「この世界の片隅に」の成功裏には支援者の熱量があった…Makuake中山亮太郎氏に訊くアニメとクラウドファンディングの関係性 | アニメ!アニメ!

「この世界の片隅に」の成功裏には支援者の熱量があった…Makuake中山亮太郎氏に訊くアニメとクラウドファンディングの関係性

インタビュー

「この世界の片隅に」の成功裏には支援者の熱量があった…Makuake中山亮太郎氏に訊くアニメとクラウドファンディングの関係性
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■小さく産んで大きく育てるリーン・スタートアップが合っていた

――次に、金額に応じた支援者へのリターンを設計したと思うのですが、『この世界の片隅に』の場合はどのように考えたのですか。

中山
クラウドファンディングは、お金を出してくれた方に何をお返しするかという設計がすごく大切です。声優さんのサインや原画をプレゼントするなどいろんなアイデアが出る中、丸山さんから素晴らしい提案がありました。「これはきっと純度の高い応援の気持ちが反映されたお金だし、応援してくれる人たちの思いを背負ってできていく作品になるといいんじゃないかな。だからお返しは全部同じでいいと思うよ」って。金額の差はつけるけれど、返すものは一緒にしたいということでした。丸山さんはこれまでアニメ業界を何十年と見てきて、作品を見た人の反応というのも何百作品と見てきていると思うんです。そんな丸山さんから出た意見に、その場にいた誰もが納得しましたね。

――応援したい人は出したい分だけ出せる。少しだけれど協力したいという人もいる。応援の気持ちに優劣はないということですね。

中山
エンドロールでの名前の大きさは金額によって変わるかもしれないけど、基本的にはそれほど差をつけないことで、応援の純度を保つことができるという。そこはまさにヒットメーカーのセンスですよね。もちろん作品によってはリターンに差をつける方がいい場合もあります。ですが『この世界の片隅に』は応援の純度を保つべきという意見でしたし、結果的にそうだったと思います。このことは僕にとって、すごく勉強になりましたね。ファンの方も応援の気持ちだけで1人平均1万円出してくれたので、「この熱量をもとに僕は必ず完成させるよ」って真木さんもおっしゃった。僕も覚悟を持ってスタートしたところ、予想より早い8日間で2,000万円を達成することができ、その勢いで本編制作がほぼ固まめることができました。


――早くに資金達成できた理由は何だと思いますか。

中山
片渕監督の情熱が伝わったというのも大きかったと思います。クラウドファンディングって、作り手の中心にいる人がしっかり発信しないと、なかなかうまくいかないんですよ。ですが片渕監督はクラウドファンディングが始まる前からツイッターで告知をしてくれたり、前日に行っていたイベントでも集まった方たちに話してくれていた。「この監督は心から『この世界の片隅に』を作りたいんだな」という気持ちがネットを通じ、そしてリアルを通して、しっかり応援してくれている方に伝わったんだと思います。

――多くの支援金が集まったことで、ほかにどんな効果がありましたか。

中山
労力をかけて作ったアニメが、作って終わりではもったいない。完成した後もビジネスとして転がっていかないと、作った人も儲からないし、今後またクラウドファンディングでアニメを作る際も、製作委員会を作れなくなる。作った後もビジネスとして成り立たせるためにどういったサポートをしたらいいんだろうと、僕たちも考えました。そしてこれはアニメのリーン・スタートアップ(Lean Startup)にしようと思ったんです。


――リーン・スタートアップとは?

中山
よくインターネット業界のベンチャー企業などが行う起業の仕方です。最初に最小限の商品を早く提供し、その反応をもとに次の手を考えるという。まずは小さくていいから製作委員会を組成して、それを大きくするための最初の一歩としてMakuakeを使ってみる。これがアニメ産業でのMakuakeの使いどころとして合っているんじゃないかなと思いました。最高のモデルケースになったと思いますね。

――支援者の熱意は、『この世界の片隅に』公開が近づくにつれてより熱を帯びましたね。

中山
3,374人という最初の支援者のみなさんが、非常に熱意を持って作品に関わってくれた。その方たちによる応援メッセージでSNSが溢れかえったのが、公開の1年半前でした。実はその裏で、制作側もさらに火をつけていたんです。39,121,920円の調達に成功したMakuakeでのクラウドファンディング終了後から公開までの1年半ずっと、制作側は毎週メルマガを送っていました。制作途中のイラストや裏話などを入れたメルマガを毎週1年半送り続けたことで、ファンの熱量を冷ますことなく保つことができました。その結果生まれた作品が、一流のクオリティだったことも良かった。今って一級品のものを作っても、世の中への出し方を間違えると、ごり押しだと言われることもある。でも『この世界の片隅に』は支援者が先行して行っていた応援が全てポジティブなものだったから、公開後に映画を見た人たちがネット検索すると、ポジティブな意見しか出てこない。「やっぱりいい映画なんだ」と、ポジティブがポジティブを呼ぶ流れが生まれたことも良かったんでしょうね。

(次ページ:作品に関わる、体験をすることにお金を使うという新しい支援法)
《大曲智子》
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