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ノイタミナ「僕だけがいない街」伊藤智彦監督インタビュー アニメにとどまらない作品づくりを目指した

1月7日より『僕だけがいない街』が放送を迎える。マンガとしても注目を集め、3月には実写映画も公開を控える本作。伊藤智彦監督に作品やキャラクター、今回声を演じる満島さんや土屋さんについてうかがった。

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──先ほど「リアル寄り」と言っていた部分と共通するかと思いますが、今回は声優でない方をキャストに起用されていますね。それはなぜでしょうか。

伊藤
たまたま彼らがぴったりだったということだけですね。悟に関しては、『ドラえもん』ののび太をリアル方向にした感じが欲しかったんです。そこに合致したのが土屋さんと満島さんだった。

──土屋さんと満島さん、それぞれどんなお芝居がポイントでしたか?

伊藤
土屋さんにはなんというか、とても昭和っぽさを感じました。お芝居、ご本人、両方に。声質もいい子感が強くて、人に悪い印象を抱かせることがないんです。満島さんは超朴訥。ご本人はおしゃべりなのですが。1話の悟のお芝居では思わず「お前大丈夫か!?」って聞いてしまいたくなるほどの朴訥さ加減でした(笑)。もともとナレーションの経験があったこともありマイク通りのいい声で、コメディチックな芝居もできる人でしたし。
もう一つの目論見としては、2人がアフレコを重ねていくことで成長する姿が、物語の展開と重なって見えるのではないかと。これは賭けではありますが、のってみるのも面白いと思って決定しました。


──もう何話分かアフレコを終えていると思います。現在のところその手応えはいかがですか。

伊藤
アフレコでグッときた瞬間はありました。「悟よ。お前もこんな一言が言えるようになったか」、と。

──悟に共感するところがあれば教えてください。

伊藤
悟が漫画編集者に「あなたの顔が見えてこない。もっと踏み込んでいかないとダメなのでは」と言われるシーン。自分がアニメを制作していても同じだなという気持ちです。原作を自宅で読んでいると妻にも「このセリフが引っかかってるんでしょ?」と言われギョッとしました。「サトリか!?」と(笑)。そうやって気になっているところをアニメでも中心に描くべきかなと。悟がそこをいかにクリアしていくかが物語の中の課題としてあるのだと思います。


──悟以外のキャラクターのお話でいうと、原作では悟の母・佐知子はすごく印象的な存在になっています。佐知子や他のキャラクターについてどう思いますか?

伊藤
佐知子については、三部さんがああいうお母さんを描きたかったというように聞いています。だから作品の中で際立つのかなと思いますね。俺は加代がすごく印象に残るキャラクターだと感じました。他人に頼ることなく耐えていて、気高さが漂っているというか。すがって生きていくのではなく1人で立っていられるような強さを持っている女の子なんです。それは愛梨も同じだけれど、加代は小学5年生なのにそれを持ち合わせているのがすごいキャラクターです。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。

伊藤
アニメ作品ですが、深夜の海外ドラマを見るような気持ちで見て欲しいです。主役を俳優が担当していることもですが、音楽やSEのつけ方も音響監督の岩波(美和)さんと相談しながら、実写ドラマのように感じられる作りをしています。なので、音を聞いていたら「ドラマをやっているのかな?」、で、画面を見ると「お、アニメじゃん!」みたいな。アニメファンはもちろん、普段アニメを見ない人もぜひ見てください!

『僕だけがいない街』
http://bokumachi-anime.com/
《川俣綾加》
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