が見えてきたと思います。
そんなときに「のだめ」のCGパート制作の話が来たわけですね。 |
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平
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第1シーズンでは楽器をCGで作りました。演奏シーンのほとんどが止め絵処理でしたが、鍵盤アップサイズでの演奏カットはCGで動かしました。この時は指を手付けで動かしています。
第2シーズンでは視聴者、関係者の「演奏シーンが動いているのが見たい」という声から、演奏シーンをCGで動かそうと。
そこで指揮者はモーションキャプチャーを使いMoCaToonで処理しました。オーケストラはキャラクターも含めてCGを手付けで動かしました。
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第3シーズンではピアノ演奏中、アニメでは避けてきた複雑で難しいアングルの表現に挑戦しようと思ってます。
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あくまでも作品の描くテーマや表現に沿った使い方をしていたわけですね。楽器を演奏する人の描写は手描きアニメでは相当技量を必要としますから、今後この技術が発展すれば、TVシリーズの予算とスケジュールでオーケストラシーンがMoCaToonで再現される可能性もあるわけですね。
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平
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当たり前の話ですが、視聴側も制作側もCGの実証映像を見たいわけではありません。あくまで作品主体です。CGを効果的に使うことで、今まで避けてきたこと、出来なかったことが自然に見せられる。つまりキャラクターの表現が多彩になり作品が豊かになったわけです。
メカ、エフェクト、空間、それらでCGを使うことは浸透しましたが、まだまだ可能性もやれることもあります。
ただそれを放映中の作品ではなかなかチャレンジする機会がないのですが、そこを何とかプロデューサーや出資側にがんばってもらって(笑)当然現場もやりくりして(笑)現場で使い続けていきたいと思っています。
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ただ、実際見ると、ちょっと厳しい言い方ですが、まだ動きとして「CGくさい」ですね。
TVアニメ的演出…止め絵口パクのカット割り…から急に全身が動くCGカットが挿入されると凄く違和感を生じます。 MoCaToonを使う際、演出面での考慮も必要と感じました。
そういうったことも含めて、今後の改良のポイントはどこにあると考えていますか?
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平
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MoCaToonも元データあってのツールです。元がおかしければおかしいままです。元データ、つまりアクターさんの演技次第で、加工された動きも変わってきます。
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モーション・キャプチャーの役者の芝居をコントロールする必要がありますね。確かに。
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平
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動きの元となる演技を「アニメ用に」意図的に作り出す必要があります。動きの設計を双方が協力しながらスタイルを作り上げることが重要だと考えています。
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そのあたり、何か具体的なアイディアとかありますか?
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平
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例えば、戦隊ショーなどをやっている役者さんに、メリハリのある演技をしてもらったほうが、MoCaToonに変換したときアニメっぽいケレンミのある動きになるかもしれません。
その辺はMoCaToonの技術開発とは直接ではないけど、関連する重要な課題ですね。
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そしてMoCaToonは最近バージョンアップされました。今回の改良版のポイントは?
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平
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最大のポイントとしては、これまでキャラクターの間引き率が全身で同じだったのが、モデルのボーン(骨組み)をグループ単位でそれぞれ別の設定が出来るようになりました。
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グループ単位での制御というのは、具体的にどういうのに有効なのでしょうか?
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平
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人の動作には早く動く部分、遅く動く部分などが混在します。旧バージョンは全身一律でしか動きを間引くことができませんでした。だから早い動きを基準にすれば遅い動きは犠牲になってしまいます。
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人間の動きは実際複雑な要素が絡み合っていますからね。
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平
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例えば「のだめ」の指揮では、指揮者の腕振りが特徴ですが、それを活かすための動きの間引きをすると体や脚がおかしく見えたりする。結局バランスをとるためやや中途半端な動きになってしまう。
しかし新バージョンは人の骨構造をグループ化しそれぞれ制御できるため、動かしたいパーツと、止めたいパーツを分けることで、よりアニメっぽい動きに加工することが可能になりました。
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パーツの間引き率を変えた新MoCaToonテスト映像。指の動きはそのままで首や体を間引いている。
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| 左:処理したものをスムース補完したもの 中:MoCaToonで処理したもの 右:キャプチャーオリジナル |
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より、動きをコントロールできるようになったと。
このMoCaToon、今後どういうシーン、どういう現場で利用すると有効だと思いますか?
