―視聴者層は、アニメファン、さらにその周辺も想定しているのですか?
小坂
特撮ファンは意識しています。『仮面ライダー鎧武/ガイム』も女性ファンがすごく多いんですよ。
―人形好きの女の子たちはどうですか?アニメファンや特撮のファンとはまた別の層ですが。
安藝
可能性あると思いますね。放送時間帯が夜11時と浅めの深夜ですから。
―台湾で作る、しかも武侠ものですと言った時に、世界展開も視野に入っていると思います。中華圏でもどんどん放映していくイメージですか?
安藝
霹靂社さん側が“まず虚淵さん”というのは、当初から台湾の布袋劇を世界に広めたい思いが非常に強くあったからです。まずは日本で受けること、もちろん虚淵さんが参加することで台湾ではいつも以上に注目されるでしょう。さらにもちろん中華圏と欧米は視野に入っています。ネット配信がメインですけれども、かなりの地域で一斉に配信されることが決まっています。反応が楽しみですね。
―見どころについても教えていただけますか?
小坂
布袋劇による見たことがない映像はもちろんとして、セリフから醸し出される「虚淵です」という感じですね。虚淵の作品を観ていただけているかただと、いろいろなエピソードも含めてなんとなく分かる。
安藝
容赦ないという感じではないですね。ど真ん中なエンタテイメントですね。
小坂
僕の思う虚淵の脚本は、キャラクターが活きているんです。意思を持って行動している。この性格で、こういう生まれで、こういう出身で、こういう時にこういう行動をする。必然で動いているのです。
物語の都合でキャラクターを動かすケースも多いなかで、キャラクターの必然性を大切にしている。僕はそれが虚淵らしさかなと思うのです。
―その人間味の部分が人形劇になるとより出そうです。
小坂
そうですね。ほんとに人間味がすごく出ています。
安藝
アニメでやってもちょっと物足りない、人間でやるとマッチした役者がいないみたいなところが、人形劇にうまくはまっています。
目の瞬きと唇のちょっとの動き、傾きで、表情に影をつけたりしながらしっかり心理描写をしています。音がつきますし、悲しそうな顔とか、ぱっと顔が明るくなったり。全体の演技の中で表情がついているように見えるんですよ。
―声優さんの力もすごく重要になってきますね。
安藝:
かなり大きいです。尺が台湾語のほうは長いので、意外と間があったり、なかったりするんです。だから収録の現場は非常に困難を極めました。
小坂
ただもうベテランばかりなので、アジャストするスピードが半端ないですね。
安藝
お見事でしたね。
小坂
1回で合わせられないところでも、2回、3回だけでもう勘を掴んで、タイミングを合わせるのが絶妙でした。百戦錬磨の方たちばかりなので。
安藝
映像がありつつも自分でペースを作っている感じがしました。映像に負けず俺のペースでしゃべるみたいな。そうすると映像がそう見える。