これぞ“人生の夏休み” 自分らしさを模索する青年の成長譚「ばらかもん」【夏に見たいアニメ、この一本】 | アニメ!アニメ!

これぞ“人生の夏休み” 自分らしさを模索する青年の成長譚「ばらかもん」【夏に見たいアニメ、この一本】

夏の特別企画アニメ!アニメ!編集部とライターが選ぶ「夏に一気に見てほしいアニメ」。今回はキャプテン住谷さんから『ばらかもん』です。

コラム・レビュー
注目記事
『ばらかもん』という作品がある。九州地方は長崎県・五島列島の方言で「元気者」を意味するこのアニメは、ヨシノサツキ氏の漫画作品を映像化したものだ。2014年の7月から9月にかけて全12話が放送され、動画配信サービスではバンダイチャンネルやHuluなどで取扱いがある。このたび、学生向けに「夏休みに一気見してほしいアニメ」を紹介するという企画に参加させて頂くにあたり、筆者はこの『ばらかもん』をオススメしたい。

本作のあらすじを簡単に説明する。主人公・半田清舟は書道界の家元の跡継ぎであり、自身も23歳という若さながら書道家として頭角を現し始めた青年だ。清舟はとある受賞パーティーで、自身の作品を書道界の重鎮(作中では館長と呼ばれている)から酷評されたことに腹を立て、その館長に暴力を振るってしまう。それを見かねた清舟の父が、謹慎として五島での生活をさせることにしたという背景だ。清舟は、東京とは何もかもが違う環境に四苦八苦しながらも、五島の住人との触れ合いを通して人間的に成長していく。

私がこのアニメをオススメする理由は、本作が“自分らしさ”を模索する物語という点にある。

ここで、館長が清舟の作品を評したセリフを引用したい。「まだ若いのに、型にはまった字を書くね」「手本のような字と言うべきか、賞のために書いた字と言うべきか」「君は平凡という壁を乗りこえようとしたか?」。また、清舟の性質を分かりやすく表している設定に「子どもの頃の成績は4と5しか取ったことがない」というものがある。このことから読み取れるように、清舟はいわゆる“お利口さん”な人間だ。優秀である反面、自分の殻を破ることができない。

『ばらかもん』は、清舟がそんな自分の殻を破るために“自分らしさとは何か?”という問いに向き合う物語であると言える。スポーツ、習い事、交友関係、部活に就活……少なからず、清舟と同じ悩みを抱える人は多いのではないだろうか。清舟がどんな人物と出会い、どんな成長をするのか。その答えは、ぜひ本編で見届けて欲しい。また、このテーマを非常に鮮やかに描き出しているオープニング主題歌、SUPER BEAVERによる「らしさ」の心を打つ歌詞にも注目だ。



本作を語る上で外せない要素がもうひとつある。それは、舞台となっている五島の魅力溢れる風景だ。九州の最西端よりもさらに先、大小140もの島からなるこの列島は、青く澄んだ海に囲まれた豊かな自然が目を引く。風光明媚な島の様子が細やかに描写されており、まさに心が洗われるような思いを抱かせる。ちょっとした旅行気分を味わえるという点でも、本作は夏にピッタリのアニメだろう。ぜひ『ばらかもん』を見て、“自分らしさ”について悩むという学生の特権を存分に行使して欲しい。

▽プロフィール
キャプテン住谷
アニメ系フリーライター。アニソン好きで、ホビーやゲームの分野でも記事を書く。カードショップへ行き、『カードファイト!! ヴァンガード』の大会に参加したり、『FGO』で爆死するのが最近の趣味。アイマスPでもあり、我那覇響・島村卯月が好き。『マクロスΔ』にハマっている。アニメを見ながら泣くのがウィークリーミッション。
《キャプテン住谷》
【注目の記事】[PR]

特集