「ブラックジャック」世界初の”MANGA"のオペラ化、重厚で濃密なステージで深い感動 | アニメ!アニメ!

「ブラックジャック」世界初の”MANGA"のオペラ化、重厚で濃密なステージで深い感動

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第141回 ■ 「読んでると全部、音が聴こえてくる、手塚治虫が”このスピードで読んで欲しい”っていうのが、ありありとわかるんです」

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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第141回
[取材・構成: 高浩美]

■ 「読んでると全部、音が聴こえてくる、手塚治虫が”このスピードで読んで欲しい”っていうのが、ありありとわかるんです」(宮川彬良)

手塚治虫の名作『ブラックジャック』がオペラ化される。『ブラックジャック』は1994年に宝塚歌劇団によって『ブラックジャック 危険な賭け』と題し、舞台化されている。近年は同じく宝塚歌劇団で2013年『ブラックジャック 許されざる者への挽歌』と題し、再び舞台化している。

コミック作品自体は1973年~1978年に『週刊少年チャンピオン』にて連載され、その後、1979年~1983年に不定期連載され(全242話)、1970年代の手塚治虫の最大ヒット作となる。また”医療マンガ”のジャンルが形成されるきっかけともなった。
単行本は新書版・文庫版・ハードカバー等を含めて日本だけでも4564万部、全世界では1億7600万部、まさに世界的な漫画となっている。

今回のオペラ化は企画から5年の歳月を経て実現したものだそうだ。作曲は宮川彬良。実はすでに作品にインスピレーションを受けて作曲した室内楽のためのソナタ『ブラックジャック』を2000年に発表している(第1楽章『血と、汗と、涙と……』第2楽章『命』第3楽章『生きて生きて息る』)。今回のオペラ化の企画自体はおよそ5年前からあったそうである。

作曲家・宮川彬良の”初手塚マンガ体験”は高校生の頃、作品は『火の鳥』であった。「実はマンガは読まない子だったんです。(みんなが)あんなに読み飛ばすっていうのが信じられなくって」と語る。
「高校生の時に朝日ソノラマかな?分厚いのが出て……ちょうど5~6巻が出始めた時期で、当時、クラスの誰かが買って回し読みしてたんですよ。で、”宮ちゃんに貸すと4日はかえってこない”って(笑)。さすがに面白そうなんで、借りて読んで、熱中したんですよ、朝から晩まで一生懸命に読んで……1冊借りると4日はかかるんです。何故かっていうと(読んでると)全部、音が聴こえてくる、手塚治虫が”このスピードで読んで欲しい”っていうのが、ありありとわかるんです、キャッチ出来るんですよ」と熱く語る。いかにも音楽家らしい発言だ。

「(ページを)めくった瞬間に”ガーン”って音が鳴って……未来都市が半ページ書かれていたりすると(みんな)次にいっちゃうじゃない、僕は5分ぐらい止まって音楽が聴こえてくるのをじーっと自分なりに味わって、細かいところを見て……つまり絵コンテとして読んでたんだよね。実時間……”空想の実時間”で読んでいた、アニメを見るような感じで見ていたんだよね。『ブラックジャック』だって(たった)数ページを30分(アニメで)やる訳でしょう、だから4日かかっちゃう(笑)。それが手塚作品の最大の思い出かな?」じっくりと読むのが、宮川彬良流なのである。「どのマンガ家さんでもそうだと思うんですけど、(なにもないところから)考えて、全部、背景とか1人で描いた、と思ったら、どれだけ”スローモーション”で描いてるのか、それを味わないで読み飛ばす?!、僕はね、おかしいと思う!」と力説。さらに「高校の頃に、マンガから創った交響詩を作曲しようと思った」かなり画期的な発想、それも『火の鳥』で、である。
「実はちょっと創った……4ページ分くらいかな?(笑)、オーケストラでやった、それを録音しました。そのカセットテープをマンガにつけてセットにして……”ここでページをめくって下さい”っていうところで”ピー”って音が入る、っていう商品を考案したんだけど、まあ、それっきりになってます(爆笑)」ワクワクする”商品”に違いないが、今のところは”未完”である。
《animeanime》
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