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「ちえりとチェリー」中村誠監督、高森奈津美インタビュー 見ている間は人形アニメーションであることを忘れて欲しい

長編人形アニメーション『ちえりとチェリー』が2016年7月30日に公開を迎えた。中村誠監督とちえりを演じる高森奈津美さんに、作品への想いや制作の裏話を伺った。

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──中村監督から見た、高森さん演じるちえりの魅力を教えてください。

中村
声にそこはかとない悲しみが含まれているところ。物語の冒頭では、ともすればちえりが嫌な女の子に見えてしまうシーンもあります。そこで見ている人が嫌な子だと思ってしまったら、感情移入できなくなってしまいますよね。そのバランスをとるために「口には出せない悲しみを抱えているんだよ。だからこんな態度を取っちゃうんだよ」と表現するのに高森さんの声にある。そこはかとない悲しみがとても重要なんです。

──パイロット版の段階で、ちえり役は高森さんに決定していた?

中村
いえ、最初の段階ではそうではありませんでした。でもパイロット版から高森さんの演じるちえりが魅力的だなと思っていて、それを聞きながら映像の作業をしていたら、もうどう考えても高森さんしかいないと思って。

高森
本当に嬉しいです!

──高森さんから見た中村監督は、どんな印象の方でしょうか。すぐ横にいるのにこんな質問するのも恐縮ですが……!

高森
まず、とても繊細な方だなと。最初にお世話になったのが女の子向けアニメで、中村さんはシナリオとして参加されていました。そのせいか、心の中に少女も大人の女性もいるし本当に色々な存在が内側にあるという印象が強いです。『ちえりとチェリー』の全登場人物も中村さんの心に住んでいるのだと思いす。内側の広がりがすごいですね。

中村
ちょっと気恥ずかしいですね、真横でそう言っていただけると…(笑)

高森
本当そうですよ。私たち声優はいただいた役を演じる仕事で、ゼロから生み出す仕事ではありませんから。中村さんが生んでくださったちえり、チェリー、レディ・エメラルドにねずざえもん。私はちえり役なので一番にちえりに気持ちが寄ってしまいますが、ちえりのお母さんにも共感できるし、みんなが誰かに感情移入してしまう。そういう作品が作れることが素晴らしいと思います。

中村
恐縮です。


──キャストのみなさんは一緒にアフレコできましたか?

中村
高森さんと星野源さんたちは一緒にできました。ちえりのお母さん役の尾野真千子さんと、レディ・エリザベス役の田中敦子さん、それとサンドウィッチマンのおふたりは別日でしたが。

高森
チェリー役の星野さんとご一緒できたのは本当にありがたかったです。

──現場で掛け合いができる、できないによって大きな違いがあるのでしょうか。

高森
パイロット版で、私はチェリーにお父さんのイメージを抱いていたんですよ。でも、星野さんがチェリーを演じたら「わー!」でした(笑)

中村
「わー!」ってなりましたね(笑)

──え、どういう「わー!」なんですか?(笑)

中村
僕の中でもチェリーって“お父さん”の比重が大きかったんです。でも星野さんが演じた瞬間に「あ、チェリーは親友だ」。

高森
“おともだちチェリー”でしたよね。平等な立ち位置でちえりと一緒に歩むキャラクター。

中村
キャラクターの設計としても、シナリオの設計としても、チェリーってちえりを守ったり助言してくれる人だし、お父さんっていう構造自体は変わってないのですが、そこに星野さんの声が入ることで親友感が増す。キャラクターとしてすごく自由になれたと感じましたね。「チェリーってそうだったのか」と納得もしました。

──最後に、読者にひと言お願いします。

中村
アニメーションの作り手としてまずは子供が見て何かを受け取ってもらえる作品を作りたいと思っています。「人形アニメーションだからこんな感じだよね」と言われたら、僕の中ではそれは失敗。見ている間は人形アニメーションであることを忘れて欲しいんです。そして、劇場をあとにした時に「これって人形アニメーションなんだっけ」と思い出してもらいたいですね。

高森
ちびっこのみなさんは素直に楽しんで、大人のみなさんは子供のころ感じていたことや郷愁を思い出してくれるといいなと思います。かわいい作品ですがテーマはとても深い。人と人が出会うってとても尊いんだと……何度見返しても私は涙でボロボロになってしまいます(笑)。みなさんの心の中にもきっと、チェリーみたいな存在がいるはず。そういう存在と改めて向き合ってくれたら嬉しいです。



『ちえりとチェリー』
同時上映『チェブラーシカ 動物園へ行く』
7月30日(土)より、ユーロスペースにて夏休みロードショー
8月20日(土)より、シネマート心斎橋【大阪】
8月公開、シネマテーク【名古屋】

(C)『ちえりとチェリー』製作委員会
《川俣綾加》
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