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平
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MoCaToonはCGアニメを作る上での第三の選択肢だと位置づけています。1つは手付け。1つはモーション・キャプチャー。そしてその両方を掛け合わせたMoCaToon。本音はね、みんな手付けでやりたいわけですよ。でも人材がいない、時間がないという現実。かと言ってモーション・キャプチャーでは手描きと馴染まないし、なかなか安易にできないし躊躇する。MoCaToonにはそれを解決できる可能性があるいと考えています。
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MoCaToonには未来を感じます。「新しい表現」としてのCGももちろん重要ですが、一方ビジネスとしてみると、今の手描きスタイルのアニメにCGは寄り添わなければいけないのも確かですし。
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平
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「手書きに見える」と評価してくれたアニメーターの言葉を信じて、監督や演出、作監の人たちが「モキャップでもいいのではないか、CGキャラでもいいのではないか」と選択肢の一つとして俎上に載せてもらえるようにしたいですね。そのためにも実際の現場で使ってもらって色んな意見を取り入れて発展していけばいいなと思います。
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これからの予定を。
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平
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改良された新MoCaToonを使った評価映像制作中です。来年3月までに作品として完成させます。多くのアニメ関係者に見てもらうことが目的ですから、動画協会などにも働きかけ、作品が見れる場所を作りたいです。
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やはり作品はたくさんの人に見られてナンボですからね。さらに利用が増えると思わぬ使い方が現場で生まれ、そこから発展するかもしれませんし、とにかくこの記事を読んで興味を持たれた制作会社さんは、平さんにご連絡を(笑)
ありがとうございました。
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さいごに
CGアニメは過去、ここ10年で様々なトライ・アンド・エラーを繰り返してきました。今見ると凄まじい出来の商品も多数ありました。しかし、そういうものがあってこそ、近頃は手描きアニメとCGのマッチングはほぼ違和感なく1つのアニメのスタイルとなってきていますし、TVでも手描きアニメと遜色のないフルCGアニメ、しかも完全にJスタイルのアニメーションが出てきています。
最近では劇場版が興行収益で1位を獲得した『デュエル・マスターズ』が断然注目です。子供向けとはいえ、TVシリーズから実に自然なJスタイルのフルCGアニメを見せてくれます。キャラクターも演出も、普通に見えます。凄いです。CGは『ゾイド』を手がけた小学館ミュージック&デジタル エンタテイメントが担当していますが、JスタイルのCGアニメに関して、ここの動向は要注目です。
さらに『エヴァンゲリオン破』のCGの動きを見ても、CGアニメーターが付けた動きの出来不出来の激しさ(モブシーンでも1カットごとに出来不出来がはっきりしてるのが(笑))、激ウマアニメーターがキーフレームを指示したシーンのCGらしからぬ動きの素晴らしさ(エヴァが疾走するシーン)、など失敗・成功を含めて、そこから確実に何かが生み出されています。同じフロアーで作業が行われ、試行錯誤が繰り返されることの重要性と意義を感じます。
海外とは発想が異なる、日本独特のCGが再び世界を驚かせ熱狂させることもそんなに遠くないのかもしれません。 最後に、MoCaToonに関連する、日本独自のCG技術の研究・開発のサイトをご紹介します。
デジタル・アニメーション・ラボ
早稲田大学理工学術院 森島チーム
トリロジー・フューチャー・スタジオ
■ 藤田健次
(株)ワンビリング代表取締役/キューティー映画評論家
初期モーション・キャプチャー用カメラの開発に携る。以後様々なデジタル映像技術の分野で実務をこなし、国内初映画のweb配信『好き』(田中麗奈主演)総合プロデューサー、海外有名コンテンツのモバイルプロデュース、サイトプロデュース、デジタル映像上映イベント、新規事業計画、近年は海外向けアニメ企画など、事業計画から企画・制作まで、オール・イン・ワンの名称のない職を繰り広げる。
アニメは作画に強い関心があり(ぞくにいう作画フェチ)、その流れで初期のCGから「作画」「動き」の観点で注目。
近年ではCGアニメの研究と同時に、ロマコメなど女性向け映画を『キューティー映画』というジャンルで再カテゴライズ化し、女性向けビジネス、映画技術の面で研究中。
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