―ほかに制作するうえで日本との差はありますか?
小坂
布袋劇人形はちょっとした差があります。目であったりとかです。デザインは、これまでの歴史に対してリスペクトを持ちながら、かつ日本でデザインしました。非常に良くできていると思います。
―スタッフのクレジットでは、グッドスマイルカンパニーさんが造形アドバイザーとして入っているのですけれども、これはどういう役割なのですか?
安藝
そう書くしかなかったです。顔のチェックとかは僕がやっています。
―実際にキャラクターの顔のポイントはどういったものですか?
安藝
例えば彼らが普段やらないチークを入れるとか、眉毛の形とか、顔の彫り方がこの角度でちょっと違うとか。ただほんとに微調整だけです。あとは手ですね。彼らは顔や衣装に非常に気を遣いつつも、手が撮影の際の消耗品みたいな扱いなところもあって、ちょっと造形が甘かったりするのです。それをこちらで作ってこれを使ってくださいみたいなことがありました。
小坂
特に女性の手はグッスマさんで型を作りましたね。手はある種の第2の顔だと思うのです。手が結構活躍するんですよ。
―セリフは台湾では弁士がしゃべるわけですが、今回は海外でもアフレコ版になるのですか?
安藝
日本のアニメという括りで交渉が始まることが多くて、吹き替えた日本語を要望されるケースが多いです。
小坂
台湾では若い人たちは日本のアニメに慣れ親しんだ人たちも多いので、日本の声優さんのバージョンで観たいと思うかもしれないですね。
安藝
現場で人形を作ったりする方々も、日本のアニメのファンのかたが多いですね。CGや効果をエフェクトどうします?というときに、例えばこのシーンは『Fate/Zero』っぽくといった話をしたりもします。それが伝わったりするので、話しが早いです。声優さんの力も、彼らはよく知っているんですよね。だから結構スムーズでした。
―ちなみに大きく対立したところはどこですか?
小坂
CGですね。
―CGをたっぷり使う、あるいはあまり使わないといった感じですか?
小坂
虚淵は人形を見せたいわけですからCGをあまり使わなくていいという考え方です。けれども、台湾の方たちは新しい映像を見せたいとの思いが強いので、ゲームとかフルCG映画の技術を吸収してCGを増やそうという意思が感じられるんです。そこがまず根本的な価値観の違いです。
安藝
それで見栄えがよくなるのですけれど、こちら側からするとやり過ぎかなと。「もっとCGの比率を下げられませんか」「いやこれで十分だと思っています」と。