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「亜人」から広がるポリゴン・ピクチュアズの今後 瀬下寛之総監督、守屋秀樹プロデューサーに訊く:後編

11月27日より「亜人 -衝動-」が公開をスタート。瀬下寛之総監督とエグゼクティブプロデューサーの守屋秀樹氏のインタビュー後編では、ポリゴン・ピクチュアズの強さの秘密に迫る。

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■ ポリゴン・ピクチュアズ強さの秘密

―ポリゴン・ピクチュアズが他のCGスタジオよりここは優位だと思われたりはするんですか。日本の中ではトップクラスのスタジオですけれども、逆に言うと何がトップなんだろう、どこが強さの秘密なのだろうと。

瀬下
個人的感想は、このスタジオの持っている、ファクトリーとしての優秀さ。分業体制とか生産工程が管理されているので、一定の品質のものを大量に継続的に作っていけます。
融通が利かない面もあるのですが、品質安定性と生産性の両立を可能としていることでメリットが上回っています。

守屋
14年の春に『シドニア』1期を放送して、10月から『山賊の娘 ローニャ』を26話放送、そして『トランスフォーマーアドベンチャー』と『シドニア』2期と続きました。これに『亜人』を加えて100話以上を制作しています。セルルックCGをこの期間、これだけこだわって作ったスタジオは、世界にないと思います。

瀬下
もちろん生産性だけでなくクリエイティビティーは大事です。設計部門があって、そこで作品の企画からの設計をゼロから手がけています。
ストーリー開発と並行に試作を進め、初期段階から設計と生産の部門が常に協議と検討をして、魅力を維持しながら現実的に生産可能かを分析していきます。そういった作法が確立していることも含めて、スタジオの強みではないかと。

―逆に企画や脚本、ストーリーの開発に違いはありますか。

瀬下
そこはどのアニメ会社さんでも同じような大変さだと思います。効率を上げたら必ず良いアイデアが生まれるという保証は無いですから(笑)。ただ、クリエイターの感覚や経験に依存しないストーリー開発を行う仕組みは整備しているところです。

守屋
瀬下さんが持ち込んだプリプロの手法が、会社のスタンダードになっています。脚本にすぐに入らずに、作品全体の構成を、綿密につめていきます。そこでどういうキャラクターが、いつ、どのタイミングで、どのぐらいの頻度で出てくるかが分かります。「3Dモデルを作るか作画にしようか」など、制作予算やスケジュールを細かく計画できます。脚本作業と同時進行でデザイン設定やモデル制作も進められるので効率がいいんですね。

瀬下
ストーリー開発は、作品全体の骨組み、構造から作り、全体像を把握しながら細部を構築していきます。基本的には、作品全体の基本構造が明確でないなら、脚本作成の段階には進みません。

―逆に言うと、プリプロを綿密にやっておけば制作段階もスムーズになるわけですね。

守屋
そうです。僕らが一緒に仕事をしていた海外の会社は、きっちり設計し、それを我々が作るということに慣れていたので、この手法はうちのスタジオにはすごく合っていますね。

瀬下
うちのプリプロの手法は、おそらく相当欧米の手法に似たものです。


《animeanime》
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